表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/158

66.アイツと私の関係

 決戦はクリスマス。そう決めた。


 随分と、『乙女心』も慣れたと思う。思い切って期限を決めて、一線を越えようと決意する。またズルズルと先延ばしにする、自分の性格を鑑みて退路を断つ事にしたのだ。


 ……とはいえ、如何したものか。流石に、千鶴ちゃんのアドバイスのようにする訳にも行かない。はしたない真似はしたくない。だが、普通に迫って拒否されるのも怖い。


 そうはならない様、事前にスキンシップを意識的に増やしている。アイツの様子もおかしいというか、何か感づいている。


 もう、後戻りは出来ない。思えば、勢いだけで突っ走って来た私。暴走するのはいつもの事だ。


 だが、今回ばかりはノリと勢いという訳にも行かない。……その、乙女の一大事である。


 出来るならば、思い出に残るような行動にしたいのだ。ロマンチックな成分多めである。


 日頃ロマンだ何だと言ってはいるが、事ここに至っては絶対に失敗したくない。あと、ジェームスに主導権を握られたくない。複雑な『乙女心』だ。



 だから、クリスマスイブの夜に突撃しよう。もちろん裸では行かない。恥ずかしくてとても無理だ。お母さん、やっぱり肉食系だよね。


 突然行って気まずくならない様、事前に手紙を書いて渡す事にした。


「今夜、あなたの部屋に行きます」それだけ。


 それだけでいい。色々な想いを伝えるのは、手紙ではない。


 そして、夕食を食べた後で皆に気付かれない様にこっそりと手渡した。恐らくその中身を見たのだろう。


 ジェームスは椅子からずり落ちそうになっていた。やめてよ、バレるじゃないの。


 皆が寝静まった頃、私は覚悟を決めた。お風呂には入った。身支度もよし。


 ……女は度胸だ。私らしく突っ込んでいく事にした。


 

