前へ目次 次へ 185/299 ラノックの思い出9 しばらくして、ブリセラはゆっくりと家から出てきて、襟元を整えながらラノックの前に歩み寄った。その表情には特別な感情はなく、まるで当たり前のことを告げるかのようだった。彼女がラノックに与えた仕事は簡単だった。料理と洗濯、それに掃除。ただそれだけだった。しかしラノックにとっては決して軽い仕事ではなかった。慣れない場所で、慣れない生活を始めなければならないからだ。ブリセラは淡々と説明すると、それ以上何も言わずに家の中へ戻ろうとした。