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7年前、僕らは名誉オークだった  作者: ▲■▲
第2.0章:ハッピーエンドにさよなら
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TIPS:カヴン



【TIPS:カヴン】

■概要

 多次元世界で広範囲に活動中の犯罪組織の名称。そして、流民達の互助組織でもある。新暦元年より昔から存在している非常に古い組織。


 数多の傘下組織を持っているが、親組織たる<カヴン>に在籍している構成員はそれほど多くない。


 現在の<カヴン>は「カヴン傘下組織の主立った面々が取り仕切る連絡会」のようなもので、親組織(カヴン)そのものはほぼ活動していない。


 組織の主立った者というのが「大首領直参幹部」という者達である。彼らはカヴンの形式的なリーダーである「大首領」の部下として、自分達の組織を率いている。


 直参幹部達は幹部会議で話し合いや情報交換を行い、時に連携し、不遇な立場にある流民(じぶん)達が生きていくために協力しあっている。


 ただ、「流民の同胞」として強固な絆を結んでいるわけではない。組織内でも縄張り争いやそれぞれの思惑があり、内部抗争もちょくちょく行われている。


 内部抗争がちょくちょくあるとはいえ、数多くの人間が集い、中核を担う構成員の正体が不明のため、人類連盟でも壊滅に追いやれない巨大組織となっている。


 交国と<ロレンス>が密約関係を結んでいたように、人類連盟加盟国と裏取引をしているカヴン傘下組織も数多く存在する。


 人類連盟をカヴンが牛耳るほどの力は一応、持っていないが、多次元世界の裏社会に対する影響力は随一のものがある。



■混沌の海の専門家

 多次元世界の流民達は苦しい立場にいるが、長年に渡って混沌の海で暮らし、流民同士の互助関係を結んできた「カヴンの流民」は1つの特技を手にしている。


 それが「混沌の海の航海技術」である。


 長く混沌の海で生活してきた知識・経験と、海獣や深人化の力。そして夢葬の魔神の府月によって、カヴンの航海技術は先進国すら勝てないものになっている。


 <ロレンス>はカヴン内でも特に航海技術に長けた者が多い事もあり、それを活かして海賊稼業等を行ってきた。人類連盟加盟国の軍隊すら翻弄し続けてきた。



■大首領・夢葬の魔神

 寄る辺なき流民の神。復讐者(プレイヤーキラー)


 全てのカヴン構成員の頂点に立つ者が「大首領」と呼ばれている。カヴンが現在の体制になって以来、大首領は「夢葬の魔神」が務めている。


 夢葬の魔神は魔神の一柱だが、人類に対して非常に友好的な魔神である。特に子供が大好きで、組織内部に限らず多次元世界中の子供達を<府月>に招き、もてなし、悪夢を見ないように見守っている。


 カヴンのトップとはいえ、夢葬の魔神は組織運営に無関心である。形式上のトップに過ぎず、実際の組織運営は直参幹部達が行っている。


 そもそも今の夢葬の魔神にとって、カヴンという組織は必要不可欠なものではない。流民達を哀れみ、名義と「基盤」を貸してあげているだけに過ぎない。


 多くのカヴン構成員がその有り難みを意識しておらず、子供と遊んでばかりで組織運営に無関心な夢葬の魔神を蔑んでいる。


 夢葬の魔神自身がそう思われることを望んでいるため、今日も子供達を夢の中でもてなし、組織構成員達からの信望を失い続けている。


 ただ、一部の直参幹部達は夢葬の魔神の強さを正しく認識しており、畏敬の念を持って大首領としての扱い続けている。一方で「何もしてくれない」ことに関し、歯痒く思い続けている。



■旧カヴン

 元々、カヴンはとある魔神を信仰する宗教組織だった。


 それがいつの間にか「流民の互助組織」となり、流民達が生きていくために犯罪を犯していった事で「犯罪組織」として疎まれるようになった。


 現在のカヴンは宗教組織だった頃の面影は、殆ど残っていない。夢葬の魔神が形式上のリーダーとして大首領を務めつつ、子供達と遊びほうけるようになった事で、信仰心を持つ者は殆どいなくなった。



