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stain.  作者: monaka


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14/22

◆タバコと少女と若気の至り。

 

 水江さんを見送った後、僕も事務所を出て現場へと向かった。

 タクシーで移動しながら中島へと電話をかけるが、繋がらない。

 あの野郎肝心な時にいったい何をやっているんだ。


 仕方なくそのまま現場へ向かうが、中島抜きでは殺害現場を見る事は難しいかもしれない。


 その場合は今日の所は諦めて後日中島から詳しい情報を根掘り葉掘り聞き出すしかないかもしれない。

 現場は鮮度が大事なので出来れば早い段階で自分で確認しておきたかったのだが。


 期待は持たないようにして現場前まで到着し、運転手に礼を言って外に出ると、案の定刑事達が吉田邸を封鎖していた。


 うーん。やっぱりこりゃダメそうだな。

 諦めて違う所をあたるか…。


「おやおや。誰かと思えば…もう警察を辞めた人間がこんな所で何をやってるのかね?」


 うっわ。


「そちらこそ。本部長様が直々に現場に来るなんてどういう風の吹き回しだい?」


「お前に本部長様なんて言われると気持ち悪いな…。なに、たまには現場に来ておかないと勘が鈍るし現場の人間の気持ちも理解できるようにならんといけないからな」


 相変わらず真面目な野郎だ。


 この男は坂本良助さかもとりょうすけ。僕の警察時代の同期だ。

 僕と違って非常に真面目で、人望も厚くどんどん出世していった。


 以前はよくコンビを組んでいて二人で事件の捜査にあたる事も多かった。

 当時苦労して突き止めた事件の犯人が居たのだが、警察のお偉いさんの息子だったという理由で上層部からもみ消された。


 僕は警察に失望し、彼はのし上がって内部から変えようとした。

 僕は彼を馬鹿だと罵り、彼は僕を臆病者だと蔑んだ。


 それからというもの僕達は犬猿の仲というやつなのだ。


「そりゃあご苦労なこった。せいぜい地道な捜査ってやつを頑張ってくれたまえよ」


「言うじゃないか。なら久しぶりにお前の閃きってやつを見せてもらおうか」


「…へぇ。現場を見せてくれるっていうのか?」


「大口叩いたんだ。お前ならすぐに解決できるんだろう?」


「勿論さ」



 嘘だ。

 そんなの現場を見てみないと解らないが、これは僕達が一緒に捜査していた頃のやり取りの再現。


 どういうつもりかは解らないが、どうやら僕を試そうとしているようだ。


「もう大体の鑑識作業は済んでるんだろうな?」


「当然。そうでなければ部外者であるお前を入れられる筈がないだろう」


「警察辞めたって証拠品をダメにするような真似はしないさ」


「そう願いたいね。よし、じゃあお手並み拝見と行こうじゃないか」


 坂本が現場に残っていた警察官達に向かって「この女に自由に現場を見せてやれ」と命令を出す。


 そんな命令を出すからには自分は外で待っているか、早々に署に帰るのかと思いきや普通に僕の後ろをついてくる。

 お前が一緒に来るなら誰も文句言わないだろうよ。さっきの命令はなんの意味があったんだ?

 一応そういう筋を通そうっていう無駄な真面目さなんだろうか?

 相変わらずそういうお堅い部分は好きになれない。


「解らない事や知りたい事があれば聞いてくれ」


 そう言いながら現場を一通り見回している僕の後ろを坂本がついてくるのであちこち確認をしながら被害者の状況を坂本に確認する。


 被害者は左側頭部をガラス製の何かで殴打された事が死亡原因とされていて、被害者が倒れていた近くから微量のガラス片が発見されている。そして多量ではないもののそれなりの出血があった。




