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私とゲイルさま

 あの舞踏会から3年後。

 13歳になった私は、早朝の空気を感じながら、馬車に揺られ、名門学園・ミスティ学園へ登校する。1ヵ月前に入学手続きを済ませた私は、今朝ー入学式の朝ーは婚約者のゲイルさまと門の前で待ち合わせをしている。3年前の舞踏会の後、ゲイルさまに婚約指輪を差し出された私は、もちろん受け取った。本当に、幸せ者だ。

 そんな回想をしている私を乗せて、馬車は門の前に着いた。窓からは、もうゲイルさまの姿が見える。私は急いで馬車から降り、御者にお礼を言うと、ゲイルさまに駆け寄って抱きついた。ゲイルさまも抱きしめ返してくれる。

「おはようございます、ゲイルさま!」

「おはよう、ミハナ」

婚約指輪を受け取ってからは、私のゲイルさまに対する行動は遠慮がなくなり、ゲイルさまの私に対する行動も遠慮がなくなって、お父様が寂しさで涙を流すほどの仲睦まじい婚約者同士になった。

「ミハナ、今日もかわいい。きれい」

んなっ!

私は目を見開き、至近距離で見るゲイルさまのきれいな顔にドキドキしてしまう。

「……です」

「ん?」

「ゲイルさまのほうが、きれいです、と申し上げたんです!」

そう言った後に、猛烈に後悔する。今の自分の発言がものすごく恥ずかしいものだと気付いたからだ。今度はあたふたし始める私を、ゲイルさまは強く抱きしめる。

「ゲイルさま、くるしっ…」

苦しくなって思わずゲイルさまの腕を少し握ってしまう。すると、ゲイルさまは私のことを今度は優しく抱きしめてくれる。

「ごめん。けど、ミハナがかわいかったから。それに、これくらい強く止めておかないと、他の奴に取られちゃいそうだからね」

「そ、そんなことないです。私は他の人に取られるほど価値のある人間ではありませんから」

私が微笑んで見せると、ゲイルさまはおでこに口付けてきた。

「やっぱりかわいい。けど、もうちょっと自惚れたほうが良いかも」

転生してからかなり時間がたっているいるせいで、私は自分の顔に慣れてしまった。ゲイルさまはそのことを言っているのだろうか?

 私がきょとんと首を傾げると、ゲイルさまは私を抱きしめている腕を解く。

「ミハナ…」

「何ですか?」

「愛してる…」

再び強く抱きしめられ、私は苦しくなりながらも、幸せな気分になる。このあと、私たちはめちゃくちゃ恥ずかしいことをしていたのだと、気付かされることになる……。

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