■大首領直参幹部

 組織運営に興味のない大首領に代わり、カヴンを実質的に支配している者達。


 ロミオ・ロレンスのように大っぴらに正体を明かしている者もいれば、大首領の力を借りて正体を隠している者もいる。


 カヴンは一応、「流民の互助組織」としての顔も持っているが、今のカヴンには流民ではない直参幹部も所属している。


 流民でなくても「カヴンの利益になる」とし、所属を許されている者も多い。その事を不満に思っている者達もいるが、互助組織ではなく「犯罪組織」としての力関係によって黙らされているのが現状である。



■夜会

 カヴンの幹部会議の名称。大首領直参幹部等が集まり、様々な協議や意志決定を行う。大首領も参加者の1人だが棄権し、ほぼ参加しないでいる。


 夜会は基本的に<府月>で行われる。そうしないと多次元世界中にいる直参幹部が一堂に会するのはほぼ不可能のため、開催には大首領の力添えが不可欠。



■府月

 夢葬の魔神が作り出した異界であり、その身体の一部。胃に当たる部位で、府月の住民ではない者が長期滞在していると溶けて死ぬ。


 夢葬の魔神は府月を「人々の夢」の一部を拝借して作り上げており、人々の夢は府月に繋がっている。府月は夢の集合体(ドリームランド)である。


 府月への訪問資格を持つのは基本的に「子供」と「カヴン構成員」に限られ、夢葬の魔神は子供達を府月に招き、悪夢を見ないように夢を操作している。多くの子供達がその自覚もなく、楽しい夢を見続けている。


 カヴン構成員の大人達は子供達のように持て成してもらえるわけではない。


 ただし、「府月での記憶」を現に持ち帰る事を許可されているため、府月を「構成員の連絡の場」として利用している。


 府月への訪問は眠りさえすれば可能。龍脈通信以上に広範囲との連絡が可能となっている。カヴン構成員にとって大事な社会基盤となっている。


 単に構成員同士の仕事の話をする場に限らず、離れたところにいる家族同士で集まる場としても利用されている。夢葬の魔神はそれらを見守り続けている。



■夢葬の魔神の倒し方

 府月は異界であり、夢葬の魔神の身体である。府月の構築には「人々の夢」が必要不可欠のため、それが1つの弱点となっている。


 極端な話、「全ての人々が眠らない」状況を作れば、府月は消滅する。それによって夢葬の魔神は倒せると言われている。


 そんな状況を作るのが困難であり、そもそも府月は多次元世界の外にも広がっているため、夢葬の魔神は実質不死身の魔神(バケモノ)である。


 昔の夢葬の魔神はもっと弱かった。


 古王国の王を務め、家族との日々を大事にしている1人の母親に過ぎなかった。


 しかし彼女は復讐者になり、家族と臣民の仇を追い続けている。



■夢葬の魔神を動かす方法

 夢葬の魔神は組織運営にも利益にも興味がなく、カヴン構成員の嘆願でも動かない。のほほんと様々な多次元世界の子供達(かのうせい)を見守っている。


 かつての彼女は全てを救おうとした。


 だが、それが不可能だと知った。


 彼女は「私に全ては救えない」という反省から、現への干渉を極力避けている。カヴン構成員らに対する「府月(インフラ)の提供」は例外中の例外に過ぎない。


 どうしても夢葬の魔神の力を借りたい場合、彼女が探し求めている存在(プレイヤー)達の首を交渉材料として用意するしかない。


 夢葬の魔神は「最弱の魔神」として蔑まれ、舐められているが、力のほんの一部でも借り受けることが出来れば理を覆せる。


 ただ、ほんの一部の力程度では、世界という大海に小石を投げ込む程度の事しか出来ない。欲張りすぎず、真に狙うべき目標を見定めるべきだろう。





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