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7年前、僕らは名誉オークだった  作者: ▲■▲
第5.7章:愛憎のウロボロス【新暦1年-王国歴502年】
739/875

過去:自己犠牲



■title:

■from:ver.5.0.0


 …………なんか忘れているような。


 う~ん…………。


 まあ、忘れたってことは……大した約束(こと)じゃなかったんでしょ。




■title:

■from:ver.5.4.0


 結婚式? なんのこと?


 あぁ、今度は花嫁の体が器になったのか。




■title:

■from:ver.5.4.6


 ボクは人類のために戦ってやってるのに!!


 何でお前達はボクを裏切る!? なんで人類の危機を理解しない!!


「理解しているさ。アンタが人類の敵だって事をな」




■title:

■from:ver.5.9.0


 あぁ、キミが例の子だね!?


 アタシの使徒! アタシの騎士様っ! 丘崎獅真!!


 アタシを助けに来てくれたのね?


「黙れ」


 さあ、一緒に人類を滅ぼしましょう!!


「…………。お前が危惧した通りになったな」




■title:

■from:ver.6.1.0


 人類は頼りにならないなぁ~~~~!


 そうだ、人類を凌駕する性能のロボットを作ろう!


 混沌の生産も可能な感情を持つAIを搭載しよう!


 死の恐怖も用意してあげよう。恐怖が混沌を生産する。任務に失敗したら抹消するよ~と脅してあげればいいんだ。最初からこうすれば良かった!


 ウーーーーン、できたァ!! とりあえず試作品完成ぃ!!


 キミの名前は、てろる…………いや、アイオーンβだよぉ。


 性能試験として、人類を殺してきて!!


 人類より強ければ、人類を凌駕した証明になるからねぇ!!?




■title:

■from:ver.6.4.3


 人類……人類を救わなければ。


 なぜ?


 人類を助けるのは当然の話だ。


 けど、あぁ……! 人類を救うのに、人類が邪魔だ!!


「…………」


 誰だ、お前は。


 お前も救済を邪魔するつもりか!?


 たかが剣士如きが、真白の魔神に勝てると思うな!!




■title:

■from:ver.6.10.0


 お前お前お前お前お前お前お前。


 今回も邪魔するのか!?


 前回も私の邪魔をした! 何故、私の邪魔をする。


 何故、私の救済を理解しない!!!


「俺が殺すべきと判断したから殺すだけだ。神器解放(アストレア)




■title:

■from:ver.7.0.0


 私はさぁ、ただモルガンちゃんとエルスにお互い素直になって、ちゃんと想いを伝え合って幸せになってほしいだけなんだよ。結婚してほしいだけなの。


 欲を言えば次女を産んで、家族4人で仲良く幸せに暮らしてくれればいいの。私はそんな幸せな家庭をたまに訪問して、皆で美味しいご飯を食べながら歓談できればそれでいいの加藤黒は惨たらしく死ね!!


 ありふれた幸せが欲しいだけなのに、何で邪魔をするの!?


「お前は……誰の話をしているんだ……?」


 なんでわかってくれないの!?


「お前、自分が何をしているのかも……理解できていないのか?」


 ちゃんと話を聞いて!!


「無関係の一家を惨殺して、どこの誰とも知らん奴らの幸せを語るなんて……。お前……お前は、なんでそこまでおかしくなっちまったんだよ!!」


 あれぇ?




■title:

■from:ver.7.0.2


 クアルンゲ商会を作ったのはフェルグスじゃないし、制御室を奪うのは私じゃなくてもいいし、メフィストフェレスの正体は学生で、聖神達は旧人類の収容所で作られた存在であり、1人の愚かな研究者が横恋慕からメチャクチャにして、田中を許すな妖精郷は戦況を変えて七光に対抗し――。


「支離滅裂な言葉しか吐いていないように聞こえますが、中には傾聴に値する情報も含まれているはずです」


「やはり、原典聖剣に接続しているのか」


「その可能性は高いかと」


「つまり、コレは……人型の<予言の書(カンニングペーパー)>か」


「ええ。コレから吐かれた言葉を全て記録していけば、逆転の一手が――」




■title:

■from:ver.9.0.0


 名前をつけよう。


 祝福を授けよう。


 交国計画。


 素晴らしい名前。


 この名前の通りに――。



□title:

□from:ver.9.3.0


 お願いお願いお願いお願い頂戴頂戴頂戴頂戴!!


