地獄通信0 許しと責任の果てに
二日目、楓は結衣に謝った。「ごめん……。私、ほとんど毎日のように殴られていて……だから、いつも楽しそうで、弱そうに見えるユイのことが、どうしても憎かった。ひどいことばかりして、本当にごめんなさい」「いいよ」結衣は静かに首を振った。「どうせ、あなたは地獄に行くんでしょう? だったら、もう恨む必要なんてない。それに……あなたと、お母さんが助かった。それだけで十分だよ。私も死んだら、地獄で会いに行くね」「会いに来るって……」楓は苦笑した。「それ、アシロに会いに行くってことでしょ。でも……地獄にも、誰かのために輝ける支配者がいるんだね。そう考えると、地獄も悪くない。もし、あの人がもっと早く来てくれていたら……私は、あなたをいじめなかったかもしれない」「自分の過ちを、人のせいにしちゃだめ」「ええ」穏やかな声が続いた。「年上の姉が、五歳の子に責任を押しつけるなんて、いけないわよね。さっき、あの子がどうやって生き延びてきたか聞いたの。……私、泣いちゃった」楓が振り返ると、そこに立っていたのは母だった。楓は、自らが犯した罪と、アシロが母娘を救った代償として、彼の眷属となった。不老不死となり、もはや普通の人間ではない。――借りたものは返す。――代償を支払ってこそ、世界は均衡を保つ。それは、現実の流れの中で、地獄が最終的に定めたルールだった。「……お母さん」母は何も言わず、楓を強く抱きしめた。「私が悪かった。もっと早く、あの人に逆らうべきだった……つらい思いをさせて、ごめんね」涙が、楓の頬を伝った。「違う……悪いのは、私。……お母さんのせいじゃない」




