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ラノックの思い出2
ラノックが生贄として捧げられ、地獄へ堕ちた後、彼の体からは持続的に妖しい香りが漂い始めた。それは、死に際に残された怨念と、感染する呪い、そして悪魔の魂との共鳴が混ざり合って生まれた異常現象だった。その香りは甘くも不気味で、どこか人の理性を鈍らせるような力を帯びていた。近くにいる者は無意識のうちにその香りに気づき、知らぬ間にラノックの方へと足を向けてしまう。特に女性はその影響を強く受け、まるで抗えない魅力に引き寄せられるかのように彼へ近づいてしまうのだった。ラノック自身もまた、その異様な現象が自らの身に起きていることを完全には理解できずにいた。




