最終話 開国された未来
過去の全ての村正と、全ての自分自身を使い果たした千子夜光は徳川家康を倒すという目的を果たして倒れた。日本を閉ざす為に覆っていた霊気の幕であるイエヤスアークが消滅し、大霊幕が解除された以上日本は鎖国をしている事は出来ない。
今、この瞬間より日本は「開国」したのである。
しかし、それを村正一族は見る事は出来ない。
大霊幕が解除された事により、徳川幕府は外国からの貿易取引協定や侵略などの外圧にさらされる事になった。同時に、弱腰の体制を露見して内乱も各地で勃発して救国の意思を持つ志士達が現れた。三河国は志士達に操られる京都朝廷ともぶつかり合う事になり、日本は大混乱の変革期を迎えていた。
豊臣秀頼に利用されつつも生きていた槍切平七は日本侵略は志士達が勝手に防波堤になる事を計算しつつ、幕府外交として貿易取引を進めた。
一歩浮絵ことホーキは三河国武成王として志士達の内乱を鎮圧する存在として名を高めていた。
そうして、日本は維新回転の渦の中に飛び込んでいく事になる。それを、白髭を生やした狸が歴史の立会人として三河国の森の中で観察していた。
「日本の未来は尾張の煌びやかな世界になるのか。やはり、三河の質素な世界が続くのか。観察させてもらおうではないか。次なるニャクイ時代とやらを」
「……ここは? それに何で狸が話している?」
「狸ではないイエティと呼べ」
その白髭狸の姿の徳川家康はイエティと名乗った。死から目覚めた夜光は何故自分がいきているのかを聞いた。
「イエヤスアークの残り香で俺の心臓を動かしたのか。余計な事をしてくれる」
「運が良かったから動いた。そもそもアークでは人の心臓は動かんからのぅ。村正一族の怨念が開国された未来を見たいと思ったのじゃろう」
「そういう事にしておくか。妖刀村正は壊れたのか?」
「妖刀村正は東照宮の聖櫃にあり日本国の柱として使っている。村正によって日本は開国されたのじゃ」
「そうか。開国したか」
夜光は立ち上がる。そして、天の太陽を眺めた。
「なら、この開国した日本の未来を確かめに行こう。千子夜光として、丸腰の俺が歴史の立会人になってやるさ」
それはワシの言葉というのを聞かないふりをして夜光は駆け出した。家康はイエティとして狸となり、今後の日本を夜光と共に巡る。
開国した日本の未来を見届ける為に――。




