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【番外】或る変人との出会いと顛末

 俺の名はジェームス。魔道具師をやっている。


 ……ウチの店長は変人だ。


 もう、かれこれ二年以上の付き合いになるが、未だに何を考えているのかさっぱり分からん。


 付き合うと言っても、恋人でも何でもない。


 ただの従業員と店長……それだけの関係だ。


 ……もちろん、俺にとってはそうではないが。


 ふとした事で積み上げて来た物を全て放り投げて、行き場も無く腹を空かせて彷徨い歩いていた俺を、拾ってくれたのだ。


 初めて会ったのは、スラム街……ふと、美味そうな匂いに誘われた。


 俺には、恥も外聞もプライドも無い……ただ「腹が減った」と、スラム街で店を出している女に身振り手振りで伝えた。


 女は、笑いながら器に何かを入れて渡してきた。


 ……美味かった。唯々体に染みわたった。


 ひと心地ついて良く見ていると、彼女はスラム街で炊き出しをしていたらしい。


 あの美味い飯を求めて自然と人が集まり、徐々に金を払う奴が出てきてなし崩しで店を開く、という事になったらしい。


 ダニエルという、店の手伝いをしている少年から、一通りの経緯を聞いた。


 この、クソ野郎共がウロウロするロンドンで、そんなお人好し、見た事が無い。


 賊にでも襲われ、売り飛ばされるのがオチだ。


 現に、俺のような怪しい人間をためらいも無く、受け入れているのが何よりの証拠だ。


 変な奴だ……第一印象はその程度。


 その甘さは、変人と言っても良い。


 どんな生活を送れば、こんな考えの奴が出来るのか親の顔を見てみたい。


 ……だがまあ、拾って貰った恩義もある。


 人としての、最低限だけでも返さねば……。


 泥棒に強盗、そう言った類に会わないよう見張りをする事にした。


 後は、昼休みに殺到する工場の従業員達をきちんと並ばせる。


 まったくどんな因果か知らないが、今まで知っていた世界とは全く違うこの風景。


 密かに少し楽しいと、感じ始めていた。


 

 店長は、言葉を話せない。


 多少の英語と身振り手振りで、何とか会話が成立する程度だ。


 良くは分からないが、どこか遠くからロンドンに放り込まれたらしい。


 そしてこの女、俺の事を何とも思っていないらしい。


 俺は、自慢ではないが外見だけは良い、と自負している。


 実際、女に困った事など無い……あっちから勝手に寄って来ては、トラブルの種になるだけだ。


 別に来る者は拒まない。元々付き合っていた男達からは恨まれるが、知った事か。


 その程度で振られる、自分の甲斐性が無い奴が悪いのだ。


 だから、店長が俺に対して普通に振舞うのが気に食わなかった。


 時々、人手不足になる店……商売のイロハも分からずに、周囲に振り回されている。


 ……どんな状態だよ、全く。


 何だか、無性に気になるのだ。


 この甘ちゃんが、どうやってこの先、生きていくのか。

 

