ブリガンティアの思い出3
人間は、ブリガンティアがかつて暮らしていた森を焼き払った。炎に包まれた大地は黒く焦げ、長く根を張っていた古木さえも灰となって崩れ落ちた。その光景は、ブリガンティアの胸の奥に、消えることのない憎しみを刻みつけた。
やがて人間同士の争いはさらに激しさを増し、種族の違いを理由とした衝突が各地で続いた。戦火は森を焼き、畑を荒らし、精霊たちが安らかに息づいていた自然の領域を少しずつ侵食していった。水辺は濁り、若い芽は踏み荒らされ、風に揺れていた葉さえも重苦しく沈黙した。
ついに精霊たちは耐えきれなくなった。
大地の奥から、強い光が静かに溢れ出した。それは作物の成長を狂わせる光だった。畑に降り注いだ光は種を無理やり芽吹かせ、茎を異様な速さで伸ばし、実を過剰に膨らませた。だが、その生命の奔流は長く続かなかった。成長しきった作物は、まるで糸が切れた人形のように一斉に枯れ、茶色く乾いた屑となって地面に崩れ落ちた。
その年、収穫はほとんど失われた。
村は静かに飢えに蝕まれ、人々は麦の匂いを思い出すことさえできなくなった。空腹に耐える夜、遠くで枯れた畑を吹き抜ける風だけが、かすかな音を立てていた。
人間の首長は、この災いを、人間が自然を壊したことへの報いだと考えた。彼は水源を浄化し、新たな木を植えることを人々に提案した。争いをやめ、土を耕し、失われかけた大地の呼吸を取り戻そうとしたのである。
荒れていた自然は、わずかずつだが静かに息を吹き返していった。




