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34.ウチのお店は何屋さん?

 ジェームスには、千鶴ちゃん用の『通話の魔道具』を作って貰った。これからリスボンに向かうのだ。使い捨ての魔道具は勿体ないので、此処で準備をして貰おう。


 先に本部に向かい、ロンドンでグレッグさんと『交渉』してから、リスボンの問題を解決する事にしよう。


 リズさんと千鶴ちゃんの対決は、出来るだけ避けたい。その内暇が出来たら、と言う感じだ。まあ、自己紹介した時点で何が起こるのかは、私にも分からない。


 団長には中国での出来事を報告して、お婆さんに『門』の調査を依頼しなければいけない。「紫禁城」の方は、自分が行かないと難しいのでとりあえず「兵馬俑」だけ依頼しよう。


「それでは、私達はこれで出発します。ジェームスの事、よろしくお願いします」と、お爺さんとジェームスを交互に見る。


 もう勝手知ったる遊牧民の村だ。特に問題が起きる事は無かろう。ジェームスと目が合った。何か色々と言いたそうにしている。


「どうしたのよ。何か言いたい事でもあるの?」

「いや、何でもない。無理だけはするなよ」

「……馬鹿ね、ジェームス。私は何時だって出来る事しかしないわ。何かあったらサンダースさん経由で伝えるわよ」


 まあ、リスボンの方をどうするかが問題ではあるが、荒事に巻き込まれる事は無いと思う。お金の始末の方が問題だし。


「じゃあ、皆さん。体には気を付けて」

「うむ、お嬢も旅には気を付けてな」


 村全員でのお見送りも恒例になった。手を振りながら遊牧民の村を後にする。まずは本部で報告が待っている。千鶴ちゃんとの二人旅が始まった。途中、千鶴ちゃんは色々な世界にいちいち驚く。


 分かるよ、その気持ち。時代も場所も違う世界って興奮するよね。


 本部に到着した。そういえば、リズさんに書類の手伝いを約束しているのだ。どれくらい溜まっているのだろうか?


 呼び鈴を鳴らすと、リズさんがお出迎えに来た。


「こんにちは、リズさん。今日は中国遠征の報告と新メンバーの顔見せです」

「あらあら、初めまして~。私リズって言います。よろしく~」

「初めまして。千鶴と申します。よろしくお願いします。……お姉様、この方が『敦煌の魔女』さんですか?」と、千鶴ちゃんが臨戦態勢に入る。


「そうよ、この人よ。凄い魔導師だけど、あんまりやる気が無いしね。多分、対戦は無理じゃない?」


「この子変わっているわね~。神様の力を使う娘を見るのは初めてね~」

「千鶴ちゃんは『殴り巫女』らしいです。何か神様に祈りを捧げて力を得るとか……」


「あなた、魔法が効かないわよね~。自分自身に『封印』を掛ける感じかしら~」一目見ただけで分かるのか。

「……お姉様、この方強いです。うーん、戦いたいなぁ」と、千鶴ちゃんは残念そうだ。


 どうやら今すぐに、どうこうする事にはならなさそうだ。この辺の土地が爆発する事にならなくて安心する。まあ、千鶴ちゃんの特殊能力が気にならないかと言えば、興味はある。


