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あの日の君へ好きって言いたい  作者: 儚伊のぞむ
1.恋い焦がれて
1/1

淡い恋と温かい想い

初めまして、儚伊です。この度、初めて小説を書きました。文章が拙かったり、内容的にも十分でない

部分もあると思いますが、お手柔らかに(笑)

時間のある時に書こうと考えていますので、毎日は難しいでしょうが、頑張っていきます!

 僕は、山崎蒼佑。この世に生を受けてから17年もの月日を生きてきて、今ほど海に飛び込みたいと思ったことはない。


「ごめんね。君、タイプじゃないんだ。気持ちは嬉しいんだけど、付き合うのはちょっと。ホントにごめんね。」

 

バイト仲間で、密かに想いを寄せていた一歳年上の佐由美さんに告白をしたものの、即座に振られ、激しく落ち込んだ僕は、帰りの電車の中で大きな溜め息を繰り返していた。

 

「はぁ~。大体、弟っぽい顔ってなんなんだよ~。そんなの言われたことないよ。」


告白を断られ、非常に動揺していたけれども、なんとか彼女の返事の理由を聞き出せていた僕。

 

「えっと、蒼佑くんのことは、おっちょこちょいだけど、その分だれよりも努力して、精一杯頑張る子だなって、高く評価していたんだよ。でもね、顔が弟っぽいんだよね。私、そういう顔の人と付き合うとか無理だから。」


 佐由美さんの言葉が頭の中に木霊する。僕の、僅かに残った精神力を削りとっていく。

もはやこれ以上、まともな精神状態でいることはできないだろう。そして、心の安定は崩れ落ち、挙句の果てには、大きな声で自らの胸の内を叫びだしてしまった。


「佐由美さーん、なんで僕じゃだめなんだ!なんで、なんで、なんだよー!!」


電車内で突然、みっともなく騒ぎ始めた僕に周囲の人々の注目が集まる。そして、大人たちが誰かが注意

してくれたらいいのにと、互いに譲り合いをしていたその時、一人の女の子が駆け寄ってきた。

母親の止める間もなく、近づいてきたその子供は僕にこう言った。

 

「お兄ちゃん、泣いているの?お友達と喧嘩したの?」


そう言いながら幼い少女は母が自らの子に言い聞かせるように、僕の頭をそっと撫でた。

 

「よし、よし。大丈夫だよ、お兄ちゃん。もう泣かないで」

 

普段ならば、自分よりも年が離れた幼き子供に慰められるということは、好きな想い人に告白するときぐ

らい恥ずかしく、周囲の目を気にして、顔が赤面していただろう。しかし、今の僕には誰が自分をどのよ

うに見ようと、どう思っていようと気に掛ける余裕などないくらいに心が一杯一杯だった。


けれども、少女の僕を励まそうとする姿勢になぜだか安心してしまい、涙が出そうだった。

今までずっと世界の中心だった佐由美さんに振られて、自分など必要とされていないと思い込んでしまっ

ている僕の心を少女の言葉が救ってくれたのだ。


初めは、振られたことが、悲しくて、悔しくて、涙を堪えきれなかった僕であったが、今では、こんな自分でも気にかけてくれる人がいるのだと、そう思えたことが唯々嬉しくてたまらない。

 

「優美香ちゃん、そろそろ降りるわよ。」



少女の母親の声が聞こえ、僕はふと我に返る。どうやら彼女らは次の駅で下車するみたいだ。


「はーい、ママ。お兄ちゃん、バイバイ!」

 

 優美香ちゃんは朗らかに別れを告げると、母親と一緒に電車を降りていく。


僕は、足早に立ち去る仲の良さそうな親子の後ろ姿を眺めながら、もう二度と会うことはないであろう、


僕に希望をくれた少女にお礼を言わずにはいられなかった。


「ありがとう!」

優美香ちゃんに声が届くように高らかに感謝のことばを述べる。そのことばが聞こえたのだろうか、彼女が振り向き際に優しく微笑んだ気がした。


今日、この日、僕にとって失ったものは小さくなかったもしれないけれど、不思議と僕の心はそれよりも

大きく、温かいもので満たされていた。


少し短いかもしれませんが、キリが良かったので、これぐらいの文章の長さになってしまいました(笑)


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