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6 茨で縛られた扉
満月の夜、夢を見た。
魔力を使い過ぎで疲弊した身体を誰かが潤いを与えてくれ、無機質な薄暗い空間にひとりぼっちで眠っていた私は目を覚ます。ゆっくりと。
何もない空間にたった一つの白い扉があった。
起き上がって扉の目の前に立つ。
幾つもの色を持たない黒や灰色の茨で扉は縛られていて、出入りすることを禁じられているようだった。
ああ、こんなに魔力を使ったのは初めてだわ………。
心の中でそう呟くと、音も無く一本の茨が解かれ、僅かに扉に隙間が開かれた。
隙間からは小さな赤い光が点々と飛び入ってきた。
無音の空間に扉の向こうの音が微かに聞こえてきそうだった。
この扉は…………………。
私は知っている。
だって、私の中の扉なのだから…………。
リリーナの瞳の濁ったピンクが煌めいていた、扉に共鳴するかのように。




