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月夜譚 【No.1~No.100】

境界 【月夜譚No.19】

作者: 夏月七葉

 神社の清浄な空気を吸い込むと、煤けた心が洗われるような感じがする。だからなのだろう。何かがあるとここに来たくなるのは。

 少女はうんと背伸びをして、真っ直ぐに伸びる参道を進んだ。石畳の道の両脇には玉砂利が敷き詰められ、更にその向こう側に鎮守の杜が茂っている。静かな境内に響くのは、風の音と鳥の鳴き声。神と人との境界にある神社は、ともすれば自然と人との境界にもなり得る。

 手水舎で身を清め、学生鞄から出した五円玉を賽銭箱に投げ入れる。二礼の後に柏手を二度打つと、思いの外清涼な響きが境内を渡った。暫く目を瞑ってから視線を上げ、一礼。

「……よし」

 一つ頷いて、制服のスカートを翻す。

 これで、明日友人に謝る勇気が湧いてきた。沈んだ気持ちも、ささくれ立った言葉も、まだ胸の中にある。けれど、明日が来ればそれも良い思い出になるだろう。

 鳥居の向こうに沈んでいく夕陽を眺めながら、少女はそっと微笑んだ。


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― 新着の感想 ―
[一言]  良いですね。神頼みでなく、勇気を得るために拝む……。参拝者のあるべき姿です。
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