表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
stain.  作者: monaka


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/22

◆巨乳と覗きと殺害計画。

 

 さて困った事になった。

 とりあえず適当に成り行き任せでやってしまった事だ。こればかりはどうしようもない。


 まぁやってしまった事をあれこれ考えても仕方ないので今度から気をつけるようにしよう。


 そんな事よりもだ。

 探偵がウザい。

 段々看過できなくなってきている。


 入院したと聞いた時には大喜びしたものだがほんの一日だけで出てきてしまった。

 もう少し…そう、一ヶ月。

 いや、一週間でいいから入院していてくれたらその頃には全てが終わっていたかもしれないのに。


 あの探偵は事件と関係無い事にまで首を突っ込み始めた。

 ただでさえ事件の事で紅茶が神経質になっているというのにあいつのせいで余計な事を思い出してしまったらどうするんだ。


 俺の優先順位第一位は紅茶の安全と平和だ。

 それ以外の事はどうだっていい。

 それについては一切変っていないのだが、あの緑茶女もいい加減どうにかしたい。

 紅茶に近付きすぎだ。


 別に直接的な距離感の事を言っているんじゃない。

 精神的な方面で紅茶に近付きすぎている。


 このままでは紅茶にとって緑茶女が本当にかけがえの無い存在になってしまう。


 …それに関しては少し手遅れな気がしないでもないが、早めに手を打たないといけないかもしれない。


 紅茶が誰かに依存すれば依存するほど、あの頃の事を思い出す可能性が増す。。


 そうなってしまえば緑茶女も十分な危険分子だ。


 紅茶は緑茶女を失う事を恐れている。

 緑茶女は紅茶を支えようと今まで以上に近くにいるだろう。

 そしてあの探偵はあちこち嗅ぎまわって、少しずつだが俺に近づきつつある。


 俺のやろうとしている事を気付かれてはいけない。

 俺が見つかるわけにはいかないんだ。


 紅茶を守るのは、

 紅茶を取り巻く全てから守るのは、

 俺の仕事なのだから。


 その為にはあの探偵を排除する事も視野に入れて動かないといけない。


 だが、迂闊に動くとあの探偵に気付かれてしまう。

 警戒されてしまう。


 今よりもずっと動きにくくなる。

 そうなってしまったら終りだ。


 あの酒葡とかいう探偵は適当そうな感じでいていろいろな事を良く見ていやがる。

 第三者の視点で眺めているとそれが良く解る。


 少しでも疑いを持たれてしまったら俺の元に辿り着くのはすぐだろう。


 …本当にそうか?

 いくらなんでも俺に辿り着く事ができるだろうか?


 有り得ない。


 そう思う。


 思うのだが…あの探偵からは嫌な感じがする。

 もう少し慎重に動くべきだろう。


 しばらくは様子見に徹するべきか…?

 しかしその間に何か取り返しのつかない事になってしまったらどうする?


 いや、動きにくくなっているのはあちらも同じの筈だ。


 だったら焦る必要は無い。


 俺は、しばらく潜伏して成り行きを見守ろう。


 緑茶女と探偵が紅茶の家に来た時、その様子を観察しながらそんな事を考えていた。


 のだが、


 俺は一気にパニックに陥る事になってしまった。



「君のご学友がまた一人、殺されたよ」


 …は?


 知らない。



 それは知らないぞ?

 俺はやってない。


 そんな馬鹿な事があるか。

 俺の知らない所で次の事件が起きるなんて馬鹿げた事が…。


 可能性はなんだ?

 考えろ。


 今までの事件と関連付けて捜査を混乱させようとした全く関係の無い事件。

 或いは、関係付けようとすらしていない全く別の事件。


 ただし、完全に関係無い事件だったとしたらそんな偶然があるか?


 これだけ紅茶の周りで事件が起きている時期にクラスメイトが偶然死ぬ?

 事故ならあるかもしれないが、あの探偵は殺されたと言った。

 偶然にしては出来すぎている。


 もし俺がやるなら徹底して今までと同じようにやる。

 目的が一貫している以上今回の殺人は意味が無い。


 誰が何のために紅茶のクラスメイトを殺す…?


