TIPS:深海圏
【TIPS:深海圏】
■概要
混沌の海の最下層の名称。
深海圏の混沌の海は非常に荒れやすく、熟練の航海者と最新鋭の方舟が揃っていても自由に航行するのは不可能に近い。
危険な海のため、プレーローマや人類連盟の支配もほぼ及んでいない。そのため「行き場の無い者達が最後に行き着く最果ての海」とも言われている。
深海圏にもいくつか世界が存在しているため、そこに逃げ込むために流れてくる者は流民に限らず大勢いるが、大勢が海の藻屑になっている。
単に海が荒れやすいだけではなく、深海圏は時間の流れまで大きく乱れている。野良の海獣も多数生息している。下層に潜れば潜るほど危険度は増していくため、どうしても深海圏に用事があるものは、まず最初に遺書を用意するべきだ。
■サルベージの名所
深海圏は、海流の影響で多次元世界各所から大量のゴミまで流れ込んでいる。
船舶や兵器、アイランドの残骸も多く流れ着いており、それらのゴミと荒々しい海流が組み合わさり、さらに航行の危険度が高まっている。
ただ、大量のゴミが流れ着くという事は「サルベージ」という事業を成り立たせている。大勢のサルベージャー達が深海圏手前のアイランド等に集い、回収したゴミの中から使えるものを見繕い、取引している。
これにより深海圏の上層では「引き揚げ」「引き揚げたゴミの修理」「販売」などによって独自の経済圏が築かれている。人類連盟も手出ししづらい無法地帯だが、無法者達なりに掟を守って生活している。
人類連盟は何度か取り締まりのために軍船を派遣しているが、深海圏近辺の航行になれている者達相手では、取り締まりもあまり上手くいってない。
それどころか深海圏を利用して「ゴミ」にされ、真新しい軍船を市場に並べられる事もある。人類連盟はそれに腹を立て、深海圏近海の独自経済圏に金を落とさないよう、加盟国に圧力をかけている。
ただ、引き揚げられるゴミの中にはまだ使える混沌機関が見つかる事もある。それは混沌機関を自力生産できない国家にとって垂涎の品であり、犯罪組織を仲介に挟んでも深海圏市場に関わる国家は後を絶たない。
■深海圏の流民達
深海圏でサルベージ稼業を行っている者達の多くは流民である。
深海圏の上層だろうが危険度は他の海より高いため、死は身近にある。それでも人類連盟の圧力は余所より少ないため「深海圏の方がマシ」と言う流民も多い。
<ロレンス>傘下組織に限らず、<カヴン>傘下組織にも深海圏の経済圏に関わっている流民組織は少なくない。カヴン関連以外の組織もいるが、規模的にはカヴンが最も大きく、相応に力も大きい。
ただ、カヴン傘下組織だろうと仲が良いとは限らず、傘下組織同士でも深海圏の縄張り争いを行っている。
■深海圏の国家
深海圏の海は大きく荒れているが、そこに存在する世界内部まで荒れているとは限らない。界内に逃げ込めば穏やかな世界が広がっている事もある。
人類国家もいくつか存在している。ただし、界外の海が荒れているため異世界と関わらず――というか関われず――独自発展を遂げている世界が少なくない。
界内の「陸」を求め、流民による侵略を受けている国もある。深海圏は人類連盟でも手出ししづらい場所のため、人連の「庇護」を受けられず、滅びる国もある。
中には<根の国>から技術供与を受け、海獣の生産工場が作られている世界もある。流民達にとって海獣は無くてはならない存在のため、海獣の安定供給のためにそういった世界は流民の侵略を受けず、独立を保っている。
■根の国
深海圏の最奥。混沌の海の底にある世界の名称。
大龍脈を支える多次元世界の要であり、ここが滅ぶと「多次元世界の全てが壊れる」と言われている。辺境とはいえ多次元世界の要所。
根の国は<守要の魔神>が作り、統治していた。守要の魔神の統治下時代は平和で争いのない「天国」のような場所だった。
■守要の魔神
人造神。造られ託された魔神。
守要の魔神は人類側に立っていた魔神で、自身が統治する根の国で人々を守っていた。多次元世界全体の争いにも心を痛め、その未来を憂いていた。
流民達が置かれた苦しい状況にも目を向けており、流民達の食料・居住地問題解決のために<海獣>を創造し、無償で提供していた。時には流民以外の勢力にも海獣を出荷していた。
自身が善意で提供した海獣の影響で、深人化という祝福が生まれた事を深く後悔し、深人化の改善をロミオ・ロレンス達に約束していた。
だが、政変によって倒され、根の国の指導者の座から引きずり下ろされた。殺されはしなかったものの、死ぬより惨たらしい目にあわされている。
守要の魔神に大きな恩義があるロミオ・ロレンス達も、守要の魔神の身を案じていた。しかし、根の国にはカヴン構成員ですら手が出しづらく、根の国が長く鎖国をしていた事もあり、守要の魔神は見捨てられた。
■七光
根の国の現支配者達。守要の魔神を倒し、その身を七分割して分け合う事で魔神の力を得た簒奪者達の総称。
七光達は根の国を分割統治しており、守要の魔神を倒した後はしばらく鎖国状態を敷いていた。しかし、後に界外との取引を再開し、カヴンも一部の七光との取引によって海獣等を手に入れている。
七光達はお互いに不干渉を決めていたが、やがて欲に負け、「他の七光が所持する守要の魔神の身体」を手に入れ、さらなる力を欲し始めた。
そのため根の国は七光同士の戦争状態に突入している。
彼らの統治体制は守要の魔神が築いた楽園とはほど遠い暗黒世界だったが、戦争によってさらに酷い状態になっている。
どの七光が覇権を握ったところで「根の国に真の平和は訪れない」と言われている。そのため神器使いを擁するレジスタンス達が反七光活動を行っている。
レジスタンス達は七光の勢力より弱いが、それでも「守要の魔神を復活させれば逆転できる」と信じ、戦い続けている。
また、根の国という「多次元世界の要所」を手に入れたがっているプレーローマまで密かに軍隊を派遣しているため、根の国は「七光同士の戦い」「七光とレジスタンスの戦い」「界外勢力の侵略」が行われる激戦地と化している。
この戦いはいずれ、最悪の形で終結する。
しかし、それは名誉オークの物語ではない。




