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プロローグ
アシロは太古よりこの世界に存在し、その功績は人間界、地獄、そして天界にまで広く知れ渡っている。数え切れぬほどの魂を救い、絶望の淵に沈む者にさえ手を差し伸べてきたという。地獄において、アシロほどの優しさは極めて稀であり、血と嘆きに満ちたこの地で彼の存在は異質だった。炎の熱にも、罪人の怨嗟にも揺らぐことなく、彼はただ静かに手を差し伸べる。その指先から微かな光が溢れ、地獄の闇に波紋のように広がった。その温かさは地獄の者たちの心に静かに届き、やがて『アシロは地獄にいるべきではない。天界にいるべきだ』という囁きが広まった。だが、当の本人は名声にも称賛にも興味を示さず、ただ静かにこう語る。「人を助けるのに、場所を選ぶ必要はない。」その言葉は、地獄の濃い闇にひとすじの温かい光を射し込み、絶望の淵に沈む魂に希望を届けた。
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