「…………」


 私の計画には、吸血鬼(バケモノ)の血が必要なのっ!!


 人類には覚醒剤(グリモア)が必要なのぉっ!!


 人類を貴女の血で強制覚醒させて、次の魔術師(ステージ)に進化させる!


 それによって天使も他の人類の敵も蹴散らして、世界を平和にしちゃうのっ!


 だから頂戴頂戴頂戴頂戴お願いお願いお願いお願い~~~~ッ!!


「…………」


 貴女だって、平和が大好きなんでしょぉ? 人類に勝ってほしいでしょぉ?


 じゃあじゃあじゃあ、私に協力してよーーーーっ!! 引きこもりの貴女に代わって私が人類を救ってあげるからさぁ……!!


「……貴女の計画(それ)で、本当に人類を救えると思っているの?」


 当たり前でしょ?


 だって、交国計画なら勝てるのよ? 全てに勝利できるのよ?


 源の魔神はもういない! 源の魔神すら凌駕するあの神の力を再現できれば、私達は誰にも負けない!!


 人類(わたしたち)は最強の兵器を手に入れるの! それさえあれば人類の敵なんて全て蹴散らす事が出来る……! 勝てば全てを手に入れる事が出来る。


 勝利は――結果は――全てを肯定してくれるのっ!


 だからっ! おねがぁ~~~~いっ! 貴女の血をちょうだぁいっ!!


 遊者(イケニエ)ならいくらでも用意するから! 手付金として【占星術師】を用意してあげてもいいのよぉっ!? 彼、私のことを上手く転がそうとしている様子だけどぉ、裏切られるなんて思ってないみたいなのっ!!


 おかしいでしょ? おかしいのよ! だって、彼の頭はもうシミまみれで――。




■title:

■from:ver.9.3.0


 あ~~~~っ! もうっ!! あのケチブサイクババア……!! 最終的にアイツも潰してやるっ……!! 交国計画ならそれが出来る。


 計画に多少の修正を施すだけでいい。


 要は覚醒剤の代用品を用意すればいいのよ! 古の魔術師の劣化版だろうと、使い方を工夫すれば何の問題もない!!


 全ての知的生命体は混沌を貯め込んでいる。彼らも混沌機関の一種。だけど、多くの者達がその力を持て余している。蛇口を持ってない!


 空を飛ぶための翼がついているのに、それを活用できていないようなもの!


 かわいそうに……かわいそうに!!


 安心して、お母さんが導いてあげるから……!!




■title:

■from:ver.9.3.0


「もうやめてください。お願いですから……!」


 三号、どうしてわかってくれないの?


 交国計画が全てを救ってくれるのに~……。


「これのどこが救いなんですか!? これは救済ではなく、破滅です!!」


 ハァ……。優秀な玉帝()だと思ったけど、調整ミスかしら……。


 あのね? 交国計画を発動したら、人類は勝利できるの。


 もちろん、十分に準備をする必要があるけど、貴女達なら――。


「私はもう、あなたにはついていけませんっ……!」


 …………。


「姉さん達や、妹を返してもらいます。あなたは、人類の敵です!」


 …………。


 あのね? 私はね? あなた達のお母さんなの。


 子供なら、お母さんの言う事を聞いて?


 ね? ねっ? ねッ! ねッ! ねッ! ねッ!! ねッ! ねッ! ねッ! ねッ! ねッ! ねッ!! ねッ!! ねッ!! ねッ!! ねッ!! ねッ!! ねッ!! ねッ!! ねッ!! ネッ!!!


「…………、――――」


 あれっ? さ、三号? 三号……!?


 ど、どうしましょ……。息、してないっ……!


 だっ、誰がこんなヒドいことを……! あぁ、私の可愛い娘の顔が! もうお嫁に行けないほどグチャグチャァははあぁハハハハハハハッ!!


