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7年前、僕らは名誉オークだった  作者: ▲■▲
第3.0章:この願いが呪いになっても
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交国軍襲来



■title:解放軍鹵獲船<曙>にて

■from:星屑隊隊長


「ん? おい、お前だれ――――」


 方舟の艦橋を制圧する。


 これを使って逃げたいところだが、私とヴァイオレットだけで動かせるものではない。巫術師達の到着を待っていると敵が殺到してくる。


 ただ、これはこれで活用方法がある。


 制圧済みの艦橋で必要な操作を行った後、脱出を再開する。


「行くぞ」


 ヴァイオレットに呼びかけつつ、手持ちの携帯端末の操作も行う。


 仕掛けておいた爆弾(・・)の一部を起爆すると、基地の一角で爆発が発生した。方舟すらビリビリと揺るがす大爆発が発生した。


「ちょっ……! 隊長さん、何をしたんですか!?」


「事前に仕掛けておいた爆弾で、弾薬庫を爆破しただけだ。急ぐぞ」


 必要な仕込みは済ませた。


 弾薬庫の大爆発で浮き足立った解放軍に、アレ(・・)は突き刺さるだろう。




■title:解放軍支配下の<繊一号>にて

■from:解放軍の兵士


「爆発……!?」


 脱走兵がいると聞き、それを止めるために動いていると爆発音が聞こえてきた。


 基地の方からだ。


 それも一度や二度ではなく、何度も爆発音が聞こえてくる。


「おい、これってまさか……交国軍の襲撃――」


「い、いやっ、違うはずだ……!」


 状況を確認するため、通信を繋ぐ。


 誰も状況がわかっていないらしい。脱走兵の射殺を指揮していたドライバ少将とも連絡が取れず、町中でどうするか迷っていると――。


『全ての兵士に告ぐ! 現在、繊一号は交国軍の襲撃(・・・・・・)を受けている!』


 交国軍から奪った方舟から――<曙>からの通信が聞こえてきた。


「えっ、ウソだろ? 襲撃……?」


『これは訓練ではない! 繰り返す。これは訓練ではない! ドライバ少将が裏切った(・・・・)! 我々を交国軍に売り、奴らをネウロンに招き入れた!』


「ハァ……!?」


 さすがにウソだろう、と思いたい。


 けど、最近の解放軍はヤバかったし――。


「どっ、どうする……!? マジで少将が裏切ったのか!?」


「わ、わかんねえよっ……!」


「おいっ! あれ! 脱走兵じゃ――――」


 ギュリギュリギュリ、と凄まじい音を響かせて曲がり角を曲がってきた車両が、こっちに突っ込んでくる。


 手配されていた脱走兵が乗っている車。


 運転席に誰も乗ってねえが、勝手に動いて――――いや! いる! 運転席に金髪幼女(チビ)が乗ってる!! チビ過ぎて見えなかっ――――。


誓殺(ちかころ)ターーーーックル!」


「「「ギャアアアアッ!!」」」


「誓って殺しはしておりません! 私は転がる小石(ローリングストーン)!」


 脱走兵用に築こうとしていたバリケードと、右往左往していた仲間が跳ね飛ばされた。轢き逃げ脱走犯はあっという間に去っていった。


 ワケのわからない事を叫びながら――。


「おおおおおいッ! あっ、アイツら……! 追わないと!!」


「追ってる場合か! オレ達も逃げるんだよぉっ!!」


 爆発音が響き続けている。


 交国軍が攻めてきたってことは、こっちもヤバい!


「クソ少将が……! よくも裏切ったなぁッ!!」




■title:解放軍鹵獲船<曙>にて

■from:崖っぷちのドライバ少将


「裏切り者ぉーーーーッ!!」


「信じてたんだぞぉーーーーッ!!」


「好きって言ったくせにーーーーーッ!!」


「ちょっ! ハッ!? なぁにぃッ!? なんなのォッ!?」


 交国の憲兵(イヌ)に気絶させられて、起きたらヴァイオレット君がいなくなっていた。あのクソ憲兵に連れて行かれた……!


