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7年前、僕らは名誉オークだった  作者: ▲■▲
第3.0章:この願いが呪いになっても
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目黒基地



■title:<目黒(メクロ)基地>地下鉄道停車場にて

■from:防人・ラート


「ここに方舟があるのか……」


「保管場所自体は、もうちょっと奥です」


 停車した列車から降りつつ呟くと、ヴィオラがそう教えてくれた。


 ここは<メクロ基地>という場所だったらしい。1000年以上前に真白の魔神が造った軍事基地。現在もロボット達が整備し続けているらしく、停車場に降り立つとチラホラとロボットがうろついているのが見えた。


 ただ、その辺で転がって動かなくなっているロボットも見かける。


 ヴィオラ曰く、人の手がろくに入らなくなって久しいため、いくつかの整備ロボットは壊れてしまっているらしい。


「ロボットを修理するロボットもいるんですが……それ自体が壊れちゃってるみたいですね。自動化しているとはいえ、ちょくちょく人の手も入れてあげないとダメになっちゃうんですが……」


「確か、真白の魔神が去った後も管理してる使徒(ヤツ)がいたんだよな?」


「そのはずです。真白の魔神がネウロンを去った後は……使徒・エーディンさんが任されていたって話ですから……」


 ヴィオラはそう言い、停車場の端末をポチポチと突き始めた。


 その端末も、ちょっとガタが来ている様子だったが――。


「あっ、やっぱり! 二等権限者のエーディンさんが来てます。最後の訪問は……13年前かな? それにしては、ちょっと荒れてるような……?」


「……まさか、交国軍が入ってきて荒らしたってことか?」


 俺だけではなく、周囲の皆も身構えた。


 ヴィオラは「いえ、それは無いはずです」と言った。


 人の手が入っていないから荒れている――という話らしい。


 その使徒・エーディンは13年前にここに来たものの、キチンとした整備指示をせず、出て行ったんじゃないか――とヴィオラは言った。


 まあ、訪問記録が残っていても、キチンと仕事して帰ったとは限らないか。


「その使徒は……バフォメットとは、また別物なんだよな?」


「はい。スミレさんの記憶によると、武官ではなく文官的立場の方だったようです。だから真白の魔神が去った後のネウロンの管理も任されていたそうですが……いつからか、『管理』をしなくなったのかな……?」