 無理矢理、そこら辺の子供を手伝わせているが、そんな事で上手く行く筈が無い。


 現にカレーに入れるスパイスを擦り潰すのに、難儀して慌てている。


 ……全く、気に食わない。面白くない。


 気が付いたら、自分からスパイスを擦り潰す役を引き受けていた。


 どういう訳だか、何の気なしにやり始めたこの作業……店の手伝いが、段々と面白くなっていた。


 こんな非効率な仕事をするのは、癪なのだ。


 俺は、魔道具師である。


 こういう、原始的な単純作業を行う事が、最も嫌いな人種なのだ。


 ……こうなったら、とことんやってやる。


 あちこちから、要らない廃材や皿など持ち込んで工作を始める。


 手先は器用なのだ……随分と長い間、魔道具屋の修行をやっていた。


 魔道具屋に持ち込まれる相談事は。多種多様だ……何でも出来るよう、経験は詰んでいる。



 ノウハウ無しで試行錯誤して、問題を解決させるのは楽しい……もう既に、その機会を与えられる事は無いがな。


自分の責任として諦めるしかないが、正直言ってあの魔道具屋の親方には、腹を据えかねていた。


 自分で何かをするでもなく、給料は安い。


 おまけに、つまらない事で怒鳴りつける癖がある。


 正直、どれだけ殺してやろうかなどと考えたものだ……ただ殺すのでは勿体ない。


 アイツの持っている物全部奪って、意趣返しをしてやろうと、その機会を伺っていたのだ。


 店を留守にした隙に、親方の女房を誘った。


 ほいほいついて来る奴が、悪いのだ。


 そして、月末に溜まった店の売り上げと、わずかな貯金を全て持ち出してやった。


 奴の女房まで、面白がって手伝った。


 そんな女に興味はないので、そのままとんずらをかました。


 俺は、その金をブックメーカーで吹っ飛ばした。


 博打は好きだが、自分の金でやるから面白いのだ。


 こいつは、俺の意趣返し……。


 あの憎たらしい親方が、放心するのが面白そうと思ったから、やっただけだ。


 実際、顔を真っ赤にして俺にまくしたてる親方に、「お前の女房を寝取ってやった」と言った時の顔は、爆笑ものだった……ざまあみろ。


 まあ、くそ安い給料で雇われていた工房だ……何の未練も無い。


 親方が俺を動けない程殴りまくったが、こいつの末路を思えば安い物だ。


 そんな感じで人生のやりがいも目標も失い、やる事がない。


 飯も食えないまま、行き倒れるのも終わるのも悪くない……そう思っていた。


 だが、道具を作っていると心が満たされる。


 子供の頃から、色々な物をバラしては親に怒られていた……細かく組み合わさった物を、弄るのが大好きだった。


 魔道具師は俺の天職だ……どうやら、全てを放り出しても、それだけは捨てられなかったらしい。



 あっという間に、ハンドルを回せばスパイスが潰せる道具の完成だ。


 店長達が驚いている……この瞬間が、この顔が好きなのだ。


 ……そういえば、そこら辺を歩いているメイド達から、最近美味いカレー屋があって人気がある、という噂話が広がっているのを聞いていた。


 どうせなら、家で作らせればいいじゃないか、と思った。


 そこにあるだけのスパイスを、全部擦り潰す。


 店長が慌てて怒っているが、スパイスだけ売る話を何とか伝えた。


 そうと決まれば、売り物にするための準備だ。


 適当に金を預かり、安い容れ物になりそうな器を買って来た。


 密封する蓋を、適当に作ってやる。


 仕上げとしてメイド達に、スパイスを買えば家でカレーが造れる、という噂を流させた。


 ……準備は万端、仕上げは御覧じろって奴だ。


 思惑通り、メイド達が群れを成して、スパイスを購入していく。


 実際、想定していた三倍は買いに来た。


 翌日からはスパイス担当係として、大量のスパイスを製造する事になった……何か面白かった。


 自分が考えた通りに世間が動く……そして儲かる。


 何だか、今まで魔道具師としてやっていた事と、違うような……同じような、そんな面白さだ。


 ……いつしか、この変な女の元でずっと一緒に居たい、と思うようになった。



 ある時、そこそこの金が溜まったらしく翻訳機が欲しい、と店長が言った、らしい。


 あいも変わらず、酷いなまりのある英語混じりで、ボディーランゲージの会話をするのが普通になった。

 

 もう少し、この変人の考えている事を知りたいと思っていた所だ。


 丁度良いから、五十ポンドだけ持ち出して、なじみの問屋に行く。


 『魔導石』の取り扱いでは、ロンドンでもここが一番、という店だ。


「おい、おっさん。出来るだけ安い『中型魔導石』五十ポンドで譲れ。昔からのなじみだろう?」


「ジェームスか。話の成り行きは聞いているぞ。あのバカ、町中に女房を寝取られたと触れ回っていた……アイツにはみんな因縁があってな。馬鹿が自分の無能さを晒していたのを全員パブで笑っていたぜ」