 それで既に解った事がいくつかある。



 まず今回の事件は今までの事件とはまったく関係がないだろうという事。


 だってこの事件は左利きで、犠牲者の吉田より身長が低く、力もおそらくそんなに無い、おそらく女性であり、尚且つ吉田とある一定以上に仲のいい相手が犯人だ。


 今までの事件と同一犯ならば恐らくあの雨合羽男が犯人なわけで、それなら少なからず性別や背格好から符号しない。

 万が一偽紅茶が今回の犯人だというのであれば別だが、それはすぐに解る事だ。


「ちなみに現時点での容疑者は?」


「一応今別室に居るよ。その中に居るとは限らないがね」


 おいおい。なんで事件の現場に容疑者が居るんだよクローズドサークルじゃあるまいし。


 僕の疑問を察したのか、坂本が説明してくれた。


「実は第一発見者は被害者の弟でね、その彼女さんもこの家に来ていたんだ。二人はずっと自室に篭って居たから兄が帰ってきていた事も知らなかったと言ってる。もともと被害者の吉田君は交友関係が深くて日頃から人の出入りが多かったらしので、いちいち干渉しないようにしていたのだそうだ。それに関しては実際吉田君の友人達からも証言を得ている」


「弟…?そんな話中島は言ってなかったぞあの馬鹿野郎め」


 ついそんな事を口走ってしまったが、一度吐き出した言葉は引っ込められない。


「なに…?随分嗅ぎつけるのが早いと思ったらお前中島をパシらせてたのか?」


 あーあ。

 こりゃクビだわ。機密情報の漏洩。

 ご愁傷さま。

 すまん!


「しかしおかしいな。あいつお前を連続殺人事件に関わらせるの反対してたのに」


 …なんだ?


「中島が?僕を…?こき使われるのが嫌だったって事か?」


 それは有り得る。

 もともと都合のいい道具としか思っていないのは奴にも伝わっていたという事か。


「まぁいい。お前に知られて困るような情報じゃないからな。今くらいで済んでるうちは中島をクビにしたりしないから安心しろ」


 驚いた。

 昔より結構融通が利くようになっている。

 少なくとも僕が知っている坂本なら間違いなく中島なんて即刻クビにしていただろう。

 それどころか逮捕も有り得る。


 上に行くためには真面目さだけではダメだという事に気付いたのかもしれない。


「とりあえずその別室の弟とその彼女に会わせてくれよ」


「ああ。一応言っておくが二人とも明確なアリバイも無いが被害者を殺害する動機や証拠も何もないからな」


「そんな事は解ってるよ。会って話がしたいだけさ」


 坂本に案内されて別室のドアを開けると、妙にきつい芳香剤の香りが鼻をつく。

 部屋の中央にあるテーブルの、こちらから見て右側の方に並んであからさまに落ち込んだ様子の二人が座っている。

 部屋に入ると二人は不審そうにこちらに目を向けた。


「…刑事さん、その人は…?見た感じ警察官っぽくないけど…」


「この女は…あれだ。探偵ってやつだよ。君達から話が聞きたいってさ」


「探偵だって?探偵って本当は迷子のネコ探しとか浮気調査とかしてるんだろ?事件の捜査なんて小説じゃあるまいし」


 さっきから喋っているのは弟の方。

 その彼女は一度こちらを見てからまたずっと俯いている。


「君は…確か吉田弟だったな」


「…俺の名前は吉田か…」


「興味ないから黙っててくれるかな。時間を無駄にしたくない」


「…っ!?刑事さん、この人早く追い出してくれよ!!こんな奴に話す事なんて…」


「だからお前には興味ないから黙れって言ってるだろ?まだ何かごちゃごちゃ抜かすなら今ここで君が犯人って事にしてやってもいいんだぞ?」


「ばっ、そんなのただの冤罪じゃないか!刑事さんなんとか言ってくれよ!」


 坂本は苦笑いしながら黙っている。

 こういう時何を言っても無駄だと理解しているのだ。


「僕がその気になれば君が犯人だという事にして、その証拠を用意する事だって可能なんだ。だから何もしていないというのであれば黙っていろ。どちらにしても僕は事実だけを暴くしそれはそちらの女の話を聞けばすぐに解る事だよ」