「ともかく、よろしくね~。千鶴ちゃん」と、リズさんはマイペースだ。

「そういえば、書類溜まってますか?」

「そうねぇ~、手伝ってくれるとありがたいけど、時間ある?」


「うーん、リスボンの件があるので少しなら手伝いますよ」

「お姉様、この方と書類に何の関係が?」どうやら、リズさんを戦闘要員だと思っているらしい。


「ああ、リズさんの本業は経理関係なの。いつもメンバーからの書類を処理しないといけないのよ」

「えっ、戦わないんですか?」ウチの組織を何だと思っているのか。


 そういえば、千鶴ちゃんをメンバーに入れたが、どんな組織かは言ってなかったか。恐らく戦争をするために加入したと思っているようだ。


 ウチは旅団であって傭兵団ではないのだ。まあ、この二人が居れば一方的に殲滅出来そうな気はする。一体何と戦うのか、と言う話ではあるのだが。


「ともかく、『門』の情報と清との交渉があるので、団長の所に行きましょう」

「は~い」「はいっ」と、二人が返事をする。このメンバー、何となくだが馬が合うような気がする。


 という訳で、次はお婆さんの所へ向かう。「お婆さん、こんにちはー。まだ生きてますよね?」と声を掛けた。


「まだ死相は出ておらんからのう、暫く死ぬ気はないぞ」と、いつもの台詞。平常運転である。

「中国で『門』二つ見つけました。まだその先は調べてないので、よろしくー」

「そうか、詳しくは団長の所で聞く事にするかね」と、皆で団長の所へ向かう。


「お前さん、変わっておるのう。海と戦の気配がするわい」と、お婆さんが千鶴ちゃんに声を掛ける。

「はい、来島村上水軍の出身なので、陸より海にいる方が長いですね」

「まあ、これも『運命』じゃろう。頑張るんじゃぞ」と、お婆さんはいつも通り、よく分からない占いの結果を話す。どんな『運命』なんだろうか?


 団長の部屋に皆が入って、千鶴ちゃんを紹介する。


「ただいま、中国から戻りました。この子は元海賊の千鶴ちゃんです。私の護衛として、仲間にしました」

「千鶴です。よろしくお願い致します」

『……なるほど。私がこの組織の団長だ、よろしく頼む』


 千鶴ちゃんに幹部メンバーの紹介をして、今回の中国遠征の報告を行う。ジェームス常駐と遊牧民の村の状況。後は清との技術交流なんかがメインとなる。後、皇帝陛下に異世界の事を話した件もある。


『……特に問題は無いだろう。連絡役にサンダースを任命しておく。後『兵馬俑』の調査は、他のメンバーで進めて置く事にしよう』

「そうじゃな、開く条件さえ分かれば、問題は無いぞ。何人か送り込んでおく事にしようかの」


「それで、『紫禁城』の方は、私が出向かないと難しいので、とりあえず近寄らせない様にしています」

『……暫くはそれで大丈夫だろう。手の空いた時に調査をしておく事だな』


 という事で、一通り中国遠征の報告は終わった。後はリスボンの件か。


「そろそろ、リスボンの両替商の方が問題ですね。両替自体が増えたせいで、倉庫が慢性的に不足しています」と、エリオの心労を何とかしないと。


「ふむ、さすがにその手の問題は解決方法が分からんのう」

「ば~っと、お金をばらまいちゃえば、いいんじゃない~」と、リズさんが言う。真面目に考えて下さいよ。

『……何か新しい事業を考えるしかないが。各国の通貨を減らす方法、か』と、団長も悩む。


 ふむ、こういうのは現地での聞き取りをしないと、ニーズが分からない。ともあれエリオとよく相談するしかない。何か良いアイデアは無いものか。


「ともかく、現地で色々と情報を集めてみます。定期的にサンダースさんに連絡を取れるようにして貰えますか?」と、私からお願いする。


 遊牧民の村とロンドン・リスボンと、三つの世界で常駐する事になるので、他の世界も気になるし。情報交換と輸送は密に行いたいのだ。


「よかろう、サンダースには伝えておこう。ロンドンの店はどうするのじゃ?」

「はい、一時的ですがグレッグさんに店長をお願いして、誰かサポートが居れば大丈夫かと」

「グレッグさん、ず~っと店番なのね~」と、リズさんが面白そうにしている。


 書類の仕事が無ければ、リズさんをサポートにぶち込むのだが、さすがに組織の活動が停止するので自重しよう。誰か金勘定に強そうな人が居れば良いのだけれど。


「ふむ、諜報部門所属だが、いつも行商をして居る女性がおるわい。客商売じゃから、そいつを送っておけばよかろう。働き者だし問題ないじゃろう」と、お婆さんからの推薦だ。

