第一王女の万能魔力
輝き出した笑真さんは困惑した声を出しながら形を変えていく。そして、色素の薄い肩口までの髪に水色の瞳の少女が現れた。うっ、眩しい!笑真さんが美人すぎて眩しい!可愛すぎて眩しい!発狂しそう。日本人で1番可愛い!私なんか道ばたのゴミクズに見えるでしょこれ!
「な、なんか戻った!ね、王女様!何かわたしにしましたか!?」
可愛い可愛い心の中で言っていた私はハッと我に帰る。
「何もしていないはずなのだけれど」
「でも、王女様が浴槽に入ってすぐに人間に戻れました!」
必死な笑真さん可愛い。でも今は原因調べだ!そう思った私は一旦浴槽から出て笑真さんに魔力を込めた。すると、笑真さんはレッサーパンダになる。
「えっ!?お、王女様!?わたし今、何になってますか!?」
はぁ、尊い。可愛い。いっその事弟の婚約者にしてずっとここに留まっててもらいたい。
「レッサーパンダです、ああ、尊い……」
私は思わず土下座をする。顔がジャバンと音を立てて丁度いい温度のお湯に浸かるが、そんなの気にならない。この人を見ていられるなら十分。そんなことを考えていると、笑真さんがはわっという声を上げてぷにぷにの肉球で私の顔を宙に押し上げた。
「レッサーパンダから、元の姿に戻したりすることって、できますかっ!?」
「やってみます」
可愛いケモ耳を生やした笑真さんに頷き、私はもう一度彼女の体に魔力を込める。すると笑真さんは人間の姿に戻った。
「やっぱり、王女様の力じゃないですか!あの、王女様!図々しいのですが、王宮に住ませてもらっても良いですか!?また勝手に姿が変わってしまったら困るので」
「はい、もちろんそのつもりです。異国にいきなりいらっしゃったから住む所もないでしょうし、きっとお父様も快く受け入れてくれます。まあ今は私が少し問題を起こしてしまったせいで一週間謹慎状態なので、こっぴどく叱られると思いますけどね」
私が苦笑して肩を竦めて見せると、笑真さんはお湯から立ち上がって私に頭を下げる。
「よろしくお願いします、王女様!」
そう言って満面の笑みを浮かべた後、自分が裸だということに気付き顔を真っ赤にした。
○○○
お風呂上がり。私は脱衣場に用意されていた長袖の袖口が広がり白いレースと青いレースが幾重にも重なったワンピースを着て首にはベルト生地でできたチョーカーを着け、茶色の皮でできたサンダルを履き、笑真さんを置いて脱衣場の外に控えていたルーリンに女性向けの服をもう一着持ってくるように指示した。そして待つこと数分、ルーリンが淡い桃色のふんわりとした私のワンピースを持ってきた。脱衣場に入った彼女は驚愕する。そりゃそうだ。自分の主人をお風呂に突っ込んだら知らない少女が出現しているのだから。
「エマさま、と仰るのですね?分かりました。お二人を姫様のお部屋にお連れしてから国王陛下をお呼び寄せいたします」
「ええ、お願いね。ありがとう、ルーリン」
笑真さんには服を着てもらい、ルーリンと三人で私の部屋へと戻る。その道中、笑真さんはずっと顔を輝かせていた。
「王女様!こんなに豪華なシャンデリア、わたし、初めて見ました!」
「うわあ、本物のレッドカーペット!」
といった具合だ。確かに日本のそこら辺の家にはこんなシャンデリアやカーペットはない。だから驚くのも当然だろう。でも一番良い反応は私の部屋を見た時。彼女は驚いて高すぎるあまり掠れた悲鳴を上げ、やってしまったとばかりに赤くなって両手で口を塞いだ。可愛かったので許す。
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