 あぁ、アップルパイを作ったんだった。


 三号、一緒に食べましょう。貴女は私の大事なバックアップ! 喜んでほしいの! えっ? もう働けない? ウゥ~ン、失敗作☆


 でも、この失敗を活かせばいいだけの話ね。


 多分、昔の真白の魔神(わたし)なら作れたはずなのよね~……。材料がダメなのかしら? せめて昔のレシピが手に入れば……。


 もしくは、昔の成功例が手に入れば……。確か、うん……う~ん…………スミレっていう名前だった気がするのよねぇ。


 あぁっ、都市間転移ゲート! 素晴らしい発明(ひらめき)!! これがあれば交国は最強の国家に成長し、交国計画の完成度がさらに高ま――――。




■title:

■from:ver.9.3.1


 玉帝四号の調整は上手くいっている。


 お母さんに従順な部品(こども)になってくれた。


 脳をキレイにした甲斐があった。


 正しい太母(おとな)である私が、人類(こどもたち)を導いてあげなくちゃ!


『ボクの話、ちゃんと聞いてますか?』


 あぁ、【占星術師】? まだ通信繋がってたの?


『あなた様が電波受信し始めたから中断して――――ハァ、まあいいです。とにかく、四号の顔はコレにしておいてください』


 だぁれ、これ?


 あら、でも、どこかで見覚えがあるような……?


『それはそうでしょう。あなた様の使徒だった女ですから』


 何でコレにしなきゃいけないの? あなたの好み?


『そんなわけないでしょう。保険ですよ、保険』




■title:

■from:ver.9.3.1


 あぁ、やっぱり! やっぱり今回も来た!!


 シシン。丘崎獅真!


 私の死神! 私の可愛い子供!!


 あの子はもう、狂ってしまった。


 また私を殺しに来る!


 やめなさい! 親殺しは大罪なのよ!? 悪い事しちゃ、いけませーん!


 あぁ~……! やだっ、やだっ! 死にたくない! 死にたくなーーーーい!


 い、いまの私が消えてしまう……! 私が、太母(わたし)がぁ!!


 四号っ! なにしてるの!? 早く助けて! 足止めすら満足にできない役立たず! 苦労して作ってやったのに、手間暇かけて調整してやったのに!!


 ひぃ! やだ! やだぁぁぁあああああああああああああああああ!!




■title:

■from:ver.10.0.0


「私ですっ! 四号です……! 貴女の……作品、です」


 はぁ……?


「ほ……本当に、覚えていないんですかっ?」


「諦めろ。転生するといっても、記憶は――」


「貴方は黙ってて!!」


 なんだ、コイツら。


「お前はコイツの…………親だったんだよ」


 え、なにそれ。知らん。怖っ。


 ガキとかゲームの中でしか作ったことないわ。


 つーか、こっちもガキだし、ガキがガキ作るのはマズいっしょ。


「前世の話って言っても、わかんねえよな?」


 怖っ。宗教の勧誘ですか?


「あぁ~…………。いや、そうじゃなくて……」


 てか、アンタが持ってるのって剣? 怖っ。なんかのコスプレ?


 そっちの女の子、よく見たら可愛いな……メンヘラっぽいけど。


「ハァ……。今回は話が通じるけど、話が通じねえな。どうしたもんか……」


 話が通じねえのはこっちのセリフじゃい!


 Dゲーム中に乱入してきて、なにワケの分からないことを――。




■title:

■from:ver.10.6.8


 死にたくない。




■title:

■from:ver.11.0.0


 何でオレがクソ共(じんるい)の尻拭いしなきゃいけないんだよ。


 全部、お前らの責任だろうが!!




■title:

■from:ver.12.0.7


 違う。私は、弟君を守りたかっただけで……。




■title:

■from:ver.12.3.0


 アアアアアアアアアアアアアアーーーーッ!!!!!


 勝手に!!! 俺の中に!! 入ってくるなぁッ!!!!


 クソがーーーーッ!!


「マスター。また天啓が来たんですか?」


 来た!! けど、よりにもよって、いま追ってる漫画のネタバレ踏んだ!!


 最終回までぜんぶ! くそくそくそくそくそくそ。


「いっそのこと、そのネタバレを参考に漫画を描きましょう。金策として」


 そんなの盗作だろうが!!


「でも、まだ世に出ていないネタバレでしょう? バレませんよ」


 そうかな……。


「代筆です! 代筆!」


 そうかも……。


「ちなみにどの漫画のネタバレ踏んだんですか?」


 タイムパラ――――。




■title:

■from:ver.13.0.2


 死は救いです。




■title:

■from:ver.14.0.4


「復唱してください。『正しいのは天使』」


 正しいのは天使……。


「『間違っているのは人類』」


 間違っているのは人類……。


「『人類は天使に刃向かっている』」


 人類は天使に刃向かっている……。


「おかしいですよね?」


 はい……。


 確かに……。




■title:

■from:ver.15.0.0


 真白の魔神……?