「1000年近くやってたら、そりゃ飽きるか」


「飽きるというか……なんというか……」


 ヴィオラは何故か言いよどんでいたが、「とにかく、交国軍もまだここは見つけられていないはずです」と言った。


「少し前にバフォメットさんがここに来たようですが……その時も、交国軍が立ち入った痕跡はなかったそうです」


 ヴィオラがそう言うと、隊長が「とはいえ、念のため調べるべきだ」と言った。


「隊を分けて行動する。一部は私について来い。調査を行う」


 隊長についていく班以外は、ひとまず列車で待機する。


 もし交国軍がいた場合、さっさと逃げ出す必要があるからな。


「ヴァイオレット。私についてきてくれ」


「わ、私もですか……?」


「当たり前だ。私達の中で、ここに詳しいのはお前だけだろう」


 ヴィオラは隊長に指名され、何故か嫌そうな顔を浮かべていたが……それでもしぶしぶといった様子で隊長の傍に歩いていった。


「ラート、お前も来てくれ。機兵に乗ってな」


「了解です」


 列車に積んだ機兵のところへ走り、起動する。


 機兵は移動手段兼力仕事担当。あと、荒事担当だ。


 交国軍が潜んでいた場合、それと戦いつつ皆を運んで逃げる必要がある。最悪の場合……俺が殿に残って皆を逃がす役目だ。


 キッチリ全員守らないとな――と意気込んでいたが、敵の気配は無かった。


「フェルグス、敵っぽい魂は観えないのか?」


『全然いねえ。虫とか、いても小動物ぐらいだと思う』


 索敵役としてついてきてくれたフェルグスも、「敵はいない」と言っている。


 実際、本当に誰もいない。交国軍はここを見つけられていないようだ。


「そんじゃあ、皆も呼んで方舟に向かいますか?」


『念のため、地上部も確認しておきたい。ヴァイオレット、基地に索敵用の機器があるという話だったな? それも作動させてくれ』


『わかりました』


 地上への出入り口付近まで機兵で移動する。


 そして、列車で持って来ていた索敵用の小型ドローンも飛ばす事になった。 


 地上部は人がいた痕跡が残っている。


 といっても……人がいたのは随分前のようだ。


「上は廃村ですか」


『ああ。魔物事件の頃、放棄…………いや、襲撃されたようだな』


 地上を調べている隊長の話を聞く。


 地上部には村があったらしいが、もう誰も住んでいない。


 ここは大陸の奥地にある場所だから、魔物事件後は……タルタリカの脅威にも晒されやすい場所だった。地下はともかく、地上で人が暮らすのは無理だ。


『最近も、タルタリカが踏み入った様子があるな』


『近くに巣があるはずです。気をつけてください』


 隊長はしばらく地上を1人で調べていたが、「交国軍が来た痕跡は無かった」と言った。ただの村なら、交国軍が来る事も無いか。


 魔物事件が起きた時、ここにいた人達はどうなったのかな……。交国軍も助けに来てない、って事なんだろうな……と思うと、少し暗い気持ちになった。


 ともかく、地上にも地下にも交国軍が来た痕跡は無い。


 念のため、基地の監視装置を起動しつつ、俺達は一度列車に戻る事になった。戻って、待機している皆と共に基地の奥へと向かう事になった。


『あとはネウロンから飛び出すだけ?』


「だな」


 移動中、話しかけてきたフェルグスに返事をする。


 フェルグスは心配そうに、「あとは楽勝で逃げ切れるかな……?」と呟いた。


 俺が「大丈夫だよ。逃げ切れる」と言うと、隊長がもっとちゃんとした言葉をフェルグスにかけてくれた。


『混沌の海では交国軍でも完璧な網を張るのは難しい。敵が網を張っていた場合は、巫術師のお前達が導いてくれ』


『え、オレ達が?』


『お前達なら交国軍の位置を特定できる。巫術の眼で魂の位置を割り出し、そこに近づかないように警告できるだろう?』


 交国軍が網を張っていても、フェルグス達がいれば突破しやすい。


 つーか、そもそも……交国軍にとって「ただの脱走兵」である俺達に対して、大した追っ手はかからないだろう。


『交国軍は、私達を完全に見失っている。だが、このままネウロンで潜伏し続けるのは不可能だ。交国軍も、いずれここを見つけるだろう』


『出来るだけ早く逃げりゃ、交国軍もオレ達を捕まえられない?』


『ああ。犬塚特佐は厄介だが――』


 隊長はそう言いつつ、「彼は優秀な軍人だが、超能力者ではない」と言った。


『大した手がかりもないのに、限られた時間で私達を見つける事は……犬塚特佐でも不可能だろう』


「手がかりは一応ありましたけど、それは史書官に預けましたもんね」


 フェルグスの義足には、発信器が仕掛けられていた。


 だが、それは隊長の指示で義手と義足を調べたヴィオラが見つけてくれた。発信器は別れた史書官に預けたから、あの反応を追ってきたとしても無駄だ。


 隊長は俺の言葉を肯定し、「そろそろ、交国軍が発信器に食いついたところだろう」と言った。


『全戦力が発信器の場所に集うとは思えんが、少しは追跡を誤魔化せたはずだ』


 長くここに留まっていたら、いずれ見つかる可能性はある。


 今のところ交国軍に見つかっていなくても、ネウロンは実質、交国が支配している土地だ。……タルタリカの脅威もいつか取り除かれるだろうし、ずっと隠れ続けるのは不可能だろう。


