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ラノックの思い出24
しかし、ブリセラの懸念は決して杞憂ではなかった。
三日目、ラノックは伝統派のサキュバスたちと直接会い、ブリセラに料理を学ばせてもらえないかと頼んだ。しかし――「絶対に認めません!」ラノックの申し出は、サキュバスが働くことは始祖への裏切りであり、許されない大罪だと信じる伝統派のサキュバスたちから強く拒絶された。「他所者は口出しするな!」仕方なくラノックとブリセラは家へ戻り、サキュバスたちの夫も交えて対策を話し合うことにした。「あの理不尽な連中め!」「それで、どうする?」「サキュバス全員が家事をできるようになればいいんだけど……」「でも、それじゃあ伝統派に必ず文句をつけられるだろうし、村を追い出されるかもしれない……」「いい考えがある」「聞かせて」「私が……いや、私たちが動きましょう」ブリセラは小声で言った。「でも、今はタイミングが悪いんじゃない?」「タイミングが悪いって……」ラノックはその場にいた者たちに、ブリセラの正体を明かした。「何だって!?」「声を抑えて。誰かに見られているかもしれない」「すみません」「じゃあ、夕食の準備を始めるわ」ラノックは台所へ向かい、すぐに料理を始めた。




