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7年前、僕らは名誉オークだった  作者: ▲■▲
第2.0章:ハッピーエンドにさよなら
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泥縄商事・社長直属部隊<夜行>



■title:交国軍・第7艦隊旗艦<堅尾>にて

■from:二等権限者・肆號玉帝


 爆発炎上し、海中に沈んでいく敵船。


 それが作り出す水しぶきと爆煙を引き裂き、無数の方舟(・・・・・)が展開していく。空間を押しのけ、艦隊(・・)が展開する。


 大小の差はあるが、全ての船が方舟で構成されている。


 カトーを収容している拘置所を挟む形で、第7艦隊と「敵艦隊」が向かい合う。両陣営が砲弾による殴り合いを始める。


「駆逐艦級9隻、巡洋艦級6隻、戦艦級3隻現出しました!」


「戦闘艦が、こんなに……!? いったいどこに潜んで……」


「神器の中ですよ」


 不勉強な技術者に向け、そう告げる。


「ファイアスターターの神器・プロメテウスの真価は『艦隊展開能力』です」


 だからこそ軍人達は攻撃を続けた。


 彼らはよくわかっている。


 神器の担い手であるファイアスターターを殺すか、捕縛するか、あるいは混沌(エネルギー)切れに追い込まない限り、この戦いは終わらない。


 自分の作った兵器(おもちゃ)しか見ていない技術者はこれだから……。「良い機会だからよく見て、それを研究にも活かしなさい」と叱っておく。


 机上の計算をさせているだけでは駄目ですね。しかし、それでもなお良いものを作っているのは評価せねば。……不勉強でも無知(そこ)は伸びしろとも言えます。


 たまには技術士官として現場を見て、現場の兵士と意見交換させるプログラムをもっと充実させた方が良さそうです。


 そんな事を考えつつ戦況を見守っていると、敵から無差別通信が届いた。


 ファイアスターターがこちらに向け、不敵に叫んでくる。


『我が名はファイアスターター! エデン第2実働部隊の長にして、エデン・ナンバー2の神器使いであるッ……!!』


 激しい戦闘の影響で、通信が僅かに乱れている。


 だが、テロリストの不遜な態度はよく伝わってくる。


『代理とはいえ、カトーはエデンの総長代理! 吾輩達の仲間である! 返してもらうぞ、エデン最強の神器使いを!!』


「……この通信も報道に流しておきなさい」


「はっ」


 近衛兵に対し、念のため命じておく。


 私が言うまでもなく、他の者達がやっているでしょうけどね。


 エデンが未だ、カトーと手が切れていない良い証拠になる。


 ゲットーの反乱事件と、玉帝(わたし)の暗殺未遂事件にエデン残党がしっかり関与している証拠になる。……馬鹿なテロリストですよ、本当に。


 ただ、ファイアスターターの強さは本物だ。


 マーレハイト共和国の戦いで神器が破損し、「不良品」となったカトーと違い、ファイアスターターは未だ全盛期の力を持っている。


 役立たずのカトーと違い、武力だけならファイアスターターは大きな戦力になる。……大人しく交国軍の軍門に下っていれば丁重に扱ってやったものを。





■title:不滅艦隊(プロメテウス)旗艦<陽炎>にて

■from:炎陣・ファイアスターター


「さすが交国軍。浮き足だっている様子がないな……!」


 拘置所ギリギリまで艦隊を温存し、展開したのだが……相対している交国軍人達が狼狽えている様子はない。


 拘置所側からも、陸側からも攻撃が一切途切れない。死体撃ちする勢いで飛んできたからさすがにちょっぴり焦ったぞ!


