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オタクが消えた世界よりこんにちは  作者: 神山一起
第1章 オタクの消えた世界
15/15

14話 終わりとはじまり


ミハエル神様とイトが俺達の前から消えて数分。



ヒナの空間操作のリミッドが近づいてきているらしく

俺達はひとまず体育館を退散することにした。


ヒナが破損部分を修復し、

俺はヒナを抱え、ここを離れようとした時、


絢音の存在を完全に忘れてしまっていることに気づかされた。



絢音は依然として、舞台上に立ちすくんでいた。



「絢音ーー。」

と、俺が呼んでも返事はない。

それよか、全くもって身体も動いていない。


俺はヒナを抱え、絢音のところへと走る。



「なにやってんだよ、早く逃げねぇと。」


と言って俺は絢音の腕を引っ張る。



絢音は動かなかったんじゃない、動けないでいた。


身体には全くもって力が入っていなかった。

そして、目も虚ろ状態になっている。

恐怖にさいなまれた表情をしている。


「絢音!絢音!!」


「一宮・・・・・・。」


「絢音。大丈夫か・・・。」


絢音にも意識のあることは確認できた。

ただ、持ち前のいつもの破天荒さはそこにはない。



「一宮・・・・・・、あなたいったい何者なの??」



――――――――――



俺達はとりあえず部室へと戻った。


ヒナが言う分には空間操作による、

弊害は何者なさそうであるらしく、

そのまま、いつも通りチャイムがなるまで校長の話はつづくみたいだ。



 俺たちはまず、ヒナから詳しい話を聞いた。

 天界でのこと、神様のこと、シャルとかいう人のこと、ミハエルとかいうやつのこと

 

 身体の傷を癒しながらで申し訳なかったのだが、

 横になりながら、すべてを話してもらった。


 「ヒナはシャルのことが大好きだったのね。」

  

 「はい。そうなのです。」

 

 絢音もヒナも少し休むといつも通り元気になっていた。


 「そして、シャルにアニメを教えてもらったんだ。

  その神様は素晴らし人ね。」


 「でも、イトとミハエル様に、シャル様は死んだと言われました。

  そして、ミハエル様が今の神様だと。」


 「あんなやつらの言ってること全部嘘に決まってるじゃない。」


 「でも、ミハエル様には、神様の紋章が顔に刻まれていたんです。」

 

 ヒナの不安が見て取れる。


 「見間違いはないの・・??」

 

 「シャル様のところで毎日見ていましたから、間違いはないと思います。」


 「心配する必要はないわ、ヒナ。

  あなたはアニメが好きなんでしょ?」


 「はいっ。」


 「なら、信じなさい。シャルは生きてるわよ。」



 絢音さん。その勢いだけの感情論みたいなやつ、なんですか??

 全くもって理論だっていませんけど。


 「はい。ありがとうございます、絢音。

  でも、ひとつだけ、シャルじゃなくて

  シャル様です。きちんと敬ってください。」


 それ、注意するところ絶対に間違っているから。

  





 「一宮。あの時、どうやってヒナのことを助けたのか、覚えてる??。」


 ヒナがぼろぼろの姿になりながらも、何度もあきらめず、

 あげくのはてに、イトに足で踏んずけられ、

 剣で切られそうになった時、


 「ヒナを助けたい一心で、無我夢中だったから・・・」


 「無我夢中だったから、なんなのよ???

  はっきり答えなさい。」


 絢音さん怖いです。

 さっきの焦燥感に包まれていた表情はどこへ行ったんですか。

 いつも通り過ぎて、怖いです。

 それがうれしい気持ちもちょっとだけないわけではないんだけど。


 

 「望君をそんなに責めないで上げてください。

  ヒナを救ってくれた恩人です。」


 「ヒナ・・・。」


 ヒナの優しさに心が包み込まれながらも、

 前方から感じる恐怖の視線止みません。


 「本当に覚えてないんだよ。

  気づいた時には、イトを通り過ぎて、ヒナを抱えていたんだ。」



 「一宮。あの時、あなたはヒナと同じ空間操作をしていたの。」


 「いや・・・、そんなこと・・・ないだろさすがに。

  だって、俺、人間だよ。天使じゃないんだ・・・。」


 「一宮。あなたはヒナみたいな広い範囲の空間操作ではないけれど、

  あなたがヒナを助けようとしたとき、

  イトもヒナも全く動かなくなり、 

  一宮君だけが動いていたわ。


  舞台上にいた、私はハッキリと意識があった。 

  

  あなたは、空間操作を使うことによってヒナを救ったのよ。」


 否定したい。「俺は天使じゃなくて、人間だ。」と言いたい。

 でも、絢音の言っていることには、たしかに合点がいく。


 どれほど強い思いを持っていたとしても、

 あの絶対絶命のピンチを普通の人間がどうやって乗り切れるだろうか、

 いや乗り切れない(反語)。


 天使vs天使(悪魔化)の状況に、普通の人間が割って入ったところでどうにもならないだろう。


 ただ、俺がヒナのように空間操作を使ったというならば

 確かに成り立ってしまうのかもしれない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 

 自分でも正直よくわからないが、思わず走りたくなった。

 とりあえず今、部室に居続けたくはなかった。


 「望くん。どこに。」


 俺は部室を出て、どこかわからないところに逃げてしまいたいと思った。

 


 

 



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