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織り手の誕生118
山を下りたラノックは、胸騒ぎを覚えながら黒い煙の立ち上る方向へと足を速めた。焦げた匂いが風に乗って漂い、不吉な静寂があたりを包んでいる。しかしそこには、彼の治療を受けられなかった者たちが地面に倒れ、体を闇に侵されて黒く染められていた。かつて笑い声に満ちていたはずの場所は、今や物言わぬ亡骸で埋め尽くされている。「もう死んでる……間に合わなかったのか?ちくしょう!」ラノックは拳を地面に叩きつけた。乾いた土が砕け、爪の間に食い込む。それでも怒りも悔しさも消えない。「ラノック……助けて……」かすれた声が風に混じる。彼は即座に黒い光を放ち、その力で闇を押し返した。光に包まれた数人の胸がわずかに上下し、かろうじて命を取り戻す。しかし、見渡す限り、村はすでに跡形もなくなっていた。ただ黒い煙だけが、空へと静かに昇っていた。
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