 出来れば拘置所上空……あるいは敵艦隊のド真ん中で艦隊を展開し、大乱戦に持ち込みたかったが……そこまで上手くはいかんか。


『隊長! こちらも交戦開始しました!』


「了解だ! 援護は任せろ! 支援砲撃が必要な時は言ってくれ!」


『はいっ!』


 可愛い部下達は、物資に紛れて拘置所内に潜入している。


 ウチの部下達だけでは拘置所の守備隊になぶり殺しにされる。練度と装備以前に数で圧倒されているため、包囲殲滅されてしまうだろう。


 そうならないよう、奴にも動いてもらっている。


「泥縄商事。吾輩の部下達を傷物にしたら許さんぞ」


『あいあい、任せてちょーだい』


 軽薄な声に対し、舌打ちしたくなる。


 奴は信用ならん。


 しかし、交国軍が泥縄商事(やつら)に気づいていないならいける。


 泥縄商事・社長直属部隊による奇襲(・・)が決まるはずだ。


 ただ、奴らだけで第7艦隊を倒すのは不可能だから――。


「こっちはこっちで殴り合いと行こうか、第7艦隊ッ!!」




■title:交国本土の拘置所内にて

■from:泥縄商事社長のドーラ


「はぁい、おつかれちゃ~ん」


 拘置所の守備隊のお片付け開始。


 まだ「最初の奇襲」だから、何とか気づかれず殺す事が出来た。


 とはいえ、殺せたのはたった2人だけ。拘置所の敷地には守備隊だけではなく、対ファイアスターター用に展開した部隊もいる。


「まだ気づかれてないよな?」


「直ぐ気づかれるよ」


 ファイアスターター君の部下と話しつつ、拘置所内を密かに進む。


 ウチの部下達も引き連れつつ、拘置所内のカトー君を探す。


 ただ探しているだけだと負けそうだし、もっと引っかき回さないとね。


夜行(ナイトシフト)前進。拘置所の機兵と砲兵に対処して」


 覆面の部下達に命じ、ファイアスターター君の援護を頼む。


 第7艦隊と比べると豆鉄砲とはいえ、拘置所を盾に撃ってきている敵兵も邪魔でしょ。多少はやっつけつつ、敵の兵器を奪って援護してあげよう。


 あくまで「ほどほど」に援護する。


 多少は敵兵を残さないと、敵の砲撃が拘置所(こっち)に来るだろうからね。


 敵さんとしては、カトー君ごとあたし達を殺してしまってもいい。どうせカトー君を処刑するつもりだから、砲撃ですりつぶしても良い。


 けど、交国軍兵士まで砲撃に巻き込むわけにはいかない。


 交国軍でも、体面は気にする。


 味方ごと敵を吹っ飛ばすとか、体面が悪すぎる。


 だから、敵をほどほどに残しつつ、カトー君を脱出させよう。


「さてさて……」


 部下達が散開していく。


 いまこの場にいる部下は、ほぼ全員行っちゃった。


「おい、あれだけの数を割くのか? まあ、いいけど――」


「いや、ちゃんと部下の補充はするよ?」


 ファイアスターターの部下君は、自分達だけでもカトー君を奪還する気みたいだけど、キミ達じゃあ無理でしょ。


 キミ達だけじゃ死ぬ。ファイアスターター君に契約違反だと咎められる。


 だから――。


「は~い、出ておいで(・・・・・)夜行~」


 そう言うと、近くの部屋の扉が開き、あたしの可愛い部下共(ナイトシフト)がワラワラと現れた。さっき派遣した子達の補充完了、っと。


「こ、こんな大量の兵士、どこから……」


「そこは企業秘密! さ、行こう」


 露払いはあたし達、泥縄商事の役目だ。




■title:交国本土の拘置所内にて

■from:拘置所守備隊員


「こ、ここに砲弾が落ちてきたりしないよな……!?」


「可能性は十分ある」


 拘置所上空で第7艦隊と敵艦隊(ファイアスターター)が撃ち合っている。


 こんな艦隊戦のド真ん中で拘置所の守備をやれなんて、冗談じゃない。


「だが、敵も拘置所に向けた砲撃は……簡単にはできないはずだ。ここには奴が取り返そうとしているテロリストがいるからな」


「そうか。あの重罪人のカトーを盾に使えば……!」


「実際、ここに派遣されてきた交国軍人達はカトーを盾に使って攻撃中なんだ。ただ、流れ弾まではコントロールできな――」


 少し離れたところで爆音が響いた。


 拘置所の敷地に砲弾が落ちてきたらしく、大きな土しぶきが上がっている。


 仲間が「ほら、あんな風に落ちてくる事はあるぞ」なんて呑気に言っているが、俺は冷や汗が止まらなくなった。


 交国本土勤務なら戦場から遠い! ラッキー! と思っていたのに……こんな艦隊戦に巻き込まれるとか、最前線でもそうそうねえよ!


 いや、こんな距離で艦隊が撃ち合うなんて普通ないが……!


「ん? おい、なんか銃撃が聞こえないか?」


「砲撃の音で、耳がイカれてそれどころじゃない」


「いや……これは……!」


 遮蔽物に滑り込み、銃弾の雨を何とか避ける。


 隣で話していた仲間は全身を蜂の巣にされた。


「敵襲!」


 拘置所内に敵が入り込んでいる。


 覆面をつけた兵士が、大量に展開している。


 いったい、どこから忍び込みやがった……!?