 だが、ここが見つかる前にネウロンから脱出する。


 そのための手段となる方舟は、この基地の奥にある。




■title:<目黒基地>地下港にて

■from:歩く死体・ヴァイオレット


「どうだ?」


「壊れちゃってますね~……」


 方舟がある地下港に辿り着き、肝心要の方舟を調べる。


 調べたものの、大事な部品が壊れていた。


 その事を星屑隊の皆さんに伝えると、さすがにざわつかれた。


「壊れているのは、<海門(ゲート)>の発生装置です。方舟本体は問題なく飛べますし、予備の方舟もあるので安心してください」


「いや、でも、海門を開けないと界外に逃げられないだろっ……!?」


「海門発生装置なら私が直せるので、大丈夫です」


「ま、まあ……直せるなら大丈夫かっ……」


「1週間ぐらいか?」


「1時間いただければ大丈夫です」


「「「「直ぐじゃんっ!!」」」」


 直ぐです。この程度の破損なら、直ぐに何とか出来ます。


 方舟はあるし、混沌機関もまだ生きている。そこのチェックはバフォメットさんが事前にやってくれていた。海門発生装置のチェックは……忘れてたみたい。


 界外に飛び出した後、暗い混沌の海を迷わず進むための<羅針計>も最近のものがある。バフォメットさんが交国軍から奪ったものがある。


 発生装置を直している間に、物資の搬入をしていただければ~……と言うと、星屑隊の皆さんはホッと胸を撫で下ろしてくれた。


「しかし、部品はちゃんとあるのか?」


「はい、なんとか。そこの奥にも方舟あるので、そちらの発生器もバラしてニコイチにします」


 目黒基地に残されていた方舟は2隻。


 1隻は地下港に停泊中。


 もう1隻は、地下港の一角にある隔壁向こうに隠された船渠に置かれている。


 どちらの方舟も使用可能。


 ただ、海門の発生装置だけ壊れているので……そこは修理しなきゃダメ。


 最悪、他の地下施設にある方舟を頼りにしなきゃダメだったけど……海門の発生装置ぐらいなら、混沌機関の整備より楽だ。


 こことは別の地下施設に移動する手間を考えると、ここのものを修理した方が圧倒的に早い。


「けど、その方舟……本当に大丈夫なのか?」


「1000年前の骨董品なので、戦闘するのは無茶ですけど~……腐っても真白の魔神製の方舟なので大丈夫です。移動ぐらいなら楽勝です」


 修理は任せてください、と告げる。


 隊長さんが「という事なので、ヴァイオレットと整備班以外は物資搬入を手伝ってくれ」と言ってくれた。


 まだ界内にいるうちに、発生装置以外の整備もしておきたい。整備長さんのところへ行って、整備の相談をしようと思っていると――。


「あ……」


 整備長さんの傍に、バレットさんがいた。


 バレットさんも列車の中で塞ぎ込んでいたと聞いていたけど、整備長さんにお尻と叩かれ、整備を手伝うように促されている。


 バレットさんの表情は、暗いままだけど……。


「ば、バレットさんもケガしてるんですから……安静にしててください」


 ここに座って見ててください、と椅子を持ってくる。


 というか……私達の方が見てないと。


 誰かが見ていないと、バレットさんが……自ら命を絶つ危険性がある。そんなの絶対ダメ。……ロッカ君と喧嘩別れになるなんて、絶対にダメ。




■title:<目黒基地>地下港にて

■from:整備長のスパナ


「そこまで気を遣わなくていいよ。コイツも軽作業ぐらいなら出来るからさ」


「でも……」


 心配そうなヴァイオレットを退け、バレットに軽い仕事を頼む。


 精神的にボロクソになっているのはわかる。


 でも、だからこそ……やることを与えるべきだ。


 何かやってりゃ……少しは気が紛れるだろう。




■title:<目黒基地>地下港にて

■from:星屑隊隊長