「傑作だろ! 安月給でこき使いやがって、ざまあみろだ!」と、二人で大笑いした。


 ……その他諸々、今の経緯を説明した。


「最近なぁ、カレーの露店で働き始めたんだ。変な女が居て、言葉も喋れねえ。『通話の魔道具』を作ってやりたいんでな……祝いという事で頼む」


「そうだな、ホントなら百ポンドはするんだが、出世払いで売ってやる」


「サンキューな! その内、倍にして返してやるぜ……賭けても良いぞ」


「おめえ、金を持ってねえじゃねえか……全く、その変な女を狙ってるのか?」


 ……そういえば、考えた事も無かった。


 長く一緒に居るが、そんなそぶりも見せない。


 むしろ、女らしくない行動ばっかり取るんで呆れていた位だ。


「……そういうのじゃねえな。ただ、なんかしてやりたい。それだけだ」


「おめえがそう言うのは初めて聞いたぜ。何かの前触れか?」


「まあ、よく分からんが面白い、って事だけは確かさ……」


 そう言って『魔導石』を手に入れる……適当に必要な物まで付けてくれた。


 ……あのおっさんは、良い奴だ。


 そうして、店に戻って魔道具を組み立てる。


 あまり作る事は無いが、構造は単純なので直ぐに完成する。


 店長は、昼休みの客の対応で手一杯らしい。


 料理の手伝いは出来ないので、見ているだけだ。


 ふと、店長の横顔を眺めている。


 あいも変わらずお人好しで真面目で、人とのやり取りで不快にさせない。


 ……何となく人を寄せ付ける、そんな雰囲気がある。


 まあ、悪くはない……女とのトラブルで問題を起こすのもうんざりしていた所だ。


 この変人についていけば、何か面白い事があるに違いない。


 そんな予感というか、確信めいた事を思ったのだ。



 店長との会話は問題なく出来るようになったが、この変人の思考パターンが分からない。


 どうして、ガキが腹を空かせて、うろうろしているとムカつくのか。


 ……これが分からない。


 そして、金も貰わずに料理を振舞う……気が付いたら、店になる。


 何をやったらこんな思考になるのだ。どうにも変人である。


 何をするのか全く読めない……だが、それが良い。


 ……拾って貰ったのも、何かの『縁』だ。


 どうやら、長い付き合いになりそうだ、と思った。


 店は繁盛し、至る所でカレー屋が開店する。


 ……そいつらも俺と同じ事を思ったのか、この変人に恩義を感じているらしい。


 月の最後に、利益から1ポンド払う、という行動が始まった。


 見ていて飽きない……次は、どんな事が起こるのか。


 年末になると、諸々の行動の結果で、二千ポンドの現金が手元に残った。


 あんな商売のイロハを無視して、こんなに儲けるとは世の中馬鹿が多いらしい……もちろん、俺もその一人だ。


 『忘年会』という、よく分からない理由でパブで乾杯した……もちろん店長のおごりだ。


 この頃には、俺は店員として扱われており、毎月十ポンド程を給料として貰っていた……随分と多い。


 あの魔道具屋の親父は、三ポンドしか寄越さなかった……ケチで間抜けの守銭奴だった。


 思わぬ収入は、とりあえず使わずに置いてある。


 飯や寝る場所は、店長が用意している……宿は雑魚寝だが、気にしなければ問題ない。


 ともかく、このお人好しの女は、何を始めるのか……何を考えているのかは、未だに解っていない。


 『爆弾みてーな女』というのが、この頃の印象だ。


 とにかく何か始めると、周りが振り回されるのだ。


 ……その日もそうだった。



「アンタ魔道具師なのよね。あれって面白いし興味もあるけど、何で『魔導石』って一個しか使わないの?」


『はあ?』


「いくつか組み合わせたら、効果が上がったりしないの?」


 ……そんな発想は、無かった。


 しかし、今までの経験で『魔導石』同士を近づける時に、魔力の歪みが出る事を知っている。


 もしかしたら、大発見なのかもしれない。


「おい、そいつを詳しく聞かせろ。もしかしたら世界中がアッと驚く発明になるかもしれん!」


「何よ、私は専門家じゃないし、魔法も使えない。何となく『元居た世界』での磁石みたいな、そういう事があるのかな、って思っただけよ」


「何だよ、その『元居た世界』って……ここの生まれじゃないのか?」


 そんな事、知らなかった。


 確かに、この辺では珍しい黒髪に、黒い瞳。


 外人だろうとは思っていたが『他の世界』って何だよ……知らねーよ。


「まあ、色々あって『元の世界』を見つけたいんだけど、方法も分からないし。誰も知合いが居ないのよ」


「……俺達が居るだろ。もう知合いで良いぜ」


「そうね。それはちょっと嬉しいかも。それで、その『魔導石』の話はどうなの?」


「ああ、色々と実験したいな。俺は、今興奮で我慢出来ない。絶頂しそうだ。頼む、3日程試したい事がある」と言いながら、テーブルの上で色々と書き込む。


 ……まるで知っていたかのように、その理論が浮かんだ。


 周辺に魔導石を組み込み、方向を調整すれば、大きな出力が出るに違いない。


「アンタねぇ、そういう事はちゃんと実験室でやりなさいよ。その仕組みって凄い発明なんでしょ! 適当に書いて発明するなんて、天才の所業よ! 世の中の発明家に謝りなさい!」


 なぜ、怒られているかは分からないが、直ぐにでもヤリたい。


 もう我慢出来ない……一刻も早く実験したい!!