■title:交国軍・第7艦隊旗艦<堅尾>にて

■from:二等権限者・肆號玉帝


「拘置所内に敵兵! 少なくとも中隊規模が確認されています!」


 カトーのいる拘置所内で敵が暴れている。


 銃火器を装備した敵が、ファイアスターターに対処している交国軍兵士を後ろから撃っている映像が流れてきた。


 ファイアスターターを海側と大陸側の両方から挟み撃ちにしていたつもりが、拘置所の軍人達が挟み撃ちされている。


 さすがに混乱が広がっているようですが――。


『申し訳ありません玉帝! 拘置所内への敵侵入を許してしまい……!』


「謝罪は結構。即時対応しなさい」


 拘置所の守備隊長からの通信をあしらう。


 私がファイアスターター討伐を見に来たのは軽率だったかもしれない。


 交国の現最高指導者が現場に来ている以上、玉帝(わたし)の目は気になるか……。


「総員、自身の持ち場に集中なさい。貴方達が普段から十分に役目を果たしているのは、現場にいない私でもわかっています」


 ここは交国本土。怠慢な兵士はあまりいない。彼らは真面目に働いている。


 ただ、本土だからこそ、緩んでいるところはある。


 本土は敵の襲撃など簡単には受けないため、平和で緩んでいるところもある。ですが、今回はそこを突かれたわけではない。


「敵が上手だっただけです。私への謝罪は不要。ここから挽回なさい」


 拘置所の警備に穴らしい穴は無かったはず。


 もし仮に潜り込めたとしても、ほんの数人。


 中隊規模の敵が急に現れるはずは――。


「主上。今回の襲撃、泥縄商事も噛んでいるのでは?」


「なるほど。可能性は十分ありますね」


 近衛兵からの進言に頷く。


 ただ、「そんな馬鹿な」という思考も抱く。


 エデンと泥縄商事は敵同士。水と油の存在。


 手を組むのは有り得ないはず。


 ですが、実際にあの規模の敵が急に現れた以上、消去法で「泥縄商事の社長が動いている」と考えれば腑に落ちる。


 あの社長の異能(・・)なら、それが可能だ。


 となると、敵は――。


「第7艦隊内部にも、潜り込まれているでしょうね」


 兵士達に対応を促す。


「白兵戦用意。手隙の者は銃火器で武装し、要所にバリケードを築きなさい」


 密室(・・)を作らないよう促し、近衛兵達にも動くよう命じる。


「旗艦内部の敵を排除後、拘置所の応援に向かいなさい」


「主上の身辺警護が手薄になりますが――」


「3人いれば問題ありません。敵の排除優先です」


 別室に待機していた者達も含め、武装した近衛隊が動き始める。


 ただ、動くのが遅かった。


 泥縄商事がエデンに手を貸すなど想定していなかった。


 泥縄商事(やつら)、エデンの襲撃で大打撃を受けた事もあるのに……ろくな対価も用意できないエデンに手を貸すなんて……。


「ここも戦場になります。銃の扱いは?」


「も、もちろん可能ですっ……!」


「そうですか。貴方はその辺に隠れていなさい」


 へっぴり腰で震えている技術者には、観戦を優先させる。


 素人に毛が生えた程度の者が銃撃戦に参加すると邪魔だ。かといって肉壁にするのは勿体ない。専門分野が違う以上、戦闘への参加は控えてもらう。


「私にも銃を」


「こちらに」


 近衛兵から渡された銃器の具合を確かめる。


 最近、多忙で射撃訓練は怠っていましたが……まあ何とかなるでしょう。