 <曙>の艦橋に向かいつつ、脱走兵を射殺しろと命令を出そうとしていると――艦内で出くわした奴らが急に僕達を撃ってきた。


 意味がわからないがとりあえず制圧し、手短に話を聞くと――。


「ぼっ、僕が解放軍を裏切ったぁ!?」


「そうだッ!! 裏切り者(ドライバ)!!」


「交国軍をネウロンに招き入れたんだな……!?」


「浮気してたのね……!?」


 意味がわからない。意味がわからない。


 交国軍云々はともかく、僕はまだ(・・)解放軍を裏切ってない!


 そりゃあ、現状がヤバいから兵士達に陽動作戦を行わせ、その隙にネウロンから脱出する計画も立ててたけど……! まだ実行してない! まだ裏切ってないっ!


 交国が、解放軍幹部(ボク)を許すはずがない!


「アンタが裏切ったって、放送で言ってるぞ!?」


「それは敵の流した偽情報だよっ! そんなものに騙されるな!!」


「じゃあ浮気してないの……!?」


「して…………ないっ!!」


 艦橋に向かいつつ、どこから偽情報を聞いたのか聞く。


 それはちょうど、僕らが向かっている艦橋(ところ)から聞こえてきたらしく――。


「あッ!! あ、あのクソ憲兵ぃ~~~~ッ!!」


『繰り返す! これは訓練ではない! 交国軍の襲撃だ! 全員逃げろ!!』


 <曙>艦橋の兵士が制圧されている! 全員、艦橋で無様に気絶している!


 それどころか、<曙>の通信を使って偽情報が流されている!!


 あのクソ憲兵の――サイラス・ネジの仕業だ!!


 オマケに――。


「サイラス・ネジはどこだ!! どこに行った!?」


「少将! この通信、録音です! 艦橋制圧後、録音を流し始めたようです!」


「基地や町で爆発が……! 兵士達が混乱していますっ!」


「少将! 牢屋に入れていた二課の憲兵が脱走してますっ!」


脱走(それ)は知ってるよォ!! 報告が遅いぃぃぃっ!!」


「ただ、牢屋の中に肉の塊が転がってました! タルタリカで作られた肉の塊です! ヤツはそれと入れ替わって、いつの間にか脱走してたようで――」


「それは知らないよォ……!?」


 なんで、そんなことになってんの!?


 タルタリカを改造して、あの憲兵のフリをさせてたってこと?


 タルタリカという事は――。


「ば、バフォメット……! 貴様かァ!! 裏切ったなぁ!?」


 どこに向けて言えばいいのかわからない罵声を叫ぶ。


 バフォメットは水際作戦に失敗し、行方不明。いまどこにいるかわからない。


 だが、アイツ、あの憲兵と通じてたのか……!? そういえば面会記録が――。


「少将、どうすれば――」


「決まってる! 脱走兵に対処しろ! あっ、ヴァイオレット君は生かせ!」


「しかし、交国軍の攻撃が……!」


「アレは脱走兵が起こしてる爆発だよ! 多分、サイラス・ネジの仕業だ!!」


 あの憲兵、ヴァイオレット君を逃がすどころか、各所に爆弾を仕掛けたのか。


 基地の弾薬庫が派手に爆発し、凄まじい爆音が響いている。


 偽情報と爆発で、兵士達が混乱している……逃げ惑っている。


 憲兵の手際じゃない!


 サイラス・ネジって、憲兵だろ!? お前のような憲兵がいてたまるか!!


 こ、これじゃあ、解放軍の指揮系統がメチャクチャ――――。


「っ~~~~!! 機兵を出せ!! 敵をなんとかしろぉッ!!」


 サイラス・ネジは、まだ近くにいるはずだ!


 探せ! 機兵で潰せ!!


「他の脱走兵はどうなっている!?」


 脱走兵には、機兵も差し向けた。


 敵もボロい<逆鱗>を持っているから見せしめにしてやるつもりだった。


 敵機兵を派手にブッ壊してやるつもりだった。


 そっちはどうなってる?




■title:解放軍支配下の<繊一号>にて

■from:解放軍の巫術師


『交国軍が来たってホント?』


『ホントかも……! なんか、スゴい爆発が起こってるもんっ!』


『偽情報だ! アレは脱走兵がやったものだ! 踊らされるな!』


 星屑隊って奴らの格納庫を取り囲んでいると、基地や町中で爆発が起こった。


 交国軍が来たとか、少将が裏切ったとか変な通信も聞こえる。現場(ここ)で指揮していた大人は「偽情報」とか言ってる。


 どうすれば……。何が正しいの……?


