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7年前、僕らは名誉オークだった  作者: ▲■▲
第4.0章:その大義に、正義はあるのか
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ラプラスのメモ:白瑛及びアザゼルについて



【ラプラスのメモ:白瑛について】

■白瑛について

 交国は多数の機兵を保有していますが、多次元世界には数を揃えたところで太刀打ち出来ない相手もいます。そこで一騎当千の機兵として<交国六鬼兵>が作られました。


 白瑛もそのうちの1つで、犬塚特佐に与えられていました。元々優秀な機兵乗りである犬塚特佐は白瑛を使い、数多の戦場で大活躍してきました。


 白瑛を並外れた機兵にしているのは、白瑛内部に搭載された「天使」が持っている権能にあります。交国の宿敵であるプレーローマの天使を搭載し、その権能を使うことで活用しているわけですね。


 捕虜になった天使が大人しく交国に協力する事なんてまずないのですが、そこは「勝てば良かろうなのだ!」国家の交国なので非人道的な手段を使っています。


 そもそも天使を人間扱いする必要はない――と玉帝は言いそうですね。



■天使<アザゼル>について

 白瑛に搭載されている天使さんの名前は「アザゼル」と言うそうです。


 アザゼル様は源の魔神から権能<カノン>を賜り、「源の魔神の近衛」と「文明生育業務」の両方をこなしていたそうです。


 文明生育業務とは、源の魔神が新たに作った世界に入植させた人類を監視しつつ、時に人類を助けて文明を順調に成長させていく仕事です。


 源の魔神がブイブイいわしていた時代は、成熟しきった人類文明は農作物のように収穫されていました。収穫=その世界の人類滅亡です。


 彼の魔神は「人類キライ!! 人類イジメ続けたい!!」という危険な御方だったので、人類を増やしては殺していたのです。時に世界ごと「バーーーーンッ!!」と滅ぼしちゃってたのです。


 アザゼル様も他の天使の皆さんと同じく、最初のうちは天使らしい振る舞いが出来ていました。源の魔神に命じられるがままに人類を生育し、最終的に刈り取る業務も手伝っていました。


 しかし、次第に変わっていったそうです。自分が育てていた文明がプレーローマに滅ぼされ、消え去っていくことに思うところがあったようです。


 そのため上司である源の魔神に内緒で、一部の人類の保護活動をしていたようです。最終的にそれを隠し切れなくなり、プレーローマから逃げ出しました。


 逃げ出したことでアザゼル様は脱走兵に……<堕天使>になっちゃったのです。



■堕天使<アザゼル>について

 源の魔神はアザゼル様の裏切りに激怒し、追っ手を差し向けました。アザゼル様はそれを退け、逃亡を続けました。


 アザゼル様はエノク達と共に源の魔神の近衛も務めていた御仁なので、そんじょそこらの天使では勝てないのです。


 しかし、「最強の魔神」と謳われた源の魔神に勝てるほどの力はないので、源の魔神と戦う事になったら負けてしまっていたでしょう。


 幸い、アザゼル様が逃走中の折りに源の魔神が何者かに殺されてしまい、プレーローマが混乱期に突入。堕天使であるアザゼル様を追う暇などなくなりました。おかげでアザゼル様はしばらくは無事に逃げ延びていました。


 そうしているうちに1人の女性と出会い、その方と愛を育みました。その女性は人間のうえに神器使いでしたが、それは2人の愛にとって大きな障害にならなかったようです。


 愛し合った2人の間には、可愛らしい天使の女の子がうまれました。


 それも、ただの天使ではありませんでした。神器使いの天使です。争い続ける2つの種族の架け橋になるような存在でした。


 しかし、3人家族の穏やかな日々は長くは続きませんでした。


 アザゼル様達はプレーローマの特務部隊に襲われ、奥方様が死亡。アザゼル様も捕まり、娘さんは奥方様の神器ごと連れて行かれる事になりました。


 娘さんは処刑こそされませんでしたが、天使と人類の間に生まれた「汚らわしい存在」として、真っ当な扱いは受けませんでした。


 彼女は長きに渡る眠りにつかされ、神器の力を行使する道具として利用される事になりました。彼女にはお母さんの神器を扱う才が備わっていたのです。


 アザゼル様は娘さんを人質に取られてしまい、プレーローマの汚れ仕事を請け負う日々を過ごしていました。そんな状況を良しとしなかったアザゼル様は、密かにとある人類国家に接触しました。


 それが交国でした。


 アザゼル様は交国軍がプレーローマ領に入る手引きを行い、それに乗じて娘さんを助けようとしていたようです。


 しかし、交国はアザゼル様の計画に乗っても「得しない」と判断したらしく、アザゼル様を騙して捕獲を試みました。


 アザゼル様は交渉決裂を察して抵抗しましたが、犬塚銀様が率いる部隊との戦闘で敗北。犬塚様はその時の功績でアザゼル様を生体部品として組み込んだ白瑛を賜ったそうです。


 こうして親娘は離ればなれになりましたが、ちょっとした偶然から娘さんは交国軍に確保――もとい、救出される事になりました。良かったですね。


 残念ながらその娘さんも最近、毒殺されてしまったようです。交国の裏切りや娘さんの死について、アザゼル様はどう思っているのでしょうね?


 お話を聞くことが出来ないので、想像することしか出来ません。


 アザゼル様だけではなく、玉帝がどう思っているのかも気になりますね。諸々の事情を知らず戦っただけの犬塚様と違い、玉帝は全て把握していたはずですから。




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