「隊長、方舟2つとも持っていくんですよね? 荷物の配分、どうします?」


「いま全員の端末に送った。確認して、その通りにしてくれ」


 質問があったら聞け――と告げる。


 一応、配分の意図は説明しておくべきか。


「基本、地下港に停泊している方舟に物資を積み込む。重要度が低い荷物は、船渠にある方舟に積み込んでくれ。船室も、基本は地下港(こちら)の方舟だけ使う」


「ほぼ全員、1隻に乗り込むってことですか?」


「その方が、いざという時に片方を囮に使えるからな」


 船渠にある方舟は、ヤドリギを使って巫術師に遠隔操作させる。


 混沌の海には、交国軍が網を張っている。それを突破する時、囮の方を突撃させる。必要に応じて自爆させ、「轟沈した」と誤認させる。


 2隻とも無事に突破出来るのが最善だが、交国軍がそれを許してくれるとは限らない。いわば保険だ、と説明しておく。


「機兵は分乗させる。片方に全て乗せるのは無理だからな」


「あのぅ……。俺が乗ってきた機兵、地下港(こっち)の方舟に乗せていいですか?」


 説明していると、ラートがおずおずと手を上げて問いかけてきた。


 機兵の状態を鑑みると、ラートが乗ってきた機兵の状態が一番悪い。だから、いざという時は囮にする方舟に載せて置こうと思ったのだが――。


「俺が乗ってきた機兵、アルが最期に使ってた奴なんで……。で、できれば……出来るだけ長く持っていきたいといいますか……」


「…………」


「だ、ダメですかねっ……?」


「構わん。ラートの機兵は、こちらの方舟に載せていい」


 考えていた配分を変える。


 これぐらい、別にいいだろう。


 ホッとした様子のラートが「ありがとうございますっ!」と言い、作業に戻っていった。機兵を使い、荷物の運搬を手伝い始めた。


 そのラートと入れ替わりにきたフェルグスが、「ホントに2隻とも使えるの?」と聞いてきた。


「海門を開く装置って、1個分しか用意できないんでしょ?」


「そうだ。しかし、その1つで開いた海門に2隻共突入すればいい。直ぐに閉じてしまわなければ、海門は使い回せる」


 別行動する時は問題だが、そうなった時は1隻を囮に使う時だ。


「界外に出る時なら、海門の発生装置が1つあればいい。……本当は界外と界内の両側から海門を開くべきだが、今回は界内から強引に海門を開く」


「確か……片側からだと、変なところに海門が開きかねないんだっけ?」


「ああ。だが、界外に出る時ならば、そうそう事故は起きない」


 界内に入る時は危うい。


 地の底に海門が開き、そこに飛び出てしまって事故が起こる事もある。事故防止のために無人機を先行させる手もあるが、毎回それをやる時間があるとも限らん。


 という話をしていると、慌てた様子のキャスターが呼びに来た。


「副長――いや、チェーンが目を覚ましたのか?」


 そう聞き、寝かされているチェーンのところに行く。


 今にも死にそうな顔色だが、呼吸はそれなりに落ち着いている。まだ予断を許さない状況だが……ひとまず、目を覚まして良かった。


「チェーン。私だ。……サイラス・ネジだ」


 わかるか? と問いかける。


 チェーンの容態を気にした隊員達が集まっていたが、代表して問いかける。


 医薬品臭いチェーンは、ボンヤリとした目つきだったが……やがて私の声に反応し、「なんでオレを助けたんですか」と聞いてきた。


「出会った時と、いい……。なんで…………オレなんかを……」


「…………。お前が必要だからだ」


 私は正直、人と接するのが苦手だ。


 チェーンのように快活に人と話をして、仲良くなるのが苦手だ。


 それに、お前は――。


「交国軍の星屑隊は、もう実質解散となったが……我々は今後も一緒に逃げ続ける。お前のような人間が、私には必要だ」


「オレは…………解放軍の、人間……」


