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いずれ訪れる桃色の直前を

 どうしてこうなったのだろうと、今の自分を俯瞰すればそう思わずにはいられない。

 見慣れた幼馴染の部屋。そこにあるベッドに手足を縛られ、服をすら着ることを許されていない俺。

 つまりは全裸。仮にも異性の部屋だというのに、俺は素っ裸で繋がれているというわけだ。


「うーんお待たせ。準備出来たよ」

「……解放の?」

「まっさかー。痺れを切らした獣の食前っところかな?」


 一応の提案をにべもなく断りながら、ゆらりゆらりと近づく二人の美少女。

 左には茶髪の幼馴染。そしてその隣にいるのは、にやけた面を貼り付ける桃色髪の友人だ。

 

 二人とも学生ながらもに超一級。どちらも美少女の中でも突出した、言うなれば超美少女。

 例え世界が異なろうとも、凡人たる俺が巡り会えたこと自体が奇跡な美貌。だから、そんな二人に、こうしてベッドに捕獲される理由も目的も想像出来ない。


 ……嘘です。理由や心情はともかく、何されるかは何となく想像が付きます。

 だってこいつらも下着姿なんだもん。

 こちとら人より長く生きてるんだし、知識だけで何となくそら察せられるって。


「ま、一応謝っとく。約束を守ろうと頑張ったけど、流石にもう我慢できなかったわ」

「……が、我慢とは? 」

「えー言わせちゃうの? いやー憎いねモテ男ー!」


 幼馴染の言葉に疑問を持てば、桃色髪の美少女がベッドの横にしゃがみ、耳元で声を弾ませながら囁いてくる。

 甘く、柔らかく、こそばゆく。

 理性と思考を蕩かす魔性の声と目の前の刺激的な光景が、冷静な考えを許してくれない。


「まあでもしょうがないよ。なにせこんな美少女二人を捕まえたんだ! 据え膳食わねばなんとやら、観念して食べちゃおうよ♡」


 そうは言われても繋がれてるわけだし、むしろ食べれそうなのはこっちなんですが。

 

「せ、責任が……。学生結婚はその……」

「つまんないこと言わないで。お母さん達今日は帰ってこないから、いい加減覚悟決めなさいな」


 自分と彼女らの将来のため、誘惑に抗いながら必死に説得しようと無意味。

 二人の声色は段々と艶めかしく、飢えた獣のような視線に変化させながら、じわりじわりと近づいてくる。

 

「好きよ、せー。いつまでも」

「好きだよ。ダーリン♡」


 二人は左右の耳から脳と理性を壊す決定打を放ち、ベッドを弾ませながら欲のままに動き出す。

 最早抵抗は不可能。今の俺はまな板の上の鯉でしかなく、二人の料理人に調理されるだけだ。

 

 改めて言おう。一体どうしてこうなってしまったのか。

 分岐点は恐らく一年のあの日。一つの秘密を暴いてしまった運命の夕暮れが全てを決定づけたのだろう。

 嗚呼、俺はただこの二度目の生を平穏に、分相応に楽しく生きていければそれで良かったというのに。

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