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第一王女のドキドキ

 少し短めになっております。

 入ってきたのは艶やかな銀髪に深い青色の瞳の持ち主。

「一の姫殿下(きでんか)、ご無沙汰しています」

その口調が、ああ、私が彼を彼の夢のためと偽って突き放したんだ、という切なさを感じさせる。私は馬鹿だ。旅に出るために最愛の人の心を傷つけて。優しい彼はきっと自分のせいだと言ってくれる。でも、そんなことを言わせたいわけじゃない。だから私は、自分の気持ちに蓋をする。

「ゲイル、よく来て下さいましたね。ゆっくりしてください」

私たちのやり取りに、ルーサムとルーリンが困惑の表情を見せる。それはそうだろう。少し見ないうちに姉や主人とその婚約者の関係がよそよそしくなっているのだから。だが、気を使ったのだろう、二人はゆっくりと部屋を出ていく。それを見届けた私は、森の真ん中を横断するように細長いくぼみを作る。そしてドアの方向に小さな滝を作り、小川を開通させる。それを見ていたゲイルは、目を丸くしている。

「姫殿下、今のは……?」

「私の魔法です。すごいでしょう?」

私が冗談めかして自慢すると、彼は思わずといった感じで頷く。それが少しかわいくて、私は笑ってしまう。

「暑かったでしょう。これで涼みませんか?」

私が問うと、ゲイルは

「ええ。良いですね」

と令嬢十人が一気に落とされる笑顔を浮かべる。それを見た私はああ、私が恋する令嬢の未来を奪っているんだ、と思って遠くを見る目になる。私たちは川に足を浸しながら談笑する。

「今日は何がありました?ジェニファーは元気でしょうか」

「はい。リウレイ嬢は今日も元気でしたが、少し寂しそうでした。貴女がいないのが悲しいのでしょう」

「まあ、そんなことが!」

私が嬉しさに頬を染めると、彼が小川の水をすくって私の顔にかけてきた。

「顔が赤いですよ。冷やさなくては」

「やり方が横暴です!」

今度はむくれた私がゲイルの顔に手から出した水をかける。このような感じで、私たちは子供のような遊びをして、疲れて芝生に寝転がる。すると、頭上にちょうどゲイルの花・サファイアレインが咲いていたので、摘み取った。

「ゲイル、さっき私が作った花よ。貴方をイメージしてみたんだけど、どうかしら」

私が花を差し出すと、寝転がったままいきなり抱き締められる。

「えっ!?」

「本当に、貴女には敵わないな」

そう言いながら彼は触れるだけの口付けをしてくる。その現実を私が理解するのにたっぷり十秒かかった。唇が離れると、私は顔面マグマだ。

「素敵な花だ。でも、薔薇のように真っ赤な頬の貴女の方が美しくて素敵だ」

その言葉に、私はもう爆発寸前の爆弾のような顔色になった。恥ずかしすぎる!ゲイルって、こんなに甘かったかしら!?そんなことを考えて更に顔を赤くしていると、ゲイルの長い指にコメカミの辺りを円を描くように撫でられる。それが前世で知っていた催眠術だと気付いたのは、夢の中でだった。

 読んでくださってありがとうございました!面白かったら、評価・リアクション・感想をお願いします!


 そして先日、星マークの評価の平均が3つになっているのを拝見しました。強欲なたぬきなので、できるだけ評価を上げたいです。至らなかった点をお気軽に感想などでお伝えください。全ての方にお楽しみいただけるよう、できるかぎりの修正を致します。どうか、鈴のたぬきのわがままをお聞き下さい。

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