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7年前、僕らは名誉オークだった  作者: ▲■▲
第5.7章:愛憎のウロボロス【新暦1年-王国歴502年】
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過去:ある女の終わりと始まり



■title:

■from:ver.0.0.2


 私は誰? ここはどこ?


 そんなドラマのような感想を抱く日が来るなんて、思わなかった。


 いや、その記憶すらないんだから、かつての私が考えていた可能性はあるか。


 どうやら私は記憶喪失らしい。……覚えているのは、とても断片的な記憶。


 私は源の魔神(だれか)と戦っていた。しかし敗れた。


 敗れ、死んだはずだけど……いま、ここで生きている。




■title:

■from:ver.0.0.2


 私は「メフィストフェレス」と言うらしい。


 魔神の一柱、真白の魔神であり……何をするも私の自由だと言われた。


 自由だと言われても困る。ただ、やりたい事はある。


 死者を蘇生したい。


 私は……「誰か」を蘇生したいと思っている。


 その「誰か」が誰なのかすら、忘れてしまっているけど……。


 …………。


 確か、男の子だったはず。


 年下の男の子で……私にとって、とても……大事な――。




■title:

■from:ver.0.0.2


 都市を襲っていた光翼の生えた人間。アレの正体は「天使」と言うらしい。


 天使はプレーローマという大組織に所属しており、人類を滅ぼそうとしている。それに抗うために力を貸してほしい、と頼まれた。


 私には大した力なんてない。


 けど、抗わなければ私だけではなく、皆も死んでしまう。だから出来る限りの事をする、と誓った。一緒に天使達に抗おう。


 天使達を造ったのは源の魔神(アイオーン)という存在らしい。


 その名を聞いた時、私の中に怒りの感情がこみ上げてきた。どうやら私は源の魔神と何らかの因縁があるらしい。


 私は彼の魔神に負けたのだろうか? そして記憶喪失になった?


 あるいは――。




■title:

■from:ver.0.0.2


 プレーローマは強大。天使達も強靱。


 権能持ちの天使は単騎でも強いのに、集団で襲いかかってこられると抗いようがない。……今の戦力ではどうしようもない。


 このままでは人類は負ける。滅んでしまう。


 何とかしないといけないのに、私は……致命傷を負ってしまった。


 何もやり遂げないまま、ここで死んでしまう。


 ……ごめん、むつ――――。




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■from:ver.0.1.0


 死んだはずなのに生き返った。


 記憶は…………相変わらず。


 いや、少し……違和感が――。




■title:

■from:ver.0.1.5


 源の魔神は倒す必要がない? そもそも、もういない?


 だとしても、プレーローマは何とかしないと。


 滅ぼすにせよ、和平を結ぶにせよ、私達には力が必要だ。


 力なき者の言葉など、同じ人間でも聞いてくれない。




■title:

■from:ver.0.2.1


 私には1つだけ異能がある。


 天使達が使う権能とは別の力らしい。


 私の異能は転生。死んでも死んでも多次元世界の誰かの身体を使って、復活できる。……その誰かを犠牲にして復活できる。


 プレーローマを倒すには、この力を活用するしかない。




■title:

■from:ver.0.2.4


 僕1人でプレーローマを襲撃し、死んだら転生して新しい身体で再襲撃する。


 なんて計画は……さすがに無茶だ。無意味な自殺行為だ。


 転生能力以外、大した力のない僕じゃ何度やっても無駄死にするだけ。それどころか天使達に捕まる危険がある。捕まってしまえば、この異能も活かせない。


 仲間が必要だ。


 天使達に抗うために、人類の力を束ねないと。




■title:

■from:ver.0.6.8


 人類の連合軍を作ることが出来た。


 必勝の確信はないけど、この戦力で何とかするしかない。




■title:

■from:ver.0.7.0


 人類連合軍は敗北した。人類同士で足並みが揃わず、各個撃破された。


 いや、仮に足並みが揃ったところで、上位の天使達に勝つのが難しい。


 けど、何とか勝利を掴まないと人類はいずれ滅ぶ。


 この敗北を糧に対策していくしかない。


 人類の結束を強め、質を高めなければ……数で勝っていたところで、質で圧倒されてしまう。上位の天使達が規格外の存在すぎる。


 単なる連合軍では駄目だ。




■title:

■from:ver.0.7.0


 初めまして。いや、正確には「初めまして」じゃないけどね?


 キミは神器・偽典聖剣だ。……それはわかっている? それは良かった。


 そう。そう……その通り。


 俺がキミを受肉させて、その可愛らしい身体にしたんだ。


 キミと意思疎通(はなし)をしたくてね。協力してほしいんだ、勝つために。




■title:

■from:ver.0.7.0


 人類の力を1つにまとめる。


 人類連盟で、人類の全てを管理しよう。


 そう思い立って行動し始めたものの、進捗は芳しくない。


 各国首脳は人類連盟発足にすら難色を示している。プレーローマという脅威に立ち向かうためには、早急に行動を起こすべきなのにまごついている。


 ラプラスは「少しハードルを下げて、段階的に人を集めていくべきなのでは」と言っている。その意見は正しい。採用する。いや、採用するしかない。


 規制を強めるのは、既成事実を作った後でいい。




■title:

■from:ver.0.7.0


 バオムが理解してくれた。


 プレーローマに勝つためには、思い切った対策が必要だと理解してくれた。


 神聖ファゴットブルグ帝国の後ろ盾があれば、きっと他国も――。




■title:

■from:ver.0.7.0


 皇帝が死んだ。バオムが死んだ。


 暗殺だ。おそらく、身内の犯行。


 誰がやったかはわかる。わかるが……告発するだけの証拠が――。




■title:

■from:ver.0.7.0


 帝国が方針を変えた。


 わかってる。予想はしていた。


 2代目がバオムの意思を踏みにじるのはわかっていた。


 失敗した。彼に護衛を派遣していれば、こんな事には――。




■title:

■from:ver.1.0.0


 嘔吐(アイデア)が止まらない。


 脳が内側から弾けそうだ!


 違う。外側から潰されているんだ。


 自分の脳が、繋がってはいけないものと繋がってしまった感覚。


 くるしい。くるしい。くるしい。


 しにたい。しにたい。しねない。


 おれが、俺でなくなってしまう!!


 あぁ、でも、この坩堝から知識を引き出せば、勝てる。


 記録装置(ここ)には全てがある。


 人類を勝利に導くことができる!!


 耐えないと。


 勝利に、犠牲はつきものだ。




■title:

■from:ver.1.0.0


 人類に裏切られた。いや、人類にとっては俺が裏切り者なのか。


 プレーローマは混乱期の真っ只中。人類に戦力を注力できる状況じゃない。


 けど、混乱期はきっといつか終わる。その前に手を打つ必要がある。


 だから何とかしないといけないのに、俺は今回も失敗した。


 事を急いてタイラー達を派遣したのがマズかった。


 クリュサオル翁がいたら、こんな事には……。


 だが、次がある。この失敗を次の転生(じんせい)に活かせばいい。


 俺には転生能力がある。死ぬけど死なないから、何度でもやり直せる。


 ラプラスを巻き込まずに済んで良かった。


 あの子は次の人生で迎えにいけばいい。


 俺は何度だってやり直せる。


 何度だって、取り返しが――――




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