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旅立ち13
「ラノック、やるな。だが、目を合わせなければ魅了されないだろう?俺は昔、魅了能力のある怪物と戦ったことがある。だから魅了の弱点はよく知っているんだ」元兵士は荒い息を吐きながら、震える膝を押さえてゆっくりと立ち上がった。額には冷たい汗がにじんでいる。「そうか?俺が目でしか魅了できないと思っていたのか?俺を甘く見ていたな」ラノックは薄く笑いながら指を鳴らす。乾いた音が静かな空間に響いた。すると元兵士の足元に伸びていた影がゆらりと揺れ、黒い液体のように蠢き始める。やがてそれは褐色の肌をした裸の少女たちへと姿を変え、妖しく微笑みながら元兵士の周囲を取り囲んだ。甘い香りが漂うような錯覚に襲われ、元兵士の顔はみるみる赤くなった。




