織り手の誕生110
二週間が過ぎても、ラノックは目覚めなかった。「あの顔は……まさか、内なる悪魔に蝕まれているのか?」彼の顔には、黒い二本の線が交差して浮かび上がっていた。傷というより、何かに刻みつけられた印のようだった。白目は闇に染まり、瞳だけが幽かに浮かんでいる。もはや、人ではなかった。
ラノックの世話を任された者たちがベッドを囲んでいた。だが、ブリクタたち以外、誰一人として彼に近づこうとはしなかった。
その二週間のあいだにも、多くの出来事があった。
「誓火軍」の宣言が真実であったことも明らかになり、巨人の出現と呪いをきっかけに、各地の村人たちは自分たちの長の異変を悟った。やがて反乱が広がり、いまや、ほとんどの村が解放された。なお抵抗を続ける者はいるが、戦はすでに終わったも同然だった。
「ようやく終わるな。これでまた布が売れる」「ああ。やっと治療も続けられる。ラノックにも薬草の採り方を教えないとな」「こんな日常、久しぶりだ。あの子は戦いなんか似合わない」「本当だよ……どれだけ無茶してきたかと思うと……もう終わりでいい」「村を建て直そう」「ああ。あそこは私たちの家だ。酋長も領地に含めると言っていた」「よかったな……」「……」「ん?」視線がラノックへ向く。彼は目を開けていた。「ラノック!」ブリクタが駆け寄り、強く抱きしめる。「姉ちゃん……苦しい……」「この馬鹿……もう駄目かと思ったんだぞ」「ごめん……」「謝るな。戻ってきただけで十分だ」「治ったら、勝負だな」「戦は?」「もう終わりだ」「そうか……よかった」「巨人が倒れたと聞いて、あいつら震え上がったらしい。怪物なんか作るくせに、腰抜けばかりだ」「強い奴は、自分で戦うさ」「だな」
推定総盗用率:およそ5–10%