 いや、誰がやったかなんてどうでもいい。

 紅茶がこれ以上不安定になってしまう事が問題だ。


 しかし、逆に考えろ。

 これは好機かもしれない。


 探偵の目がそちらの事件に向いてしまえばいろいろと動きやすいかもしれない。

 俺と関係の無いところを調べて時間を無駄にすればいい。


 その間に俺は自分のやるべき事をやるだけだ。



 そうと決まればもう一件の事件については探偵に任せておいていいだろう。

 そちらが無駄に長引いてくれればそれだけ俺の自由が増える。


 よし。

 余計な事は考えるな。

 俺は俺の目的だけ果たすためだけに動けばいい。

 紅茶を常に監視して、彼女に近付く不穏分子を一つずつ排除すればいい。


 もう二度と、あんな事にならないように。

 紅茶には俺が居ればいい。

 俺には紅茶が居ればいい。


 紅茶は俺色に染まればいい。

 俺は紅茶色に染まろう。


 そこに混ざろうとする余計な色は消してしまわなければ。




 探偵はそれからしばらく紅茶の質問に答えていたが、その事件を詳しく調べに行くと言って退出した。


 そして緑茶女はそのまま紅茶の家に泊まり込み、朝までベラベラとどうでもいい話をし続ける。


 俺は一応それらの内容も全て聞いておく。

 …が、どうにも有益な情報があるようには思えなかった。



 これは一応言っておくが、見たくて見たわけじゃない。

 見たくて見たわけじゃないぞ。

 勿論紅茶のは見たくて見ている訳だが緑茶女のはそうじゃないからな。


 事もあろうに紅茶と一緒に風呂に入ったりするから俺に見られる事になるんだ。

 運が悪かったな諦めろ。


 別に裸を見たところで何かを催したりはしないのだが無駄に罪悪感を感じてしまうあたり俺もまだまだなのだろう。


 しかし…確かにでかい。

 いや、何がとか別にそんな事はどうでもいいんだが、うん。でかい。


 紅茶も自分との差を気にする筈である。




 翌朝、何故か二人とも制服に着替える事はなかった。


 何故だろうと疑問に思ったが、会話の内容を聞く限りどうやら学校の創立記念日なのだそうだ。


 と言う事は今日一日緑茶女が紅茶にまとわりつくと言う事だろうか?

 それは正直面倒だな、なんて考えていると紅茶は私服に着替えて、緑茶女を家まで送ると言った。


 俺の心配は無用だったと安心したのもつかの間、家に向かう道中緑茶女の携帯に探偵から電話が入る。


 会話の内容までは聞き取れなかったが、何か進展でもあったのだろうか?


 その時俺はもう少し警戒しておくべきだったのかもしれない。


 緑茶女は家に着くなり、着替えてくるから待っててくれと言い残して家に入る。

 五分程度で飛び出してきた緑茶女は、紅茶に向かって「今日暇ならこのまま少し出かけよう」と言って無理矢理紅茶を連れ回す事になった。


 良く考えればおかしな事だらけだったのだ。


 そもそも紅茶に注意を促していたのは探偵で、緑茶女も危険性は把握していた筈だ。

 それなのに二人だけで休日にうろうろするなんておかしい。


 駅まで歩き電車に乗ったのもおかしかった。

 電車代を全て緑茶女が払うと言ったのも変だった。


 気がつけば二人は電車でかなりの距離を移動していた。


 俺は最初、少し遠出する程度だと思い込んでいたし、それならそれでたまには楽しんでくるのもいいだろうと軽く考えていた。


 目的地が解るまでは。


 俺が監視している事もしらない緑茶女は紅茶をあの場所へと連れて行こうとしている。


 さすがに電車に一時間揺られてその後新幹線に乗り込んだ所で俺もおかしいと気付いた。

 経路的に行き先はあそこしかない。


 あの探偵が何か吹き込んだのかもしれない。

 もしもの場合俺は、



 この小旅行の中で緑茶女を殺すかもしれない。



 俺は慌てて頭の中で殺害計画を練り始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毎日更新中のこちらもどうぞ☆ 「ぼっち姫は目立ちたくない! 〜心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!〜」 よろしくお願いします♪
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