第一王女の気付き
更新遅くなって申し訳ありません!
夕方になってから目が覚めた私は、やらかした!と頭を抱えた。あろうことか、私はゲイルと過ごしている時に寝落ちしてしまったのである。そして、背中にはゲイルの物であろうミスティ学園の男子用の白いジャケット。日本の海軍の制服みたいなデザインだ。きっとゲイルがかけてくれたのだろう。本当に優しい。私みたいな馬鹿とは釣り合わない。
「はあぁぁぁ……」
私は盛大なため息をつく。寝起きで寝癖もついてそうだし、これから夕食会なんて行けるかなぁ……。でも、欠席するわけにもいかないから、支度をしないと……。そう思った私はベルを鳴らしてルーリンを呼ぶ。するとすぐにドアが開き、ルーリンが入ってきた。
「姫様、お呼びですか?」
「ええ。夕食会の準備をしたいの。もうこんな時間だもの」
夕食会の集合時間は夜6時30分。すぐに準備を始めないと間に合わない。そんな私の意図を汲み取ったのか、ルーリンが頷いて私にクローゼットの前に立つように促す。私が大人しく従うと、ルーリンがクローゼットの中からアイボリーのドレスを出してきた。胸元に水色のリボンがあしらわれたシンプルなドレス。でも、夕食会には相応しくない気がしたので、黙って首を振る。すると今度は私のお気に入りの青いドレスがクローゼットから出てきた。金の糸で裾の部分に鳥と薔薇の刺繍がされ、レースに近い生地の腕の袖の部分がふんわりとした後、キュッと締まっているデザインだ。
「これにするわ。手伝ってくれる?」
私がそう言うと、ルーリンが待ってましたと言うように深く頷く。私が水色のワンピースを脱ぐと、ルーリンが私にコルセットを装着し、ドレスを着せていく。その手際の良さといったら、もう老齢の侍女でもできないんじゃないかってくらい速い。ドレスを着終わると、今度はドレッサーの前の椅子に座らされた。
「髪型は如何なさりますか?」
ルーリンの言葉に、私は少し考え込む。そうだな……。
「前髪を三編みにして、ピンでとめて。後ろ髪は、頭の下のところで大きめのお団子、左右に少し垂らして」
私がそう指示すると、ルーリンが甘い凛とした香りが匂い立つ赤い薔薇のドライフラワーが飾りになったピンを持ってくる。そして、そっと私の前髪を取ると、三つ編みを始める。ルーリンは三つ編みが上手く、毎回私が満足する出来上がりに仕上げてくれる。
「このような感じでよろしいですか?」
ルーリンは私の片方の前髪を三つ編みにし、その編まれていない部分をピンで止めて私に訊く。その言葉に私は頷き、ルーリンに後ろ髪を任せる。すると、程なくして、豪華なヘアセットが施されていた。ルーリンに薄い白粉と薄い紅を塗られ、私は満足から思わず口元が緩むのを押さえられない。
「ありがとう、ルーリン。とっても良いわ」
私がルーリンを見上げると、彼女は恥ずかしそうに微笑む。
「喜んでいただけたのでしたら、とても嬉しいです」
私は靴を白いヒールに緑の宝石があしらわれた物に変え、レイランを連れて部屋を出ようとした。でも、それはルーリンに止められた。
「姫様、レイランをお連れするのはお止め下さい。姫様が旅に出られなくなる可能性があります」
私は彼女の言葉に理由を考える。もしかして、ルーリンの冗談と思って流してたこの年で生き物を作るのがすごい、っていうのが絡んでる?魔法の腕がある王女だと知られたらお父様に命じられて城から出るのも難しくなるかも。私はハッとした。そうしたら旅にも出られない。
「分かった。置いていくわ。ルーリン、着いてきて」
私はそう言って部屋の外に出る。外にはシクセルがいて、驚くことなく「時間か」という表情をすると、歩き出す私に付き従った。
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