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7年前、僕らは名誉オークだった  作者: ▲■▲
第3.0章:この願いが呪いになっても
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TIPS:多次元世界の始まりと「プレイヤー」



【TIPS:多次元世界の興りと「プレイヤー」】

■概要

 西暦の時代(むかしむかし)旧人類(じんるい)は<地球>という星に暮らしていたが、滅びの危機に瀕していた。


 地球は人類居住困難な星に変貌していき、地球脱出計画も失敗。大きく数を減らしていった旧人類は過酷な環境の中で数を減らし続けていた。


 そんな中、<御門雪>という研究者が知的生命体の感情から生まれる<混沌(ケイオス)>というエネルギーを発見。


 御門雪達は混沌を使い、人類が置かれた現状を変えようとした。


 混沌に関する実験は概ね順調に進んでいたが、実験の過程で生まれた存在――後の<源の魔神(アイオーン)>が人類に反旗を翻し、旧人類を支配下に置いた。


 源の魔神は混沌を使って数多の世界を作り、そこに新人類(じんるい)の種を撒いた。そうする事で人類を「滅びの危機」から救い、人類を虐げ始めた。


 全ては源の魔神の手のひらの上にあった。


 ただ、源の魔神が力をつけ、強くなっていった裏には<プレイヤー>と呼ばれる主に旧人類で構成された集団がいた。


 <予言の書>を携えた一部のプレイヤー達は源の魔神を強くする事で、自分達の天敵である<プレイヤーキラー>に抵抗しようとした。「最強の魔神(カミ)を造ってしまえば、奴だって倒せる」という考えで動いた。


 それ以外の目的もあったが、ともかく……一部のプレイヤー達の目論見は概ね成功した。彼らの予想通りに源の魔神は強くなっていった。


 しかし、源の魔神はプレイヤー達の手のひらの上から飛び出していった。


 彼の魔神は、あまりにも強くなりすぎた。


 暗躍するプレイヤー達の手に負えない存在になってしまった。


 源の魔神にとって旧人類も新人類も「復讐の対象」に過ぎない。陰に潜んでいるプレイヤー達は、強くなりすぎた源の魔神を恐れ、自分達が見つかる前に源の魔神を消そうとした。


 新暦1年。源の魔神は謀殺され、一部のプレイヤー達が築いた「多次元世界の秩序」は崩壊し、現在に至るまで戦乱の時代が続いている。



■予言の書

 多次元世界の「未来」が書かれたもの。世界のカンニングペーパー。


 実際に書かれているのは「未来」ではなく、「過去」である。


 多次元世界は過去に何度も生まれ、複数存在している。予言の書に書かれているのは「過去に観測された並行多次元世界の歴史」に過ぎない。


 ただ、条件が同一になれば「並行多次元世界で起きた事象」の再現が可能のため、プレイヤー達は予言の書を見て動き、自分達の望む未来を掴もうとしている。



■並行多次元世界の観測方法

 予言の書は多次元世界が生まれるたびにアップデートされている。


 多次元世界の観測は<原典聖剣>が行う。<選定の剣>と呼ばれた事もあるそれは「時間遡行能力」と「世界の観測能力」を備えており、投入された多次元世界で一定条件を満たすと過去に戻り、その多次元世界の観測情報を持ち帰る。


 その観測情報で予言の書がアップデートされ、プレイヤーそれぞれに内容の異なる予言の書が渡される。プレイヤー達はそれを参考にして動くため、大抵の場合は毎回、異なる歴史が形成される。


 それによって新たな「並行多次元世界」が構築されていく。異なる歴史、異なる多次元世界が積み重なっていくほど、予言の書は厚み(ちから)を増していく。


 ただ、その強化がプレイヤー達に多大な恩恵を与える事はあまり無い。予言の書をプレイヤー達に提供している<ゲームマスター>は性格に難があるため、プレイヤー達が予言の書で大暴れするのを好んでいない。


 そういう事情もあり、プレイヤー達はゲームマスターを憎んでいる。


 干渉を行うプレイヤー達が<夢葬の魔神(プレイヤーキラー)>によって壊滅に追いやられた場合は、大きな変化なく観測が終了する事もある。


 観測終了後の多次元世界は基本的に消滅しない。原典聖剣は世界をループさせているのではない。原典聖剣が過去に戻った後も、「観測されていない多次元世界」がその後も存在し続ける。



■プレイヤーの派閥

 プレイヤーは「集団」であり「個人」である。


 彼らはある意味では「仲間」だが、それぞれ異なる目的を持っているため、プレイヤー同士でも利害の不一致で争う事もある。


 ただ、プレイヤー同士で組んだ方がより強力な干渉を行えるため、それぞれの思惑を隠しつつ、手を組んでいる者達もいる。


 大別すると「観測否定派」「観測肯定派」「中立派」の3派閥が存在する。


 ゲームマスターは予言の書のアップデートを繰り返し、「並行多次元世界」を作り、「より多くの可能性」を蒐集している。


 蒐集のために「毎回内容の違う予言の書」を用意し、プレイヤー達に渡す。プレイヤー達は予言の書を参考に動く。予言の書の内容や、渡した相手が異なれば、多次元世界は大きくかき混ぜられ、結果、「新しい可能性」が生まれる。


 例えばAという多次元世界が「量子転移技術」を生み出したとする。原典聖剣はその技術を過去に持ち帰り、Bという多次元世界に予言の書で技術が持ち込まれた場合、Aで経た過程をすっ飛ばしてBに「量子転移技術」が誕生する。


