ニュース:交国政府と黒い繋がり
【ニュース:交国政府と黒い繋がり】
■交国の流民政策改革
交国は近年になって流民政策改革を行っている。
交国は毎年多くの流民を受け入れ、彼らの足下を見て低賃金で働かせていたが、昨年から流民の受け入れ人数を例年の半分以下にしぼっている。
ただ、交国と流民が疎遠になったわけではない。交国は新しい形で流民と付き合い初めており、それも含めれば関わりを持った流民の数はほぼ変化していない。
具体的には、多くの流民を世界間物流に携わらせている。
交国政府は交国本土の<黒水>に本拠地を置く<黒水興産>に対し、世界間貿易許可証を発行。黒水興産が特定の流民組織を下請けとして利用する許可も与えた。
黒水興産が下請けとして使い始めた流民組織は、交国が建国されるよりずっと昔から混沌の海を航行し、世界間物流に関わってきた組織である。
そのため混沌の海での活動に非常に長けており、大手運送会社が30日かけて航行する海域を10日で渡りきった記録も持っている。
他より早く物資を運べる流民組織を使う事で、黒水興産は新興企業ながらもメキメキと頭角を現しつつある。交国政府や投資家達の支援を受けて同業他社の買収も進めており、遠からず多次元世界有数の貿易会社に成長する見込みだ。
しかし、黒水興産が使っている「流民組織」には重大な問題がある。
その流民組織に流民犯罪組織<ロレンス>が関係している問題だ。
■運送を請け負う<ロレンス>の正体
高度な航行技術を持つ<ロレンス>は、世界間の物流にも関わってきたが、あくまで犯罪組織なので公に出来る物流ではない。
彼らが生業にしていたのは「密輸」である。ロレンスは単に密輸に関わるだけではなく、自分達の持つ航行技術を悪用し、海賊行為も頻繁に働いていた。
また、ロレンスは多次元世界最大規模の犯罪組織<カヴン>の傘下組織だと言われている。
黒水興産が使っている流民組織は表向きはクリーンだが、組織構成員の多くは「元ロレンス構成員」である。彼らと犯罪組織の関係が完全に絶たれているとは考えがたい。
犯罪組織と関係ある組織を使う黒水興産と、それを推す交国政府の対応には疑問と抗議の声が多く届いている。
黒水興産の顧問を務める石守素子氏は、「黒水興産が仕事を依頼している人々の中にロレンス関係者がいるのは事実だが、彼らとロレンスやカヴンとの関係は既に断たれている」「元ロレンス構成員は交国政府監督下で更生し、彼らが過去に犯した罪も人類連盟及び加盟国と協議し、解決済み」と語っている。
ただ、話をつけたのはあくまで人類連盟及び加盟国だけであり、個別の被害者への対応を無視しているため、その事に関して批判の声も集まっている。
石守素子氏は様々な批判の意見を無視し、代わりに「流民組織との商業連携方策」を交国外にも広く発信。犯罪組織が犯した罪を有耶無耶にし、各国政府や企業に対し、流民組織を利用する事を勧めている。
これは犯罪組織への支援行為に繋がってもおかしくない。犯罪組織が表の仕事で財を成してしまえば、裏稼業も強くなるのは明白。石守素子氏達の仕事は犯罪組織を支援していると言っても過言ではないだろう。
また、元ロレンス構成員と各犯罪組織の関係は断たれていると発表されているが、それが事実かは甚だ疑問である。
多次元世界各地で犯罪行為を働き続けている<カヴン>が、構成員の離脱をあっさり許すとは考えがたい。多くの識者が「元ロレンス構成員と裏社会の関係は現在も続いている」と分析している。
この分析が確かだとすると、元ロレンス構成員を重用することは黒水興産を通し、犯罪組織に資金援助を行っている事になる。
新興企業の黒水興産は「犯罪組織を使う」という禁じ手により成長しているとしたら、それは許されざる事だろう。
しかし、人類連盟はこの件に関し、沈黙している。人連常任理事国の交国が裏で手を回し、人連の意見を封殺している可能性がある。
交国の国家元首である玉帝は黒水興産や自身の子供である石守素子氏の言動を把握しているはずだが、何のコメントも発表していない。
交国オーク問題で揺れ続けている交国政府が、起死回生の一手として「自国企業を通して犯罪組織と繋がりを強めている」という意見もある。
正義と大義を持って行動していたはずの交国も、交国オーク問題でそれらが嘘とバレた以上、なりふり構わなくなったという事だろうか。




