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『ボッチ』これはどうだろうか

作者: れをん。

 とある本を手に取ってしまった……【『ボッチ』これはどうだろうか】という題の作品。

 

 なんだこの本……題が適当にも程があるな。ってか“ボッチ”を持ってくる時点で駄作間違いなしだ。まぁまぁ俺という最高の、最前線に立つ、高スペックボッチが評価してやろうではないか。

「とりあえず序盤のほうを読めばいいか」

 

“孤独、孤島、孤立、独立、独り……人は俺達みたいな単体にそう言う。まるで複数人でいるのが当たり前のように貶す。俺はそのことが酷く許せない。許すことはこれから先も皆無であろう。

 ボッチは全てにおいて見下されがちである。それが結果『イジメ』という形でくっきりと見えてくるのだ。そんなのおかしいではないか。


 人というのは他人をすんなり受け入れることができないのかもしれない。それは全く可笑しな話しでもないだろう。

 しかし、ボッチな奴と自分を物差しではかり優越感に浸るという行為については話しが別すぎる。そしてボッチな奴は下てに出る……こんな世界はどこか……いや全ておかしい。

 なぜボッチな俺らがリアルを充実、青春を謳歌している奴らに頭を下げ、道を開け、そいつらの前で下を向かなければいけないのだろうか。悔しい、憎い、疎ましいといった嫉妬心が心の底から湧き出てくる。これが世界の真理であるように……抗うことすら禁じられているように。


 ボッチはボッチらしく謳歌しろと命がくだっているように――。



 こんな理不尽な世界を変えたい……ただそれだけが願いで最初で最後の……希望かもしれない。神様がいるとするなら「この人生は公平に配っているのか!」とわめいてやりたい。

 だからだろうか、いつしか諦めを知った。友人、恋人、人生……すべてに“諦め”という二文字の印鑑が押されるように感じられた。いや、押している。


 ボッチボッチと……。認めているわけだが、それでいいものだと思っている。

 逆に大勢の中でボッチになれる逸材だと自分を特別視できるわけで、それこそ他者より「優れているのだ」と優越感に浸れるわけだ。常識的な思考というのは面白くなく誰も、何とも、これっぽっちも心が動かない。常識の斜め上に外れてしまった思考というのは受け入れてもらえる確率がかなり低下しているが、可能は無きにしろあらずであろう。

 それで「友達作りをしろ」だなんて卑怯なことは断固言わない。


 要は『ボッチ』という与えられた才能をどう捉えるかということ”


 何コレ!? ボッチを救いたいってことか? 偽善者もいいところだな

「お兄ちゃんどうしたの? いい本あったの?」

「清々しいほどに呆れてしまう本が見つかったぞ」

「……お兄ちゃんの人生も清々しいほどに空っぽで呆れるけどね」

「……」

お読みいただきありがとうございます。

結局私が空っぽだと思い知らされた。

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