「分かりました。グレッグさんには伝えておきます」


 報告が終わり、少しリズさんの仕事を千鶴ちゃんと一緒に手伝い、ロンドンに向かう事にした。残念ながら、千鶴ちゃんには、荷物運び以外の技能が無い事が判明した。


 ……やはり戦闘以外は難しいのだろうか。本人の人生が修行ばっかりだから、その辺の知識や経験が全く無い。地頭は良さそうだし、色々と教えてあげれば何とかなりそうなのだが。


 時間が取れたら、勉強を教えるとするか。マリアちゃんと一緒に勉強するのも良い。二人並んで算数のお勉強する姿を思い浮かべて、くすっと笑ってしまった。


 ロンドンで、何時ものように客のいない店内に入る。


「すみませんが、延長でお願いします。というか店長代理の方が良いかも」と、軽めに言ってみた。

「……なんで男と二人きりで旅行して、女の子が増えるんだ?そっちの方が気になるぞ」と、グレッグさんは、千鶴ちゃんの事を聞く。

「まあ、強いて言うなら拾ったというか。……と言うか勘違いされるような事を言わないで下さいよ」


「新婚旅行じゃなかったのか?」と、グレッグさんが茶化してくる。

「ちゃんと、任務も市場調査もしてました。皇帝陛下に謁見迄したんですよ」

「ははは、冗談だって。しかしジェームスが遊牧民の村と中国の往復か。寂しくなるな」

「すみません、こうなるとは思っていなくて」

「博打仲間が減っちまったが、まあ別に気にするな。それより魔道具の修理と注文が結構あるがどうする?」


 魔道具屋を休止しようと思っていたが、意外に利用客は居るようだ


「そうですね。サンダースさんに遊牧民の村を往復ついでに運んでもらおうかと。あっちでも魔道具の仕事は出来ますし。『浄水の魔道具』なら修理せずに新品と交換したらどうでしょうか」

「ああ、それで問題無いな。それ以外は休止にしておけばいい。元々売っているのは食料品が殆どだしな」と、グレッグさんの発言は冗談ではなく、本当のようだ。


 台帳を見ながら品目の割合を調べる。……うわ、本当に六割が食料品で三割が医薬品だ。そろそろ看板の変更が必要かもしれない。


 ともあれ、それならお客さんへの影響が少ないのも事実。何というか、食料品が多いのは自分の責任なのでどうにも仕方がない。


「では、すみませんがその方向で、店長代理をお願いします。後本部からサポートの女性を寄越すとの事でした」

「それは有り難い。夕方頃の晩飯の材料を買いに来る主婦やメイドの対応で忙しくてな」


 ウチの店は一体どこに向かっているのだろうか。まあ、繁盛しているのは台帳を見れば分かるので、気にしない事にしよう。魔道具屋とは一体……。


「後はフランスとイギリス海軍向けの魔道具だな。そちらもサンダース経由でやり取りしよう」

「ありがとうございます。リスボンの対策に本腰を入れたいので、結構長い期間になります」

「いや、今の仕事も結構気に入っているんだ。元々が商売人だしな」


 何というか、グレッグさんには迷惑を掛けっぱなしである。何時かちゃんとお礼をしよう。


 とりあえず、引継ぎと言うよりお店の課題を話し合う結果となったが、リスボンに全力を注ぐ事が出来そうだ。エリオの悲痛な叫び声を何とかせねばならん。


 私は、急いで千鶴ちゃんと一緒に、一路リスボンを目指す事にした。

 グレッグさんが面白キャラに。まあ、楽しそうなので良いでしょう。


 一応、サポートの女性の件は伏線です。


 キャラが増えるのは、物語に幅が出ますが全員扱える技量が無いです……。


 なるほど、面白いと気になった方は、評価☆やブックマークを付けて頂けないでしょうか。また、感想などもお待ちしています。

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