 勿論でたらめだしただの脅しだ。

 無理矢理こいつを犯人に仕立て上げる事は出来るだろうしそれらしい証拠を用意する事も不可能ではないだろう。

 ただ、坂本が見ている前でそれをしても意味がないし、何より僕がそんな事実と異なる真実を作り上げる事は絶対にない。

 …多分。


 脅しが多少効果を発揮したのか男は黙った。

 その瞳に僕に対しての殺意が芽生えたのを感じるがそんな事はどうだっていい。


「さて、そこで俯いているお嬢さん。いくつか質問をしてもいいかな?」


 少女はびくっと身体を震わせて恐る恐るこちらをもう一度見る。


「君身長は?勿論調べれば解る事だから嘘はつかないように」


「…百三十八」


 ふむ。小さいな。


「利き手はどちらかな?」


「左手、です。でもそれが何か意味のある事なんですか?」


 大有りだとも。


「関係の無い質問はしないさ。それで君はこの家に来てから風呂は入っているかな?」


 少女は恥ずかしそうに自分の襟元の臭いを何度か嗅ぎながら、「いえ、入ってないですけど…」と言った。

 体臭を指摘されたとでも勘違いしたのだろうか?なかなか乙女らしい反応で可愛いじゃないか。


「そうか。なら坂本、おそらくこの事件は解決だ」


 坂本が頭をポリポリ掻きながら、「いやいや」と呟く。


「さすがにそりゃないだろうよ。今の証言でいったい何が解ったっていうんだ」


「いちいち説明しないと解らないのか?相変わらず頭の回転が悪いな。頭が固いと回転も鈍くなるのか?」


「…お前なぁ…。まぁいい、事件が解決だっていうなら説明してみろよ。頭の回転が悪い俺にも解るようにな」


「そこまで言うのなら仕方がない。簡単に説明してやろう。まず被害者は左側頭部にガラス製の鈍器でやられている訳だが、砕けている骨の状況を確認すればどちら向きからどの角度でやられたのかが解るだろう?恐らく左斜め上から右下に向かって振り下ろされている筈だ。違うか?」


 坂本は「…確かにその通りだが、そこまで教えた覚えは無いぞ」と訝しむ。


「僕は最初からある程度の犯人像を想定していたのでね、その犯人像が正しければそうだろうというだけの話だよ。それでだ、ここでおかしな事が解る。左上から振り下ろされているのにも関わらず被害者は頭の上部ではなく側頭部にくらっている。こういう場合加害者が座っていたか、被害者よりもかなり身長が低いかだ」


「…うむ。確かに…。そこまでは納得したしお前の言いたい事が大体解ってきた。だがそれを確定できるところまで話が進むのか?」


「勿論だとも。勿論殺害動機なんてどうでもいいし解らないが、僕の考えが正しければそこに座っている少女が吉田俊夫を殺した犯人だよ。そして弟は女を庇う為に嘘をついている」


「勝手な事を言うな!!何を証拠に…」


「うるさい。黙ってろって言っただろう?」


 雲行きが怪しくなってきてギャーギャー騒ぎ出す弟と、それと反比例するように青ざめて俯く少女。解りやすくてとても良い。


「お前がいくら庇おうとしても物的証拠が出てきたらどうしようもないだろう?それにだ、お前も裏切られていたかもしれないんだぞ?たとえば、そこの少女は明らかに未成年だが喫煙者だな?臭いを消すためか知らないが芳香剤を撒きまくりやがってこっちは鼻が痛くて仕方が無いよ」


「…こいつがタバコを吸ってたからってなんだって言うんだよ…まさか未成年がタバコ吸ってるからそれで逮捕するって言うのか?」


 おめでたい奴だなぁ。


「その少女がタバコ吸っていようとそんな事はどうだっていいんだよ。そんな事よりお前はタバコを吸う習慣の無い兄の部屋に何故灰皿が置いてあったのか疑問に思わなかったのか?」