「ただし、発砲は控えてください。下手な攻撃は敵の注意を引き、危険です」


「私の射撃が下手だと?」


「はい」


「下手です」


「自覚してなかったのですか……!?」


「……………………」


「そんな不満そうにしないでください……!」


 別に、不満とかそういうことは……。


 3人で、よってたかって……私の射撃技術を批判……してくるから……。


「菓子作りの時間を……もう少し、射撃訓練の時間にあてます……」


「そこまでしなくても……」


「余暇は好きに過ごしてください」


「貴方達……」


「主上1人で射撃訓練など、危なっかしいので我々の仕事が増えるだけですから」


「……………………」


「おい、言っていい事と悪い事があるぞ……!」


「もう少し包んで言え……!」


「いいのです。いいのです。貴方達が私をどう評価しているか、わかりました」


 ただ、部下達の言うことも最もなので、大人しく従う。


 所詮、私は守られる側の者です。専門家の意見に耳を傾けねば……。


「……やはり来ましたか」


 艦橋の外から銃撃音。


 近衛兵と艦内の兵士に対応させる。


 監視カメラ越しに状況を見ると、艦内に覆面を被った敵が現れていた。


 混沌の海で待機していた第7艦隊の艦艇内部に、多数の敵が乗り込んでいる。


 奇襲(・・)によって一部の軍人を射殺し、さらに艦内で破壊工作を行おうとしている。僅かに対応は遅れたものの、何とか要所は押さえられず済むはず。


「泥縄商事の夜行(ナイトシフト)ですね」


「ええ、間違いありません。あのゴキブリ共らしい奇襲です」


 突如現れた敵兵は、完全に死兵と化している。


 自分達の死を一切恐れず、1人でも多くの軍人を殺そうとしている。


 奴らは夜行。


 泥縄商事・社長直属部隊。


 多次元世界のあちこちで違法な武器取引や紛争誘発を行っている泥縄商事お抱えの戦闘部隊。筋金入りの犯罪者部隊。


 夜行1人1人の練度は、交国軍の精鋭部隊には劣る。


 悪くはないが、際だった強さではない。


 ただ、奴らの真価は「異常な奇襲能力」にある。


 蟻一匹不法侵入を許していないはずの第7艦隊艦艇に、多数の死兵を送り込む事ができる。……異能の正体はわかっているものの、対処は非常に難しい。


 来るのがわかっていれば、もう少しやりようがあったのですが――。


「時間をかければ撃退可能ですが、主上の仰る通り後手を踏まされていますね」


「ええ……。少し、厄介な状況です」


 ファイアスターターが1人で特攻をかけてくると予想していた。


 それだけなら最悪、第7艦隊だけでも対処は可能だった。他の戦力も含めれば最終的にファイアスターターの討伐も可能と予想していた。


 しかし、まさか不倶戴天の敵であるはずの<エデン>と<泥縄商事>が組むとは……。私達の考えが甘かったようですね。


「犬塚特佐と黒水守は?」


「現在移動中です。もう間もなく到着する予定ですが――」


 首都の守りに入っていた銀はともかく、黒水守はカトーの処刑終了まで拘置所(ここ)に詰めさせておくべきだったかもしれない。


 まあ、まだ挽回可能です。


 最悪、ファイアスターターの神器さえ確保できればいい。


 カトーはどうでもいい。


 あの男には、もう大した価値がない。




