passing by
通りすぎてく景色がひとつ
見たことのある見慣れぬ景色
大通り沿いの小さなお店
帰り道によく立ち寄った場所
たった一杯の珈琲で
何時間も話し込んだり
記念の仕掛けをお願いしたり
店員さんとも顔馴染みになり
寄らない日でも声だけかけてた
窓から見下ろす景色の中では
いつもと何かが違って見えて
けれど本当に変わってしまったのは
景色ではなくて私の世界
私の目に映る私の世界
流れ去ってゆく景色がひとつ
知っているはずの知らない景色
川沿いにある小さなベンチ
夕日が星へと変わっていく場所
雨上がりの日は虹を見上げて
月の無い夜は星空見上げて
初めて想いを言葉にしたのも
初めて温もり求めたときも
初めて涙を流したときも
この小さなベンチに座ってだった
窓から見下ろす景色の中では
いつもと何かが違って見えて
けれど本当に変わってしまったのは
景色ではなくて私の世界
この胸の内の壊れた世界
流れる景色に全てがあって
流れる涙と共に置いて
通りすぎてく景色がひとつ
思い出と共に忘れた景色
褪せて
薄れてくのに
決して消えはしないもの