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アヴェリーナの思い出1
「ヤギのミルクにこんな使い道があるなんて!本当に目から鱗だわ。」ラノックはその新しい使い道を皆に伝えると、翼を広げ、信じられないほどの速さで次々と町へ飛び回った。「ちっ、生意気なガキね……」魔神アヴェリーナは吐き捨てるように言った。彼女は、かつてラノックに無理やり吸収された存在だった。「お願いです。」「お願いって何よ……もう私の力を使ってるじゃない。」「だって、アヴェリーナ姉さんが止めなかったから……」「図に乗るんじゃないわよ、このガキ……」
だが、アヴェリーナは本気でラノックを嫌っているわけではなかった。ただ、その強引なやり方が気に入らないだけだった。「ヴィルガナは……元気にしてるかしら。」「よくそんなこと聞けるわね。あの時、どうして怪物にならなかったの? そうすれば、生贄にならずに済んだのに。」「だって、僕は人間だから。」「あなた……そう。道理でアエグリスがあんなに気に入るわけね……人間。ヴィルガナも、あなたも……本当に面白くて、哀れな生き物ね……」彼女は、どこか懐かしむような声でそう言った。