「ど、どういう事だよ。灰皿があったからって…え、ちょっと待て。おい、由美子…違うよな?」


 この少女は由美子というらしい。

 当の由美子とやらは彼氏が何を疑いだしたか気付いたらしく、目を泳がせながら「な、何の事…?」とか細い声を振り絞る。


「ちなみにだ、吉田俊夫の友人達から聞く限り君の兄は喫煙経験はあるものの現在は吸っていないとの事だった。それでも家で吸っているという可能性はあったのだが、彼の部屋の壁や天井にヤニの痕跡は残っていなかった。その時点で日常的に吸っていたという可能性は低い。では何故灰皿があったのか。たまに訪れる来客用だろう。友人達がここに遊びに来る事は多かったようだが、来たとしても俊夫の部屋で喫煙をした事は無いらしい。勿論それが完全な真実の証言とは限らないがね。ただ、それなりの頻度でこの家に泊まりにきたり出入りがあってもおかしくない立場の人間が一人いるな?。そして、君が今心配しているようにその来客がそこの少女だとしたら…。来訪理由はなんだろうな?」

「もうやめてっ!!」


 ただ恋愛相談や友達としての雑談をしにきていただけかもしれない。

 かもしれない、のだが。


 今となっては吉田弟の頭の中は違う可能性でいっぱいになっている事だろう。


 そしてどうやら由美子という少女の反応を見る限り弟の心配は的中していたらしい。



「おい、お前…本当に兄貴と…?」


「ち、違うの…私、脅されて…」


 お?

 少し話が面白くなってきたぞ。


「脅されたって、何でだよ!結局、俺に内緒で二人で…っ。くそ、そういう事なんだろう!?」


「だから違うの…私、私…泊まりに来た時に一俊かずとしのお兄さんにお風呂入ってる所盗撮されて…それで…」


 あ、吉田弟の名前は一俊らしい。

 どうでもいいけど。


 要するに吉田俊夫は弟の彼女の痴態を盗撮してそれをバラ撒かれたくなければとか定番の馬鹿をやって無理矢理関係を持っていたわけだ。


 紅茶に対する消化できない欲望をそっちで満たしていた。

 とことん想像以上のクズである。


「お前、だからって…なんで俺に相談しなかったんだよ」


「そんな事言ったら一俊に嫌われちゃう…だから私、わたし…」


 あぁ。とうとう由美子が泣き出したぞ。

 坂本も頭をポリポリやりながらなんとも言えない表情を浮かべていた。


「なぁ、もういいだろう?吉田俊夫殺害について認めろ。今なら自首って事にしてやらなくもないぞ」


「おいおい、それはお前が決めていい事じゃないだろうが。…でも、確かに今自首するならそういう事にしてもいい。由美子さん、どうなんだ?」


 僕の発言に坂本が続く。

 やっぱり当時より余程融通が利くようになっている。

 時間は人を変えるっていうのは本当なのかもしれないな。


「いや、それにしたって今解ったのは由美子が兄貴に脅されてたって事だけだろうが!なんで殺人犯にされなきゃなんないんだよ!」


 この状況でまだ庇えるならその愛は本物かもしれない。

 だがこれも探偵のやらなきゃならない事なんだよ。許せ。


「残念ながら犯人はその子だよ。身長、利き手、そして動機、条件が揃いすぎている。ついでに言うのなら回収された灰皿の破片があまりに少なかった事から、隠蔽しようとして見逃した欠片というよりはもともと少ししか欠けなかったのだろう。その時点で犯人は腕力がそこまである人物では無いと推察した。人を殺そうという力で殴っているのに、というところがポイントだな」


「それは、結局ただの推理だろ!?証拠じゃないじゃないか!!」


「そもそもな、僕は凶器がガラス製の鈍器という事しか知らないしそれが灰皿とも確認してないんだ。だが、おそらくそうであろうという推察の元そう言った。そして君はあの部屋に灰皿があった事を既に認めてしまった訳だな」


