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7年前、僕らは名誉オークだった  作者: ▲■▲
第3.0章:この願いが呪いになっても
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過去:喋る獣



■title:

■from:とある交国軍人


『――――』


 機兵のマイクが、何かが動く音を拾った。


 部隊の仲間から離れ、先程の戦闘現場に戻る。


 やめろ。


 戻るな。


 お前が――俺が――見つけなければ……。


『■■■■! 何か見つけたのか!?』


『い……いえ……』


 下手なウソは直ぐバレた。


 機兵のカメラの映像は、上官達にも共有されていた。


 俺の機兵の前で、脚を引きずりながら逃げているネウロン人の姿。


 恐怖の表情を浮かべ、収容所に向かっているネウロン人の姿。


 それは共有されていた。……皆がその存在を知ってしまった。


 たった1人の生存者の姿を、皆、知って――。


『せ……戦闘に、巻き込まれた負傷者がいますっ! きゅ、救助の許可を――』


『バカかお前は!? そっ、そいつは……目撃者――いや、テロリストだぞ!?』


『たまたま……! 偶然、ここにいただけですっ!』


『やめろ! ■■■■!! さっさと――』


 機兵を跪かせ、下りる。


 負傷したネウロン人(おとこ)が、必死に逃げ続ける。


 俺から……何とか、逃げ切ろうとしている。


 大丈夫ですか――と声をかけても、悲鳴を上げられた。


 当然だ。


 おかしいのは、俺なんだ。


『■■■■! そいつはテロリストだ! 早く……早く射殺しろっ!』


『ですが……。この人も、武装なんて――』


 丸腰だ。


 皆、武器らしい武器なんて持ってなかった。


 刃物すら、持ってなかったんだ。


 それなのに俺達は――。


『敵を侮るなっ! ネウロンには<巫術(イド)>というワケのわからない術式がある! 殺さなければ、呪い殺されるかもしれん……!!』


『で、でもっ……』


『■■■■! さっさとしろッ!!』


『早く殺せッ!!』


『チンタラやってんじゃねえよッ!!』


『バレたら、どう責任取るつもりだ!!』


 鎮圧部隊(みんな)の叫び声が聞こえる。


 軍人らしさなど、微塵もない。


 集団リンチを望む群衆のような声が、通信機から鳴り響き続けている。


 俺が何も出来ないでいるうちに、周りにも機兵が――。


『あっ、危ないっ……!』


 味方の機兵が飛び込んで来て、地面が揺れた。


 落ちてきた瓦礫が、逃げるネウロン人の身体に振ってきた。


 彼は悲鳴を上げたが、それでも止まらなかった。


 機兵を迂回して……収容所に向かおうとしていた。


 必死な様子で。……収容所(そこ)に宝物がある様子で――。


『命令だ。■■■■、撃て』


『しかし――』


『さっさとしろ!!』


『命令に逆らう気か!?』


『上官の命令に背くという事は、交国に背くという事だぞ!?』


『お前が見つけたんだ!! おっ……お前が! 責任を持って処分しろ!!』


 交国軍人(おれたち)は、何をしているんだ。


 俺達は、弱い人々(ネウロン)を守りにきたはずなのに――。


『■■■■、撃たなければ抗命罪で貴様を裁く!』


『――――』


『上官の指示に従わないなら、軍規で貴様を裁く必要がある!』


『撃て!』


『撃て!!』


『抗命罪で、故郷の家族に迷惑をかけるのか!?』


『――――』


『早くしろ!! 銃を構えろ!!』


『殺せ!! 殺せぇっ!!』


『正義のために! 交国のためにっ!!』


『テロリストを、殺せっ!!』


『撃てッ! 撃てッ!! 撃てぇーーーーッ!!』


『――――――――!!』


 無辜の民(テロリスト)に、拳銃を向けた。


 連射した。


 弾倉が空になるまで、連射した。


 撃つ直前。


 ネウロン人の顔が、つらそうに歪んだ。


『ごめん、ロッカ…………』


 聞こえない。


 聞こえない聞こえない聞こえない……!


 なにも聞こえない! 通信がうるさい! 銃声がうるさい!!


 アレは、獣だ!! テロリストだ!!


 俺達の敵だ! 獣が……人語を喋るなっ……!!


『あーッ!! あ~~~~ッ!!』


『よ…………よしっ、いいぞ。それで……いい』


『部隊長、後処理は……。このままじゃ、委員会に……』


『■■■■、貴様の責任だ!!』


 責任を取れ、と言われた。


 急速に冷えていく頭が、「責任(それ)」を喜んだ。


 贖罪の機会が与えられた。


 だが、命じられたのはそんなものではなく――。


『■■■■、化け物(タルタリカ)の群れを連れてこい!』


『…………』


『奴らに、共食いさせるんだ! 死体を処理させろ!』


『…………はい』


『いいか!? 貴様ら、この事は他言無用だからな!? 誰か1人でも情報を漏らせば……全員……全員、委員会に裁かれるんだからな!?』


『…………』




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