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7年前、僕らは名誉オークだった  作者: ▲■▲
番外編:観測肯定派やらか史
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新暦1~146年頃



観測肯定派「源の魔神が死んで世界秩序がメチャクチャだよ!!」


観測肯定派「くそっ、早く新しい秩序の神を作らないと!!」


【詐欺師】「また秩序の神に頼るんですか?」(ドン引き)


観測肯定派「そうだよ。やっぱさぁ、超つよい神様は必要なんだよ!!」


 本当に必要なのかはともかく、源の魔神の死は多次元世界中に波及しました。


 源の魔神が統べるディストピアから群雄割拠の戦国時代と化したのです。源の魔神を殺さないと自分達の身が危うかったとはいえ、観測肯定派はまたまた焦り始めました。


 問題解決のために新しい秩序の神を作り、その神に世界を統べさせる事で自分達にとって都合の良い状況を作ろうとしました。


 さすがに全て元通りとはいかないので、新世界秩序についていけず脱落する観測肯定派のプレイヤーもいました。泥縄商事の社長のオリジナルも観測肯定派に所属していたのですが、世界情勢の急変についていけなくなりました。


【楽士】「あたしの持ってる予言の書、源の魔神ありきのものなんですけど!! 源の魔神が死んだ後の観測結果なんて持ってない……!!」


観測肯定派「つまり、用済みだね」


【楽士】「ほげっ……!!」


観測肯定派「ノンプレイヤー共と暮らしてろ。ペッ!」(ツバを飛ばす)


観測肯定派「いや、こいつはこいつで実験材料に使える」


 脱落者も出たものの、観測肯定派はとにかく新しい秩序の神作成に挑みました。


 源の魔神討伐に関与させた1人の人間に接触し、原典聖剣のコピーが受肉した存在のラプラスを利用し、その人間を原典聖剣と繋いだのです。


観測肯定派「これでこいつは原典聖剣の観測情報を引き出せる。数多の多次元世界で生まれた技術を引き出す最高の発明家になる」


観測肯定派「知識チートってやつか」


観測肯定派「個体としては弱すぎないか? 転生能力はあるけど……」


観測肯定派「弱くていいんだ。手に負えなくなった時、殺処分しやすい」


 観測肯定派は源の魔神の時の反省を生かし、新しい秩序の神を「個体としては弱い」存在にしました。開発者としては超天才でも、戦士としては雑魚なら与しやすいと考えたのです。


 こうして<真白の魔神・メフィストフェレス>は秩序の神に祭り上げられました。普通なら原典聖剣と繋がれると情報の洪水が流れ込んできて発狂するのですが、メフィストは常人より耐性があるのでちょっと発狂するぐらいで済みました。


メフィスト「人類……守護らなければ……」


観測肯定派「いいぞ。あと私達は5000兆円欲しいゾ」


メフィスト「人類文明でも作れる混沌機関の設計図! 流体装甲! できた!!」


観測肯定派「いいぞ! もっと知識チートしろ!!」


メフィスト「死者蘇生技術開発すっぞ!! できた!! いや、できてない!! 無尽機(こいつら)はスワンプマン以下だ!! 失敗作!!」


【楽士】だった者「え~~~~ん!!」


観測肯定派「まあ兵器としては十分使えるし……」


メフィスト「神器使いをさぁ、ニコイチにしたら2つの神器を使えるようになるんじゃない!?」


観測肯定派「倫理×か?」


 真白の魔神は原典聖剣から流れ込んでくる知識により、次々と歴史を変えるレベルの発明をしました。技術によって世界を統べようとしました。


 源の魔神が死んだとはいえ、プレーローマは健在。源の魔神無しでも十分に強いプレーローマを倒すため、メフィストは人類文明をまとめ上げようとしました。


 そのために人類連盟を作りました。観測肯定派はそれを陰からサポートしつつ、源の魔神を失ったプレーローマの混乱期が長引く続くよう工作もやってました。


観測肯定派「プレーローマは跡目争いで大荒れ! 真白の魔神に人類文明をまとめさせてしまえば、新たな秩序が誕生する!」


観測肯定派「今度は人類文明による秩序だから、私達も紛れ込みやすいな」


観測肯定派「やっぱ平和が一番よ」


観測肯定派「大変だ! 真白の魔神が死んだ!!」


観測肯定派「「「ほげっ……!!」」」


 真白の魔神による新世界秩序構築が上手く進んだのは最初だけでした。


 というのも観測否定派の【絵師】が「気に入らない」という事で妨害してきたのです。具体的には観測肯定派の使いっ走りとなっていた【占星術師】と【詐欺師】の兄弟をそそのかし、2人の誘導で真白の魔神を自殺に導いたのです。


