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ラノックの思い出21
「君の腕前はなかなかだね。家事をこなしてきたのがよくわかるよ。妻も君みたいに家事ができたらいいのに…」「お世辞ですよ。姉に教わっただけで、まだ基本的なことしかできません」「それで十分だよ。じゃあ、あとで一緒に狩りに行こう」「わかった」
しかし、ラノックはあることを忘れていた。話せる動物の群れを前にして、彼にはどうしてもそれらを殺すことができなかったのだ。そこで彼は動物たちのリーダーと交渉し、狩りを手伝ってもらうことにした。その結果、毒に侵されていたり病気にかかっていたりする動物たちが大量に手に入った。もともと助かる見込みのなかった彼らと契約を交わし、ラノックはサキュバスの村へ連れて帰る。そして毒を取り除き、治療し、飼うことにした。こうして彼は、食料を安定して確保できる手段を手に入れたのだった。もちろん、動物を食べたくないなどとは口が裂けても言わない。もうそんな世間知らずではない。地獄では、動物を食べなければ飢えて動けなくなることもある――彼はそれをすでに経験していた。