「副長、もう諦めてください。解放軍はもう終わりっスよ」


「大人しく俺らと一緒に逃げましょ? ねっ?」


 チェーンに対して怒りを抱いている様子の隊員はいない。


 皆、お前の事を心配している。


 今はゆっくり休んで、しっかりと身体を治せ。


「お前が必要なんだ」


 本心からそう言う。


 チェーンの手を握りつつ、「死ぬな」と告げる。


 アラシア・チェーンはもう、星屑隊隊長(わたし)の副長ではない。当然、私の家族ではないし、赤の他人だ。


 だが、それでも……お前が必要だ。


 解放軍に所属していたチェーンなら、私達と手を組む事も出来るだろう。だが、そこに関しては……別にどうでもいい。


 とにかく生きろ、と告げると、チェーンはホロリと涙を流した。真新しい包帯を使い、その涙を拭ってやると隊員達が少し笑った。


「副長、泣いてやがるっ!」


「てめーら…………あとで、おぼえとけよ……」


 そういう言葉を言う元気は、まだ残っているようだ。


 内心ホッとし、脱出準備に戻ろうとしていると――。


「たっ、隊長! 大変ですっ! 外の空を何かが(・・・)飛んでますっ!」


「…………」


 嫌な知らせが届いた。


 基地の監視システムを使い、警戒に当たっていた者が何か見つけたらしい。


 急ぎ、映像を見せてもらうと――。


交国軍(・・・)の索敵ドローンか」


「ここが見つかったって事ですか……!?」


「偶然だと思うが……」


 私や小型ドローンが地上に出た時、衛星に見られた可能性はゼロではない。


 だが、極めて低い可能性だ。そもそも先程見つかったとしたら、索敵ドローンが飛んでくるのが速すぎる。


 ここは大陸の奥地。タルタリカが暴れている影響で、この辺りには交国軍支配下の町はない。方舟が飛んでいる可能性はあるが……府月で黒水守に聞いた話では、ネウロン全土に方舟を飛ばして地道に捜索なんて手は使われていなかった。


 地下を逃げていた私達を、ここで見つけられるなど……有り得ん。


 黒水守が私達を売ったのも有り得ん。


 特殊な神器や、極めて特殊な異能でも使ったのか?


 それも無いはずだ。そんなものの使い手、ネウロンには来ていない……はずだ。


「…………」


 索敵ドローンは上空を旋回している。


 念のため……廃村を調べているだけだろう。


 そんな希望的観測は、直ぐに打ち砕かれた。


「隊長。さらに大型のドローンが……! あれって、まさか――」


「――海門誘導用の(・・・・・・)ドローン」


 後から飛んできたそれが、空に楕円を描いた。


 楕円が描かれた空間が割れ、そこから海門が開く。


 界内からドローンで海門を開き、界外にいる「何か」が海門を大きく開いていく。巨大な海門が、空に開いていく。


 方舟だ。


 方舟が、界外から界内に入ってきた。


 それも3隻。……交国軍の艦艇だ。


「馬鹿な。奴らが、ここを知っているはずは――」


『星屑隊及び、それに同行する特別行動兵に告げる』


 やってきた方舟が発した無差別通信。


 それが地下にまで届いた。


 ……多くの交国人が知っている声が、無差別通信で届いている。


『地下にいるのは知っています。投降しなさい。抵抗は無意味です』


「――――玉帝(・・)


 上空の方舟は、明らかに我々の存在に気づいている。


 だが、我々の位置を掴む方法など無かったはずだ。


 無かったはずだが、「気づいている」としか言いようがない。


 どうやって、私達の所在を掴んだ。


 それも、何故こんなタイミング良くやってきた。


 まさか、未来予知(・・・・)でもしたのか?


 有り得ない。玉帝には(・・)、そんな力――。




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