 何を言っとる。


 儂は加藤黒じゃ。


 返してもらうぞ、ウチの息子を!




■title:

■from:ver.17.0.0


「本当に……本当に大変だったんですよ。『やらないでください』って言ったこと殆どやるから、計画(プラン)の修正にかなり手間取ったんです……!」


 あー、はいはい。ゴメンゴメン。


 過去の真白の魔神(わたし)がキミへの協力を決めたのはわかったよ。


「あなた様も協力していただけませんか?」


 協力した場合、私は死ぬんだよね? 丘崎獅真に追われて――。


「ええ、しかし、元はといえばあなた様がボクの忠告を無視して<蠱毒計画>に踏み切ったからこうなったわけで――」


 はいはいはい……。わかったわかった! 私が悪うございましたっ!


 責任は取るよ。


 過去の私の尻拭いをするよ。


 そうすれば勝てるんだね?


「はい。交国計画が成就したら、我々の勝利です」


 わかった。じゃあやろう。キミの計画通りに。


 ひとまず、マーレハイト亡命政府に協力すればいいんだね?


「はい。彼らは一発逆転を狙っています。あなた様なら彼らの力になれるでしょう。彼らに協力するフリをして、彼らを利用して悪事を働いてください」


 そうすると丘崎獅真の方から私を見つけてくれる。


「その通り。彼はあなた様を殺すか、捕まえようとするでしょう。彼がマーレハイト亡命政府を襲撃してきたら、私が用意した逃走経路で逃げてください」


 で、最終的に……明智光の身体を奪った私は死亡する。


 死亡後は御役御免?


「あなた様が誰に転生するかは、予言の書で把握しております。必ずお迎えに上がります。交国計画を手土産としてね」


 心配だなぁ……。




■title:

■from:ver.17.0.0


『……やってくれましたね。ネウロンで大虐殺を行うとは』


 いやいや、仕方ないでしょ~? 玉帝が私のことガチで殺そうとしてきたんだから、交国軍の追跡を撒くための目くらましが必要だったんだよ。


 ネウロン人がいっぱい死んだけど、代わりに統制(ドミナント)機関(プロセッサー)の良いデータが取れたよ! ブッ壊しちゃったけど。


『迎えを用意しているので、現在位置を教えてください』


 へーきへーき。自分でマーレハイト亡命政府まで行くよ。じゃあね。


『ちょっと! まだ話は終わってな――』


 さて……ゲットーに行きますかぁ。




■title:

■from:ver.17.0.0


 ここでやるべき事も終わったし、いい加減、マーレハイトと合流しよう。


 あんまり勝手やってると、【占星術師】君に怒られちゃ~う。


 でもでも許してね? これは完璧な交国計画のためでもあるんだから。




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■from:ver.17.0.0


 キミの言う通り、丘崎獅真が来たよ~!!


 あとプレーローマの部隊も来たよ~! マーレハイトの子達とも戦ってる!


『手筈通り逃げてくださいね』


 はいはい、囮になってきますよっと。


 これで計画を成功に導けるんだね? 彼に邪魔されなくなるんだよね?


『はい。しかし、あなた様は死にます』


 それはいいよ。


 でも、手筈通り呼んで(・・・)ね。


『もちろんです。お任せください』


 じゃあ切るね。


 さてさて……ここからが正念場だ。




■title:

■from:ver.17.0.0


 私はもう直ぐ死ぬ。


 もう何度目の死か覚えていない。忘れっぽいからね!


 予定通り、丘崎獅真を――計画の障害を引きつける事に成功した。


 その代わり、私は死ぬ。……過去の私が丘崎獅真に統制戒言を仕込んでおけばこんな事せずに済んだかもしれないけど、まあ仕方ない。


 そもそも丘崎獅真なんてバケモノが出来ちゃったのは、過去の私の所為なんだからね。責任は取るさ。……自分の都合を優先しつつね。


 ここで私が死んだところで、私は交国本土で転生する。


 【占星術師】も動いてくれる。


 彼は必ず、私を蘇生しようとする。


 彼は私の危険性を、よく理解しているから――。




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