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7年前、僕らは名誉オークだった  作者: ▲■▲
第6.0章:交国計画
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過去:いまじなりねこ



■title:星屑隊母艦<隕鉄>にて

■from:死にたがりのラート


「あれが……ヴィオラの言ってた『幻覚』ってヤツか?」


「はい。どうも、2人には猫の幻が見えるみたいで……」


 甲板でノンビリ過ごしているフェルグスとスアルタウの様子を見守りつつ、ヴィオラとこっそり言葉を交わす。


 一見、フェルグス達は普通に過ごしているようだが……兄弟以外の「何か」に話しかけている。その「何か」に手を伸ばし、撫でる仕草もしている。


 だが、俺達には何も見えねえ。


 本人達には「猫」が見えているらしいが――。


「猫は飛ばねえし、そもそも……透明じゃねえよな?」


「透明な何かがいるわけでもないんですよ。2人が、その……『マーリン』? って猫を触っている時、私も手を伸ばした事があるんですが……」


 困り眉になっているヴィオラが、「触れることは出来ませんでした」と言った。


 フェルグスもスアルタウも、ずっと前から幻覚や幻聴の症状があるらしい。


 存在しない猫を愛でたり、心配しているらしい。


 一緒に過ごすうちに、俺もそれらしい光景は何度も見てきた。ヴィオラに事前に注意されていたから否定せず、見守るだけにしてきたが――。


「あ……そうだ。ロッカとグローニャには観えてないのか?」


 俺達と違って、アイツらは巫術師だ。


 巫術の眼で「猫」の魂が観えていたりしないのか――と問いかけたが、ロッカ達にも観えていないらしい。


 グローニャは見えない猫を撫で繰り回したかったらしく、「フェルグスちゃん達が、グローニャにナイショでカワイイの隠してる!!」と言い、躍起になって探していた時期もあったらしいが……見つからなくてふてくされ、探すのをやめたらしい。「フェルグスちゃん達がウソ言ってる」と結論づけたらしい。


 特別行動兵という立場もあって、ヴィオラは相談出来る人がいなくてメチャクチャ困っているらしい。フェルグス達に「マーリンなんて子はいないんだよ」と指摘するわけにもいかず、困り果てているらしい。


「あの子達だけ、鎮痛剤によって悪影響が出ているのかも……」


「キャスター先生にも相談してみよう。あの人なら協力してくれるよ」


 不安がるヴィオラを元気づける。「大丈夫だ」と語りかける。


 きっと、薬の悪影響とかじゃない。


 今のネウロンの状況がストレスだから、存在しない猫を自分達で見いだして……少しでも心穏やかでいようと頑張っているんだろう。


 ……何とかしてやらないと。


 ストレス感じてるのは、交国軍(おれたち)の所為でもあるだろうし――。
















■title:星屑隊母艦<隕鉄>にて

■from:フワフワマンジュウネコモドキのマーリン


「にゃぁ~ん♪ ぷるぷるぷる……♪ いあ! いあ! にゃぁ~ん♪」




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