新暦1~100年頃
観測肯定派のプレイヤー達が好き勝手やった結果、源の魔神は強くなりました。
彼の魔神は天使を創造し、プレーローマという大組織も作った事で多次元世界中に支配し、好き放題やっていました。ただ、観測肯定派は「ちょっと強くなりすぎかも!」と源の魔神にビビり、観測否定派と手を組んで彼を謀殺しました。
それによって多次元世界は群雄割拠の戦国時代と化しました。源の魔神が生きていた時も「はーーーーい、明日からお前らの世界滅亡で~~~~す!!」って事がホイホイ行われていたので、どっちがマシだったかは意見が分かれるところ。
ただ、プレーローマ一強時代が終わった事で人類文明が盛り返し始めたため、人類にとっては「事態が好転した」と言える状況でした。
それでも相変わらず人類同士で争っていたので、呆れた真白の魔神・メフィストフェレスは人類連盟を作って人類をまとめようとしたりしました。それも失敗し、人類連盟は強国が談合する場になっちゃいました。
真白の魔神「何でキミらは共通の敵がいるのに内ゲバしてんの?」
人類「欲しいものがいっぱいあるから……」
人類「源の魔神死んだんでしょ? じゃあ昔よりプレーローマ弱くなったんだし、その気になればいつでも倒せるよ。その気になれば」
人類「他国も他人種もみんなみんな、信用できないから!!」
人類「資源・土地・奴隷が欲しいなんて考えてナイヨ。後進世界の文明化のため! 優れた人種である我々が支配してあげた方が皆幸せなんだよ」
真白の魔神「そう……」(自殺)
皆がワーワー争ってばかりいるので、多次元世界各所に<流民>が増えていきました。
流民達は「自分達の世界が滅びた」とか「故郷に戻れない事情が出来た」とかで、多次元世界を放浪している民です。中には異世界への渡航技術なんて持っていなかった者達もいましたが――。
天使「人類文明にさぁ……流民を押しつけたら得じゃね?」
天使「なんで? 奴らの戦力増強するだけじゃない?」
天使「同じ世界内でも移民や難民で問題が起こるんだから、他所の人間がワンサカ流れ込んできたら人類文明混乱するんじゃね~? って話」
天使「ほーん、やってみるか」
プレーローマ側が人類文明を牽制する手段として、流民に方舟を渡して他所の世界に逃がすという施策をやってきたのです。
プレーローマ内では源の魔神の死後、跡目争いで内紛が起きていたので「あんまり戦力使わずに人類文明に圧力かけたい!」という考えがあったのです。
流民を使った人類文明への圧力は、それなりに上手くいきました。流民が来た事で逆に助かった世界もありましたが、多くの世界が余所者を嫌い、それは争いを生みました。
流民を安く使える労働力として消費している人類文明も多くありますが、過酷な労働環境に怒った流民が武装蜂起して大きな紛争が起こる事もありました。
流民「オレ達だってさぁ!! 故郷で平和に暮らしたいよ!!」
流民「でも、帰る故郷がもうないから……」
陸の民「ええ、そうでしょう。だから私達が保護します」
陸の民「食べものも住居も服も、そして仕事場も用意しますよ」
流民「仕事場? あんな劣悪な環境が仕事場と言えるのか?」
流民「あんなのは処刑場だ!!」
陸の民「働かざる者、食うべからずですよ」
流民を手厚くする国家もありました。ただ、あまりにも多くの流民が押し寄せてくると受け入れられなくなり、国家機能そのものがパンクする事もありました。
国家が破綻するところまで行かずとも、ちょっとした不況が現住の民を焦らせ、「流民なんて負担をかかえているから、俺達が苦しいんだ」「流民を追い出して、流民保護に使う金を俺達に回せ!」と主張し、流民排斥運動に繋がっていきました。
苦しい生活を送る流民達は生きる糧を得るため、犯罪に手を染めていきました。快楽のために犯罪をする流民もいましたが、多くが「生きたい」「家族を守りたい」という願いから手を汚していきました。その汚れが簡単には消えないものだとわかっていても。
陸の民「流民はろくでもねえ。アイツら犯罪ばっかりしてやがる!」
陸の民「流民は人類文明の寄生虫だ。寄生虫は始末しろ!」
陸の民「お前も犯罪者だな!!」
子供「な、なんで……!? ボク、ついこの間、なくなっちゃった世界から逃げてきて……」
子供「悪いことなんて、なにもしてないよ! 信じて!」
陸の民「流民ってだけで犯罪者候補なんだ。いや、お前達の存在が罪なんだ」
陸の民「罪を炎で清めよ! 我ら、命火教が世界を浄化す――――」
流民「キミ、大丈夫か!? 助けに来たぞ!」
子供「あ、ありがとう……」
流民「陸の奴らは自分達の事しか考えていないクズなんだ」
流民「クズは殺せ。奪え。キミもコイツらを殺せば、<カヴン>の仲間にしてやろう」
カヴンは流民達の受け皿になっていきました。
ただ、当時のカヴンは弱体化していました。