 ドアを小さな音でノックする。心臓が張り裂けそうだ。


「開いているよ」

「こんばんは、通りすがりのサンタです。貴方へのプレゼントをお届けに参りました」


 考え付く限り、一番良いと思う台詞を言い切った。


「ああ、貰おう。……で、プレゼントは何だ?」

「……私です」


 少しの間、沈黙が続く。


「……来いよ」

「はい」


「あの、ジェームス。私は……」

「こういう事は言葉じゃない。行動で示せよ」

「あっ、あの……」


 その後、私達はゆっくりとお互いの気持ちを確かめあった。具体的には言わないでおこう。


 ……黙って心に留めておく。そういう時もあるのだ。



「……昨夜はお楽しみでしたね」千鶴ちゃんが呆れながら言う。


 ……あれ、心に留めておくのは? せっかく良い感じにまとめたのよ。


「そりゃ、部屋が隣なんですから聞こえるでしょう。しかもニ回戦まで……」


 うん、そうだね。ここ壁薄かったしね。


 ……ハッと気づいて反対を見ると、ホルス君は顔を真っ赤にして、目を合わせようとしない。


 ああ、そっちにも筒抜けでしたか……。


「出来るだけ耳を塞いであげましたけど、限界がありますよ」

「ごめんなさい、皆には内緒で……」

「いえいえ、今更皆に伝えても『……やっとかよ!』程度の反応で終わりますから。どんだけ長引かせたと思っているんですか」千鶴ちゃんは辛辣だ。


 ジェームスはずっと笑っている。どうにも何か吹っ切れたらしい。こんな陽気なジェームスは初めて見るかもしれない。


「まあ、正式にお付き合いというか、もう結婚しているのな。……こうなりゃ皆を招いて、式でも挙げるか?」

「……駄目押ししないでよ、もう」


 なんと言うか、思い切って暴走した割にはおかしな関係になったような気がする……。いや、既に手遅れだったかも。


「まあ、そういう訳で俺はアキラと、一緒に並んで歩んでいくつもりだ。もう、暴走させないからな」と言いながら、ジェームスは笑った。……少し気恥しい。


 こんな世間話というか、惚気話をしている場合ではない。今日からは営業を停止して、大掃除を始めないといけない……。


 まあ、自分の暴走の結果ではある。自覚はしています。すみませんでした。


 出来れば早めに本部を訪れたいのだ。友人のレイ君の捜索だ。長引く事も考慮してニ月中頃までは、ホテルを休止する事にした。


 そして、各自の部屋を片付けるのだが、私はジェームスの部屋も片付けた。……物凄い事になっていたのは、見なかった事にしよう。



「まあ、とにかく本部に行こう。ホルス君の紹介もあるし、お婆さんに占って貰わなくちゃ」

「……あの婆さんの占い、当たるのかよ」ジェームス、そういう事は思ってても言わないものよ。

「皆さんには、ご迷惑を掛けます」ホルス君が恐縮する。

「仲間じゃないの、こういう時は頼って貰わないと」


 ホテルに鍵を掛け、出かける事にする。留守番は安藤さん一家にお任せした、


「こんなに簡単に『門』が開くんですか……」

「そうね、私だけしか出来ないけど、素早く動くのには丁度良いのよ」何か緊急時に駆けずり回る事になる訳だけどね。


 本部の前に着いた。普通にリズさんが出てきた。


「ラヴの香りがしたのよ~。随分と待たされたわ~」あんた、それが言いたかっただけか。

「はい、こちらが新メンバーのホルス君です。こちらがリズさん。『魔導師』同士仲良くしてくださいね」

「はいは~い、よろしく~」

「あ、宜しくお願いします。……凄い魔力ですね。全く歯が立たないと思いますよ」


 そう言うのは直ぐに分かるのか。私達には縁遠い世界だ。


「それで、彼のお友達が行方不明なので、お婆さんに占って貰おうかと」

「じゃあ、団長の所に行く前に~ちょっと寄り道しましょ~」


「お婆さん、生きてますかー? それとも死にましたかー?」

「何で、お前さんは死ぬ事を前提にしておるんじゃ?」

「……何となくです」

「まあ、ええわい。探し人じゃな?」それも占いで分かったのかな?


 友人の姿絵とペンダントを渡して、お婆さんに占いをお願いした。


「……生きてはおるようだが、特に迷っておる訳ではない。「兵馬俑」の隣の世界で暮らしておるよ」

「その『門』の場所は? 詳しい場所を教えて下さい」

「日本じゃな。奈良という場所に『門』がある様じゃ」


 つまり、兵馬俑の『門』を出て、そこから日本へ。奈良にある『門』の先。そこに友人が暮らしている……。ええと、迷っている訳ではないのか。


「婆さん、何でそいつは戻る方法を調べずに、その場所で暮らしているんだ?」

「恐らくじゃが、記憶を失っておるのではないかな?詳しくは分からん」

「……とにかく、急いで探しましょう。俺も日本に『門』があるとは思わなかった」

「えっと、遠いの?」


 もしかして、『魔族』が住み着いているとか……。


「いえ、俺達は日本に住んでいたので……あまりに近すぎて気が付きませんでした」


 ああ、条件が複雑なタイプだろう。数十年間隔で開く条件の『門』を通った事がある。本当に偶然に落ちてしまったのだろう。普通では見つけられない筈。


「よし、何とか場所を特定出来たし、何とか見つかりそうだね」

「ありがとうございます、なんてお礼を言ったら」

「まあ、魔法が得意なんじゃろぅ。この子達を助けてやってくれ」


 団長にも経緯や横浜の話は、しておかなければ……。ジェームスとの事は秘密にしておこう、何となく。


『……仲間が見つかったのか。その友人も参加するかもしれないな』

「ああ、そうですね。無事に見つかったら協力して貰います」魔法剣士って、強そうだけどどうなんだろう。

「楽しい仲間が~、芋づる式~」リズさん、もう少し言い方があるでしょうに。オマケみたいじゃないですか。まったく。

「……その、記憶喪失というのが気になりますが。会って確かめないと」


 記憶を戻す、っていう魔道具は無かった筈。仲の良い友人と会って、記憶が戻ると良いのだけど。


「一旦、俺たちの住む村に行ってから、奈良に向かった方が良いですね」

「……よし、急いで「兵馬俑」に向かいます!」


 久しぶりに大人数で、新しい世界を調査する事になりそうだ。私は、未知なる世界に思いを馳せた。

 恋愛回でした。……疲れた。これは慣れない。


 番外編はR18です、当然です。直接的な表現が無くても駄目でしょうし。


 投稿しました。【番外】彼氏彼女の情事『https://novel18.syosetu.com/n9475ic/』


 ……夜中に真面目な顔をしながら、誤字チェックする事じゃない。何をやっているのやら。


 面白い、続きが気になると気になった方は、評価☆やブックマークを付けて頂けないでしょうか。励みになります。恋愛ものの方が良い、と言う方がおられたら感想を下さい。考えてみます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