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織り手の誕生109
ラノックは老人に抱えられて村へ運ばれた。老人はラノックを村の入口に下ろすと、言葉を残すこともなく、すぐに山を下りていった。彼は「還風」の術を人々に教えており、一刻も早く山のふもとへ戻る必要があったからだ。
村に連れ戻された後も、ラノックは目を覚まさなかった。その時、彼の体の内側から低く響く声があった。「命に別状はない」一瞬、空気が静まった。それがラノックの中に宿る悪魔、エグリスの声だと、皆すぐに理解した。「まだ魔力を消化しきれていないだけだ。魔力が安定すれば、自然に目を覚ますだろう」「いつ安定するんだ?」「分からない。今は五つの意識で調整を続けている」短い沈黙が落ちた。ゆっくりと椅子に腰を下ろす者もいれば、何も言わずに立ったままの者もいた。
推定総盗用率:およそ5–10%