 早く動いて、交国軍を倒しに行かなくてもいいの?


『グロリア2! そっちになんか来るぞ!?』


『――――!』


 仲間の声を聞き、ハッとする。


 見ると、皆で取り囲んでいた格納庫から何か飛び出してきた。


『機兵……!!』


 交国軍の機兵。<逆鱗>が1機、飛び出してきた。


 こっちのキレイな機兵――レギンレイヴと違って、薄汚れている。


 黒光りする昆虫(ムシ)みたいな機兵が、こっちに突進してくる!


『死んじゃえっ!!』


 持っていた銃をバンバンと撃つ。


 撃ったけど、弾は「カァンッ! カァァァンッ!」とけたたましい音を響かせ、弾かれてしまった。敵を殺せなかった。


 敵は大楯と槍を持っている。


 機兵がスッポリ隠れるほど大きな大楯を構え、こっちに突進してくる! このまま撃ってても大楯に攻撃を防がれるから、こういう時は――。


『グロリア2! 空に逃げろっ!』


『わかってるっ!!』


 飛ぶ。


 レギンレイヴは逆鱗みたいなショボい機兵と違って、空を飛べる。


 速度が出れば鳥みたいに飛べる。飛び始めはタンポポの綿毛が飛んでいくみたいに、「ふんわり」とした速度だけど、何とか間に合う。


『バカ軍人っ! 空も飛べないショボい機兵で、私達に勝てるはずが――』


 敵が飛んだ(・・・・・)


 いや、敵じゃない。


 飛んできたのは大楯。


 円盤みたいに投げられた大楯(それ)が、回転しながらレギンレイヴに激突してきた。


『おわっ!?』


 空中で大楯と激突する。


 機兵に体当たりされたような衝撃が走る。


『あ――ヤバ――落ち――――』


 激突の衝撃で体勢が崩れてしまう。


 飛行状態を維持しきれず、バタバタと藻掻きながら落ちる。


『痛っ……くは、ないけどぉっ……!!』


 格納庫近くにあった市街地に落ち、建物を潰してしまった。


 人は潰してない。脱走兵が機兵を持って格納庫にいるって話をして、近くの人達には逃げてもらった。大丈夫なはず――。


『――――』


 レギンレイヴの上に、影が落ちてきた。


 敵機兵の影。


 今度こそ、敵機兵が飛んだ。


 こっちの「飛行」と違って、虫が跳ねたみたいな不格好な跳躍(ジャンプ)


 槍を振りかぶった敵が、落下しながらそれを投げてきた。


『うッ……!?』


『グロリア2!!』


『バカ……! 足ひっぱんなっ!』


『うっ、うっさい!!』


 スゴい勢いで飛んできた槍が、装甲に突き刺さった。


 けど、混沌機関は無事。


 巫術で診断すると、レギンレイヴも「まだやれる」と言いたげに駆動音を鳴らしている。軽いダメージじゃないけど、これぐらいならまだやれる。


『こっちで相手する! お前は何とか立て直せ!』


『うんっ!』


 味方のレギンレイヴの援護射撃で、敵が逃げていく。


 昆虫みたいなブサイク機兵のくせに、よくもっ……!


 槍をさっさと抜いて、仕返ししてやらなきゃ。


 今の機兵にも、交国軍にも復讐(ふくしゅー)を――――。




■title:解放軍支配下の<繊一号>にて

■from:防人(さきもり)・ラート


「――――」


 背後で爆音が響く。


 槍で地面に縫い止めたレギンレイヴが爆発した。


 正確には、槍が(・・)爆発した。


 流体製の槍型爆弾。


 突き刺さった状態で爆破したから、かなり良いダメージが入ったはずだ。


 巫術師なら流体を巫術でこね、強引に復帰してくるかもしれないが――。


「とりあえず、目の前の2機……!」


 無傷のレギンレイヴがまだ2機いる。


 混乱に乗じて速攻で倒して、さっさと逃げねえと……敵の増援が来る!




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