■title:交国本土の拘置所内にて

■from:拘置所守備隊員


「ゴキブリみたいに湧いてきやがって……!」


 拘置所の廊下にバリケードを築き、敵の侵攻を止める。


 拘置所の3分の1が敵に占拠されている。


 相当な数の敵兵に奇襲をかけられた……!


 何故、これほどの数の侵入に気づけなかった?


 ここは周囲を海に囲まれ、出入りは厳密に管理されている。拘置所内部の人間が敵を引き込んだとしても、この数はさすがに誰か気づくだろ!?


「く、来るなっ……!!」


 敵が突っ込んでくる。


 しかも、大量の手榴弾を手に突撃を仕掛けてきた!


 仲間達と全力で撃ったものの、手榴弾を持った敵が前方のバリケードに到達した。重傷を負いながら大量の手榴弾を投げてきた。


「っ…………?!」


 大爆発が発生し、バリケードの一部が吹っ飛んだ。


 勢いよく飛んできた血肉が天井や壁に張り付き、赤黒い血と白い脂が「べとぉ……」と重力に引かれ、たれている。


「――――」


 死体の中に敵の頭があった。


 転がっている。その顔が「ニタァ」と笑っていた。


 もう死んでいる。奴も死ぬのはわかっていたはずだ。


 それなのに……なんで、そんな顔で自爆特攻できたんだ……!?


「クスリでもキメた狂信者かよっ……!」


「ボケッとするな! 突破されるぞ!?」


「おっ、おうっ……!!」


 敵がまだまだ迫ってくる。


 敵味方の死体が折り重なる血みどろの戦場を駆けてくる。


 敵の中には、死体を盾代わりに特攻してくるイカレ野郎もいた。


 何なんだコイツら。銃火器で武装したゾンビか!?


 なんで……こんな、犠牲上等の戦いが出来るんだ……!?


「1人だけだが、応援に来てやったぞ! まだ生きてるな!?」


「助かる! 敵は向こうだ!」


「了解!」


 駆けつけてくれた仲間が、友軍(おれたち)に銃を向けてきた。


「――――」


 こいつ、本当に仲間か?


 こいつが現れた方向は、行き止まりのはず。


 部屋はあるけど、別の場所から応援にかけつける事なんて――。


「助けてやるぞ、泥縄商事(なかまたち)よッ!!」


「…………!?」


 仲間の皮を被った敵。それに向けて発砲したが、もう遅かった。


 交国軍の軍服を着た「敵」は、ゲラゲラと笑いながら銃を掃射した。


 バリケードの裏側に隠れていた仲間達がバタバタと倒れていく。


 こいつ、軍服を奪って交国軍兵士(なかま)のフリをして来やがった。


 だが、そうだとしても、何で行き止まりから現れてんだよ……!?


 一体、どこから突破してきたんだ……!?


「アヒヒヒッ! ヒャアアアァァァアアアッーーーー!!」


 掃射してきた敵兵が、ようやく止まった。


 全身に反撃の弾丸を受けても止まらなかったが、脳天を撃つとやっと止まった。


 けど――。


「ぁ……。くっ……くそっ……」


 俺も全身を撃たれてる。


 痛みはない。けど、さすがに身体が動かない。


 この場にいた味方は、さっきの掃射で全員倒れてる。


「通るよ~ん」


 敵のいる方向から、丸いサングラスをかけた少女がやってきた。


 ゾロゾロと敵兵を引き連れ、入場料でも払うように発砲してきた。





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