「も、もう我慢出来ん! 直ぐに、直ぐに部屋に行くぞ! ヤリまくりたくて我慢の限界だ!」


「何、目を泳がせながら危ない台詞を吐いているのよ! 周りの人が凄い目で見ているわよ!」


「関係ねぇ! 籠りきりでずっと楽しみたいんだ。頼む、何でもするから!」


「……だから、そう言う誤解を招く発言は止めて! 好きにしていいから」


 もう、周辺の視線が凄い事になっているが、俺の頭の中は『魔導石』の事しか考えられない。


 店長が支払いを終える前に、例の問屋にダッシュしていた。


「おっさん、『小型魔導石』を買えるだけ買いたい! 頼む、何でもするから欲しいんだ」


「凄ぇ勢いだな。まあ、付き合いも長いしツケで良いよ。ほれ、この位で良いか? 五十ポンド分ある」


「ありがてぇ……待ってろ、これが上手く行けば大金持ちだ! おっさんにも分け前をやるぜ!

「何か良く分からんが……お前さんが天才なのは、知っているしな。頑張れよ」


 俺はそれから、飯も睡眠も無しで実験を繰り返していた……面白い、すげえ楽しい!


 こんな事が出来るなんて最高だぜ! 店長は凄いな、こんな発想思いつかない。


「あー、それでジェームス。あれからどうなったの?」三日目の朝、呆れ顔の店長が質問してくる。


「見てくれ! 5つの魔導石を決まった位置と角度にすると、魔力の変換効率が中型並みに上がるんだ。世紀の大発見だぜ。これで世界が変わる! 店長のおかげだぜ!」


「……ちょっと待って、ジェームス。世界が変わるって言った?」


「おう、間違いない! クズ扱いされていた『小型魔導石』が物凄い価値になる! ロンドン市場がどうなるか、俺にも分からないぜ!」


「……待って、ジェームス。それを世間に出す前に確認しないといけないわ」


「は? どういう事だ……」


「前に言っていたでしょ『別の世界』から来たって……本部があるのよ、私達の組織の」


 何かの特殊機関に勤めてる、って事か?


 あの変人の店長が……その組織、大丈夫なのかよ。


「何だか失礼な事を考えているみたいだけど……付いて来てもらうわ。実験結果、全部持ってきなさい」


「……お、おう」


 なんだか良く分からないが、そろそろ新年になろうかという時期に、ストーンヘンジに向かう。


 この前、よく分からずにリュックを背負って、スパイスを買い付けに行った事があった。


 ……あれが『別の世界』だったのか。


 そんな事を言われても、俺には分からない。


 俺は、普通の一般市民で『多少、魔道具に詳しい』というだけの男だ。


「はい、ここから三日位は『別の世界』を通って本部まで行くから……言っておくけど、拒否権は無いわ」


 ああ、そうだった……俺は忘れていた。


 この変人の女は、何をするか分からない『爆弾女』だったのだ。


 そこからは流されるままだ。


 何でも、危険な技術だという事で『特許』を取る事。


 それを売る相手は、出来るだけ選ぶ事。


 それから、ちゃんとした店を構えて、『特許』の利益を店の売り上げにするとか……。


 ……よく分からないまま、今に至る。


 まあ、色々と話し合いをした結果、フランスをボコボコにした。


 後は、凄い魔道具を取り扱ったりと、とにかく飽きる事だけは無いな。


 既に、あの店長とは『腐れ縁』とか『いい加減付き合えよ』と、周りから言われるようになった。


 そんな人間関係を、俺が築けるとは思わなかった。


 ……とにかく変人で、何をするのか分からなくて、とにかく一緒に居て楽しい女。


 今のところ、俺と店長の関係はその程度だ。


 何だか、時々警戒されたり変な挙動をするが、それは、出会った時とそもそも変わっていない気もする。


 ……離れていると、どんな危険に身を任せているか分からない『冒険狂』『ロンドンの女帝』『守銭奴』。


 ……チェスの格言にある。


 クイーンは動かせ過ぎない事。


 さしずめ、俺は『ナイト』か『ビショップ』か。


 あのクイーンを放っておくと、何処までも敵陣に飛び込んでいく。


 俺はブレーキ役に徹するのが適役だろう……間違っても、チェックメイトなどさせるものか。


 俺は、思いがけず変わった人物達と一風変わった行動、そして賑やかで騒がしく面白い毎日を送る事になった。


 『出来るならば、こんな平和な毎日が続きますように……』と俺は、神に祈るしかなかった。

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