鍛練の日々、始まります
昼休みに魔法を使っても、ワンチャンバレないのではないか……そう考えてその日の昼休みに魔法を使った私がバカでした。一瞬でみんないに持っている属性の数がバレた。そして、王女であり聖女であるということもバレた。お父様、怒るだろうな。ああ見えて過保護だし。お父様に向ける顔がない。ああ、さらば、アメリア・マンチェスター伯爵令嬢。あなたは今からミハナ・ロイヤルとして生活するのよ。
「マンチェスター嬢って、聖女様だったんですか!?」
「どうりでお美しいわけだわ」
「そういえば、リンルー様と仲良くしていらっしゃいましたものね!」
「リウレイ嬢はどうやって友人になったんだ?」
昼休みが終わった四時間目の始めには、私とジェニファー揃って質問攻めにされた。
「「え、えっと……」」
「「「「教えて下さい!」」」」
「「ひゃー!!」」
結局二人でマリア先生の背中に逃げた。
「あらあら、質問攻めにされたのね。こら、貴方たち、質問攻めは止めなさい」
先生に怒られたクラスメイトたちは、「はーい」と返事をして席に戻っていった。
「ところで、ミハナ様。少しお話があるのです。時間をもらっても?」
マリア先生の声に、私はこくこくと頷く。
「リウレイ嬢、少し席を外してもらっても?」
「はい。分かりました。ミハナ、また後で」
こうしてジェニファーと別れた私たちは、空き教室に入った。
「マリア先生、どのようなご用件でしょうか?」
「あなた様は大変聡明で魔法の操作が上手い。それ故に、暴走してしまった場合は恐ろしい事態になります。よって、本日より、少しずつ魔法の制御の特訓を致します」
はあっ!?聖女って、そんなにめんどくさかったっけ?よく考えれば、主役ではない私が最高記録を突破している時点で原作の設定から外れている。ということは、私は暴走しない?いや、でも、そんな確証はない。だったらやっぱり、特訓しないといけない?嫌だけど妹とバトるよりもましかな。あっ、考えても意味ないか。だってもう選択肢出されてないもん。しょうがない。これも、結界を張るためだと思おう。結界は何属性の魔法でも張れるけど、いかに強い結界を張れるかはその聖女の能力次第だもの。
「……分かりました。私のために貴重なお時間を割いていただき、誠にありがとうございます」
私はそう言って、先生に答える隙も与えず、質問した。
「では早速ですが、先生は何属性の魔法をお使いになられますか?」
「わたくしは、火と草の属性を持っています」
「まあ、草は私も使うことができますわ!」
「ミハナ様、来週いっぱいを使って、結界を張っていただきます。ですので、今週はみっちり鍛練いたしましょう。そして、幸いにもミハナ様は協力な魔法・月光魔法と光魔法を扱えます。この二つの魔法を組み合わせて結界を張る練習をいたしましょう」
え?組み合わせて結界を張るとかできるの知らなかった。原作の知識を持っていても知らなかった。そこで私は気づいた。私、原作を最後まで読まずに転生してしまった……?どうしよう。ラストがわからない。ああもう、そこは自分で調べろって?無理だよ。○ファリあるわけじゃないんだから。予知能力でもあったらなあ。ってあるじゃん。自分という占い師(?)がいるじゃん!
「ミハナ様?話を聞いていただけます?」
そう考えていると超がつくほどにっこり顔のマリア先生。いや怖!私は慌てて答える。
「は、はい!聞きます聞きます!」
こうして、私の鍛練の日々が始まった。
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