「あっ…」


 あっ、じゃないだろあっ、じゃ…。

 そこはすぐさま、俺は兄貴の部屋に行く事あったから灰皿あるの知ってたしお前が灰皿があったって言うからまだ有ると思ってた。凶器がそれだったなんて知らない!とか言い返す場面だよ。


「もう否定はできないな。凶器が灰皿だと認識した上で灰皿の存在を認めてしまった訳だ。確かに君にとっては彼女が浮気していたんじゃないかと思った訳で混乱していたから誘導されても仕方ないんだけどな。…それで、その灰皿はどこへやった?そう遠くへ処分する時間は無かっただろうからこの家や家の周辺をくまなく探せば出てくる可能性はあるな」


「…凶器を灰皿に限定して捜索を急げ。家の中を中心にここから半径百メートル圏内のゴミ箱、ゴミ捨て場等もくまなく調べろ」


 坂本がテキパキと部下に指示を飛ばす。


「そ、そうさ。灰皿は俺が隠した。だって、兄貴は俺が殺したんだからな!」


 …へぇ。

 僕は正直この弟を、いや、一俊少年を少し見直していた。


 そこまで出来れば大したものだ。

 褒められた事ではないのだが、自分を犠牲に出来る程に愛しているというのなら僕は素直に尊敬する。


「君の愛情の深さに免じて君に対する今までの非礼を詫びよう。済まなかった。…だけど、ごめんな。彼女が犯人だという証拠は多分出てしまうよ」


「そんな、事ない。兄貴は…俺が…」


 半泣き状態の一俊を、号泣しながら見つめる由美子。


 なんだかしめっぽい現場になっちゃったなぁ。


「坂本。この少女の掌から肘くらいまでルミノールで調べろ。被害者の状況考えたら微量でも返り血はあっただろうし風呂に入っていないのならおそらくまだ反応が出る。水で流したくらいでは…消えないだろう」


「解った。あとはこっちでやっておく。面倒をかけたな」


「…一俊、もう…いいよ」

「よくねぇよ!由美子は関係無い!!」

「探偵さんの言うとおり私が殺しました。悪い事なのは解ってます。私はどうなってもいいから…一俊は関係ないんです。私が無理を言って口裏をあわせてもらっただけなんです。だから…」


 この少女も、本当に一俊を愛していたのだろう。

 仮にこれが若気の至りってやつで、一過性の気の迷いから来る物だったとしても、今この瞬間の自己犠牲の精神に嘘は無い。


「な、なんでそんな事言うんだよ。捕まえるなら俺も…」


「だめ。一俊はいい人見つけて幸せにならなきゃ」


「ふざけんなよ!!俺、待ってるから。もし帰ってくるのに何年かかったとしても、待ってるから!!」


「坂本。僕は今この少女が自首したように見えたが違うか?」


「ふっ。ああ、そうだな。確かに自首してきた気がするな」


「…ありがとう、ございます…」


 僕と坂本のやり取りを聞いて由美子が涙を流しながら深々と頭を下げた。


 殺害動機と、自首によってある程度罪は軽減されるだろう。


 ついでに言えば今回の事件の発端は兄の俊夫にある訳だし、彼女には辛い事だろうが俊夫の部屋から盗撮したデータなどの物的証拠が出てくればさらなる情状酌量で執行猶予がつく可能性だってある。


 その辺は断言できないから迂闊に気を持たせるような発言はしないが、前途有る若者達の未来に幸多き事を祈ろう。



 この事件、たとえば偶然弟が利き手じゃない左手で殺したという事にも出来た。

 だけど、真実ってやつは一つしかないんだよ。

 探偵は真実を暴く仕事だ。

 だからどんなに嫌な結果に、悲しい結果になろうとそれは仕方の無い事なのだ。


 もし、万が一だが

 一連の殺人事件の犯人が紅茶だったとしても同じ事である。


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