 ゲームマスターはその手の可能性を沢山手に入れ、さらに進化させていくためにもプレイヤーという実験生物を投入している。


 プレイヤー達は自分達の扱いに憤慨しており、「ゲームマスター許せねえ!」「条件満たしてさっさと観測終わらせてやる!!」と考える者達もいる。


 その「観測を終わらせる」という目標を持っているのが「観測否定派」である。


 逆に「自分達が実験生物扱いはイラつくが、予言の書は便利」「だから出来るだけ長く、予言の書の恩恵に与りたい」と考える者達もいる。


 長く恩恵を得るには「既知の歴史」を繰り返す方が容易い。ゆえに彼らは予言の書を参考に「安定した秩序」を作り上げようとする。原典聖剣が長く観測を続ける状況を続けるために努力している。


 その「予言の書で楽したい」という派閥が「観測肯定派」である。


 否定派と肯定派は「回帰賛成派」「回帰否定派」という別名も存在する。彼らは「原典聖剣の観測」の終了是非に関し、争い続けている。


 そして、「そもそも予言の書とかどうでもいい」「原典聖剣の観測もどうでもいい」と考えているのが「中立派」である。


 中立派は他派閥の争いに巻き込まれない……わけではない。


 むしろ、半端な立ち位置にいる中立派はよく狙われる。


 中立派だろうが<プレイヤー>であり、彼らが持つ<予言の書>を奪えば自分の予言の書を強化できる。どの派閥にいようが彼らは醜く争い続けている。


 その争いで多次元世界がかき回された結果、さらに「新しい可能性」が生まれるため、ゲームマスターは意図的にプレイヤー達の争いが起こる状況を作っている。


 そういう事情もあり、プレイヤーの中にはゲームマスターを憎む者が多いのだが、仕返しらしい仕返しが出来ずにいる。



源の魔神(アイオーン)とプレイヤー

 源の魔神は<観測肯定派>が祭り上げた神である。


 源の魔神は非常に強力な魔神であり、彼が一強の「秩序」が形成されていた。


 特定勢力一強によって作られた秩序は<予言の書>を活用しやすい。既知の歴史を繰り返しやすい事により、観測肯定派はその状態を享受していた。


 また、源の魔神という「最強の魔神」がプレイヤーの天敵である<プレイヤーキラー>を倒してくれるのではないか、という期待もあった。


 だからこそ、観測肯定派は源の魔神を祭り上げるために暗躍した。


 彼らの目論見は概ね成功した。成功しすぎた。


 強くなり過ぎた源の魔神は観測肯定派のプレイヤーすら脅かす存在になり、彼らは予言の書の利益を享受する前に、自分達の命の心配が必要になった。


 源の魔神にとって、人類は皆、復讐の対象である。プレイヤーなどという「小賢しい存在」に気づいた場合、源の魔神は彼らを積極的に排除しようとする。実際、そうなった並行多次元世界もあった。


 源の魔神が、プレイヤー達を死ぬより酷い目にあわせた世界もあった。


 焦った観測肯定派は源の魔神を処分しようとしたが、その時にはもう、彼らだけで倒せる相手ではなくなっていた。


 そんな彼らに対し、【絵師】という<観測否定派>の中心人物が声をかけた。


 【絵師】にとっても「源の魔神による秩序」は都合が悪いものであり、観測肯定派の窮状につけ込み、「ここは肯定派と否定派の力を合わせよう」と提案した。


 観測肯定派は【絵師】の提案を呑まざるを得ず、かくして両派閥による「源の魔神謀殺計画」が実行に移された。プレイヤー達に後押しされた救世主(メサイア)達により、新暦1年に源の魔神は殺害された。一度死んだ。


 源の魔神の死により、それまで一強だったプレーローマは混乱期に突入。人類勢力が台頭していくことで、観測肯定派の築いた秩序は崩壊していった。


 中には「源の魔神の築いた秩序」でしか活用できない予言の書(じょうほう)しか持っていないプレイヤーもおり、そういう者は落伍者になっていった。



■新世界秩序

 観測肯定派はやむなく源の魔神を処分したが、秩序維持は諦めなかった。


 彼らは「新たな秩序の神」を作ることで、新世界秩序を築こうとした。懲りずに源の魔神の時と同じような状態を作ろうとした。


 源の魔神は失敗作だった。だから、今度は源の魔神より扱いやすい「秩序の神」を作ろうとした。その「神」によって新しい世界秩序を築こうとした。


 ただ、それは失敗に終わった。


 観測肯定派から【占星術師】と【詐欺師】が離反した事により、新たな秩序構築は失敗に終わった。新たな秩序の神は死亡し、今もどこかで生きている。



■プレイヤーキラー

 プレイヤーの存在を認知し、「プレイヤーは世界の癌」として抹殺をもくろんでいる者達のこと。代表例として2代目の<夢葬の魔神>が挙げられる。


 夢葬の魔神はプレイヤー達を夢の世界に引きずり込み、溶かし殺そうとしてくる。実際、夢葬の魔神が「全プレイヤー抹殺」に成功した多次元世界(かのうせい)もあった。


 現在の多次元世界でも大勢のプレイヤーが夢葬の魔神とその使徒に殺害されている。生き残ったプレイヤー達は夢葬の魔神に殺されないため、何年にも渡って安眠できないでいる。


 だからこそ<源の魔神>などの対プレイヤーキラー存在を作り上げようとした事もあったが、いずれも失敗に終わっている。




挿絵(By みてみん)

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