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7年前、僕らは名誉オークだった  作者: ▲■▲
第6.0章:交国計画
831/875

弐号



■title:交国首都<白元>にて

■from:使徒・丘崎獅真


「あの坊主共、やりやがったな!!」


 バフォメットの雷撃が大地を焼いた次の瞬間、逆に機兵化したバフォメットが雷撃に焼かれていた。坊主共が何かやったらしい。


 真白が乗り込んでいるバフォメットが膝をついている。


 指揮官である真白が死にかけている影響か、交国計画の動きも鈍っている。


 坊主共に加勢して、このまま真白を――――。




■title:交国首都<白元>にて

■from:死にたがりのスアルタウ


『ラート! まだだ(・・・)!!』


 敵は健在。


 敵機兵の中に、まだ魂が観える。


 相手の雷撃を打ち返し、相当なダメージを与えたはずだけど……仕留める直前に抵抗された。燼器の力でこっちの逆撃(カウンター)を僅かに押し返した。


 相手が膝をつくほどの痛打は与えたけど、まだ倒せていない。


『早く、真白の魔神を――』


「補修を頼む! 機兵はこのまま俺が動かす!」


 雷撃で溶かされた大剣と機兵本体を流体装甲で補修しつつ、走る。


 機兵用の銃で真白の魔神を撃ってもらったが、交国計画で作られた壁に阻まれる。けど、敵に先程までの勢いがない。確実に弱らせている。


 あと少し。


 もう少し詰め寄って、虹式煌剣で確実に仕留める。


 急がないと。


 交国計画で造り上げられた小型機兵にヴィオラ姉さん達が追われている。敵に追われ、地上近くまで上がってきている。


 大丈夫。


 巽さん達も、あと少しで到着する。


『き……キサマらっ……! 神に……神に逆らうつもりかッ!!』


 桃華お嬢様の――いや、真白の魔神の濁った声が聞こえる。


 交国計画で壁を作り、苦し紛れの抵抗をしてくる。


 邪魔な壁を飛び越え、敵へと迫る。


 さすがの真白の魔神、もう弱っている。


 バフォメットも、抵抗できる状態じゃない。


『大人しく、支配されていればいいものを! 神である私が、全てを決めてやるのに――』


「勝手に決めんな!」


『僕達の事は、僕達自身で決めます! 神様の出る幕じゃないっ!』


 大剣の補修を終える。


 這ってでも逃げようとしている真白の魔神を、間合いに収める。


 これで、僕らの――――




■title:交国首都<白元>にて

■from:ヴァイオレット


「――――」


 違う。


 これは違う。


「みんな、避けて!!」


 警告する。


 でも、遅かった。


 私がもっと早く気づいていれば――――




■title:交国首都<白元>にて

■from:真白の魔神・メフィストフェレス ver.17.1.0


「悪かったね。舐めすぎてた」


 認めよう。


 キミ達は強い。


 道具に頼らないと弱い神モドキ(わたし)より強い。


 けど、勝てなきゃ強くても意味ないよね。


救済執行(オーダー)海門解放(・・・・)・神器解放」




■title:交国首都<白元>にて

■from:影竜のタツミ


「――――」


 地面がごっそり消失した。


 地面が吹き飛んだんじゃねえ。これは――。


海門(ゲート)……!!」


 真白の魔神に向かう経路上に罠を仕込まれていた。


 馬鹿デカイ海門が、急に開いた。


 俺達を海門に叩き落とそうと、交国計画の兵器群が攻撃を仕掛けてくる。


 それでも何とか海門から這い出ようとしたが――。


「ぬおっ!? なんだぁっ……!?」


「これは……睦月の神器か!!」


 海門経由で雪崩れ込んできた混沌の海が、1つの生物のように襲ってきた。


 睦月の神器で混沌が操られている。敵が、アイツの神器まで使ってきた。




■title:交国本土近海にて

■from:使徒・丘崎獅真


「チッ……!!」


 混沌の海(うみ)に引きずり込まれた。


 界内に戻ろうにも、海門が閉じた。締め出された。


 それだけなら良かったんだが――。


「まあ、そう来るわぁ……!!」


 近くで爆弾が弾けた。


 その爆発に釣られ、混沌の海が荒れ狂い始め、俺達を飲み込んで――。




■title:交国本土近海にて

■from:<北辰隊>副長のオズワルド・ラート


「なッ……!!」


 こっちの救援に向かってきていた警備隊長(タツミ)達が混沌に飲まれた。


 数キロに渡る巨大な海門に飲まれ、混沌の海に追い出された。


 規模は全然違うが、この戦術は俺達もネウロンで使った――。


星屑隊(きみたち)の戦術、使わせてもらったよ』


「このパクリ野郎!!」


 足掻いてきやがった。


 けど、所詮は最後の足掻き――。


「『――――!!?』」


 振り上げた大剣に砲撃(・・)が命中した。


 大剣どころか、機体にも砲撃が当たり、吹っ飛ばされる。


 バフォメットからの攻撃じゃねえ。これは――。


「こ、交国計画からの攻撃だと!?」


『僕には攻撃できないはずじゃ……!』


『そうだね。交国計画は(・・・・・)キミに攻撃できない』


 さらに攻撃が来る。


 四方八方から、兵器群がこっちに攻撃を――。




■title:交国首都<白元>にて

■from:ヴァイオレット


「どういう事!? フェルグス君の権限を停止されたの!!?」


「いえ、これは多分、別の(・・)……!」


『そうそう、その通り。ヴァイオレットちゃんは賢いでちゅね~』


 敵の軍団に追われ、地上まで出てきた瞬間、機兵化したバフォメットさんが降ってきた。私達のところまで飛んできた。


 バフォメットさんは満身創痍の様子だけど、真白の魔神の声には張りがあった。……自分の企みが全て上手くいったような上機嫌さを感じる声だ。


 満身創痍のバフォメットさんも、着地の次の瞬間には補修されていた。真白の魔神が「交国計画」を使って瞬時に補修したんだろう。


 けど、おそらく、その交国計画は私達が知っているものとは違う。


 別物なんだ。


 何の枷もない、別物なんだ。


「……作り直したんですね、交国計画を……」


『うん。枷を外すには、この方が手っ取り早かったからねぇ』


 真白の魔神はしっかり対処してきた。


 こっちの希望を、粉砕してきた。








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