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ブリガンティアの思い出10
森の上空に広がっていた暗雲を、金色に輝く光が不意に引き裂いた。次の瞬間――ブリガンティアが姿を現す。長い髪は光の流れのように背へと落ち、つま先は宙に浮いている。背後には光で形作られた翼が広がっていた。空気は凍りついたかのように静まり、風の音さえ消え去っていた。
「よく聞きなさい――」ブリガンティアの声が森に静かに、しかしはっきりと響き渡った。「この森と水は、神々が宿る場所。もしこれ以上、神を冒涜する者が現れるなら――」彼女が片手を掲げる。湖面は激しく渦を巻き、木々は低くうめくように震えた。「その代償を払うことになるでしょう」
地面に崩れ落ちる者がいた。堪えきれず、声を上げて泣く者もいた。斧を取り落とす者もいた。一人がひざまずき、また一人がそれに続く。そしてついに、空き地には、地に伏した人影だけが残った――その日から、森には神が宿るという伝承が広まっていった。




