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7年前、僕らは名誉オークだった  作者: ▲■▲
第3.5章:バッドカンパニー【新暦1225年】
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過去:異世界侵略セミナー



■title:とある後進世界の貸し会議室にて

■from:泥縄商事社長のドーラ


 いま、異世界侵略がアツい!!!!!!!!!!!!


 異世界に侵略してしまえば、金も立場も承認欲求も性欲も満たせます!


 異世界侵略を行えば、全てを手に入れることが出来ます!!!!


 界外進出していない皆さんは、馴染みがないと思いますが……多次元世界(せかい)には沢山の世界が存在しています。世界は1つではないのでぇす!!


 実はですねぇ……世界ごとに文明水準は大きく異なっていましてね……。


「文明遅れてる世界が狙い目とか?」


 そうそうそうそう!! それそれそれそれ~~~~っ!!


 後進(ザコ)世界は侵略しやすいんですよ!!


 正しい根拠のない魔女狩りをする程度の低いの世界もあれば、ムカつくやつを囲んでSNS棒で叩く電脳文明も存在しています。


 弓や槍程度の武器しかない世界も存在しています。


 そういった後進世界に銃火器を持ち込めば、現住民相手に無双できるのです! 侵略先の文明水準をよく見極めれば、異世界侵略は100%成功します!!


 石器でイキってる野人を銃火器でボコるのは楽しいですよ~!


 スポーツハンティングみたいなものですよ! 獲物は二足歩行生物ですけど!


 異世界侵略は、ただ楽しいだけではございませんっ!!


 侵略に成功してしまえば、大きなリターンが得られまっす!!


 現地にはない高度な異世界技術を見せつけ、「私は神デス」と言えばあら不思議! アホな現住民が入れ食い状態になりまぁす!!!


 オススメは現地で既に広まっている宗教の神なり救世主を騙ることですね~! 既に信仰を集めているものを下敷きにした方が、スムーズに信仰を集められます。


 多くの世界は「異世界が存在する」という事実すら知らないので、無知につけ込むのは容易いのデース! 無知の無知状態の現住民は簡単に騙せます!!


「でも、侵略って犯罪じゃ……」


 いやいや、よく考えてください!


 侵略先にあるのはカスみたいな文明しかないのですから、異世界から高度技術を持ち込んであげた方が、むしろ「良いこと」なんですよ~!


 異世界侵略は、慈善事業なのです!!!


 侵略してあげた方が、より多くの人を救えるのです! 皆が幸福になるのです! その幸福の対価を搾取や略奪でもらうのは、当然のことなんですよ。


 一種の商売です!


 向こうは結果的に文明が進化して嬉しい! 皆さんは搾取できて嬉しい!


 誰も損をしない八方良しの商売! それが異世界侵略です!!


「良い儲け話なら、アンタ達が自分でやればいいだろ?」


 私達だけじゃ、全ての異世界に侵略しきれないのですよ~!!!


 だから我々、<泥縄商事>は皆さんをサポートする側に回っているのです!


「侵略行為を咎める組織とか、国家とか……いないんですか?」


 一応いますねぇ。人類連盟とかそうです。


 彼らは「界外進出を果たしていない後進世界への干渉は、その世界がゆっくり育むはずだった文明を破壊する行為」として禁じています。


 けど、ご安心を!


 人類連盟はハリボテ組織なんで、彼らにバレる前にチャチャッと侵略しちゃえばいいのです! バレないように支配しちゃえば、人連も裁けないんですよ!


「本当にそうなのか……?」


 国家や大組織の侵略行為はバレやすいけど、個人はわりと何とかなるんです。


 現地住民は「私は神様で~す」「天の御使いで~す」とか適当に騙して、彼らの幸福の対価に搾取を行う。ほどほどに稼いだら何食わぬ顔で逃げる!


 たくさんある後進世界の一部で、コソコソと搾取している人がいても、人類連盟も対処しきれないんですよぅ。


 泥縄商事は異世界侵略ノウハウもバッチリ押さえているので、皆さんがその気になってくだされば全力でサポートしますよ~!!!!


「俺、兵士とかじゃなくて……ただの転売屋なんですけど……」


 侵略や戦闘の経験がなくても、まったく問題ありません!


 泥縄商事は兵器を含む各種物資の手配だけではなく、傭兵も用意いたします! 異世界に渡るための方舟(ふね)も手配しちゃいますっ!


 侵略事業の新規参入に必要なものは、何でもご用意いたします!!


 皆様に用意していただくのは、2つだけ!!!


 皆様の身体とやる気さえ用意していただければ、後は泥縄商事が何とかします!


「資金は? 貯金、そんなに無いんだけど……」


 出世払いってことでいいですよん。


 元手ゼロから始められるうえに、いま泥縄商事と契約していただければ皆様に絶対服従する奴隷もつけちゃいますよっ!!


 美少女! イケメン!! ケモ!! 犬!! 何でもいます! 皆様の性癖にズドドンと突き刺さる奴隷をプレゼントいたしまァすッ!!!


 ただし、本日契約いただいたお客様限定ですよ!!!!


 ささっ、皆様、この書類にサインを~…………。


「なあ、この契約書の一番下に書かれている文字、読めないんだけど……」


「顕微鏡ある?」


 あ~……ッス~~~~…………。


 それはですねェ…………。大したこと書いてないので、大丈夫デスヨ!


 ……事業に失敗した場合、「魂払い」になるのを了承していただくだけなので……へへっ……! 要は失敗しなきゃいいんですよ! 失敗しなきゃ!!


 細かいことは気にせず、契約を――――。


「社長!! 交国軍です!! 交国軍が摘発に来ました!!」


 ハァ~? そんじょそこらの交国軍ごとき、テキトーに追い払ってよ。


 あ、良い機会だからセミナー参加者に見せよう! 泥縄商事の兵器と傭兵達の力を見てください! 皆さんの侵略事業に使う頼れる仲間達ですよ~!


「いやもう殲滅されそうです!」


 えーーーー、どこの部隊が来てんの?


「犬塚特佐とその部下達です」


 ヒェッ……! すみません急用を思い出したので、本日のセミナーはここまでとさせていただきますぅ! 皆様、お出口はこちら! ここから出て囮になって!


「社長! そこ危ない!」


「ああっ、社長が機兵に潰されてペチャンコに~~~~!」


「どうすんだ!? オレ達、どうすりゃいいんだ!?」


「どうしましょうね! あっ、私達は定時なので失礼しま~す」


「俺達の逃げ道は!?」


「退路用意は契約外業務なので、個人責任でお願いしま~す」


「しま~~~~す!」


『おいコラァ!! 泥縄商事ィ!! いい加減にしろ!!! テメエらの所為で多次元世界の治安はますます悪くなって――――』





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