観測肯定派「ま、まだだだだだ、慌てる時間じゃない」


観測肯定派「真白の魔神は転生能力を持っている! 死んでもどこかで蘇る!」


観測肯定派「回収して調整したら、まだ秩序の神として使えるはず!!」


夢葬の魔神の使徒「その前に死ね」


観測肯定派「「「ほげっ……!!」」」


 観測肯定派は予定外の事件に慌てふためき、転生によって行方不明となった真白の魔神を見つけ出そうとしました。が、プレイヤー狩りを行っている夢葬の魔神一派に狩られ始め、それどころではなくなりました。


観測肯定派「ククク……。【船長】達がやられたようだな?」


【後援者】「これ……マズくないですか!? バケモンだ、バケモン……」


観測肯定派「お前、夢葬の魔神に情報漏洩してない?」


観測肯定派「お前もアレを秩序の神にするのは難色示してたよなぁ?」


【後援者】「やめましょうよ! 仲間割れなんて!」


【後援者】「現状の戦力で夢葬の魔神に勝つのは不可能です。我々はゴキブリのように闇に潜り、細々とやっていくしかありませんよ」


観測肯定派「……しばらくは真白の魔神と距離を取るしかないな。真白の魔神の近辺で夢葬の魔神の使徒が網を張っている可能性もある」


観測肯定派「支持する」


観測肯定派「致し方ない。真白の魔神に代わる新しい秩序の神を作ろう」


観測肯定派「収監中の武司天を使うか」


観測肯定派「武司天を制御できると思うか?」


観測肯定派「ならば神子か」


 真白の魔神を秩序の神に祭り上げる計画は失敗に終わり、観測肯定派は闇の中へといそいそと戻っていきました。真白の魔神を原典聖剣と繋いじゃった後始末は特にしません。だって夢葬の魔神(こわいひと)が来たら嫌だし……。


 一方、【絵師】にそそのかされて真白の魔神の死を誘導した【占星術師】と【詐欺師】は報酬として所有者不在の予言の書を貰う事になりました。


【占星術師】「ヤッタ! これで俺達も幸せになれるぞ!!」


【詐欺師】「なんか……おかしくない?」


【詐欺師】「予言の書は貴重なもの。所有者不在のそれを【絵師】が譲ってくれるなんて、既に無価値になったページか、何らかの問題があるページなんじゃ……」


【占星術師】「いやこれ超有益な情報が載ってるぞ!! 交国計画……これはいいものだ」


 観測肯定派でずっと虐げられていた【占星術師】は新たな力に興奮しました。


 しかし、彼が【絵師】に掴まされた予言の書は汚染されていました。


 汚染源は真白の魔神。ただ、それは「名誉オーク」の世界の多次元世界とは別の多次元世界で生まれた真白の魔神でした。


 その真白の魔神も原典聖剣と繋がって力を得た結果、原典聖剣経由で他の多次元世界にもちょっかいを出す方法を考案しました。原典聖剣の観測結果に自分の術式を潜り込ませ、一部のプレイヤーやプレイヤーに関わった人々を蝕んでいったのです。


 蝕まれた人々は【占星術師】のように正気を失っていきました。並行多次元世界の真白の魔神の都合の良い手駒にされていきました。


 汚染されている予言の書とはいえ、記されている情報は有益なものが多く、それに目が眩んだ【占星術師】は汚染されている自覚なくおかしくなっていきました。


【後援者】「バケモンだ、バケモン……」


【後援者】「夢葬の魔神と同じく、1つの多次元世界(せかい)で完結しない超越者」


【絵師】「こんな奴らが生まれるから、観測なんてさっさと終わらせるべきなんだよ~」


【絵師】「数多の多次元世界が生まれ、もつれ合った因果の糸が立派な織物になる事もある。けど、そんな奇跡が生まれる前に無数の毛玉(バケモノ)が誕生する」


【絵師】「それはいずれ、何もかも終わらせるかもしれない」


【後援者】「その手の化け物に、ただの人間が抗うのは難しい」


【後援者】「だからこそ、予言の書が必要なんじゃないかな?」


【絵師】「化け物には化け物で対抗しろと? 理解に苦しむね……」





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