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オタクが消えた世界よりこんにちは  作者: 神山一起
第1章 オタクの消えた世界
1/15

プロローグ

 

 西暦2100年。日本で施行された法律

「オタク禁止法」によって世界は変わってしまった。

 

アニメや漫画、小説、アイドルや将棋などの全てのサブカルチャーをこの世からすべて消す法律が可決されてしまった


なぜこんな酷い法律が施行されるのかと言うと、昔からの日本の課題として置かれている少子化が2000年代後半になっても歯止めすることを知らず、時代を経るごとに活発化してしまっている。


政府は少子化に対して、さまざまな案を出しては即実行してきたがことごとく失敗に終わり、国民の税金によって行われるため、政府への批判は凄まじいものであった。

政権はさまざまな党へと移っていったが、そのたびに改革は失敗に終わり。批判とともに国民の感覚というのも麻痺していった。


そんな混乱の時代の中、ふといきなり現れたのが「リア充党」である。

彼らは訝しげに颯爽と現れ、少子化の原因がすべてオタクにあると言い出した。

その頑迷としか思うことのできない意見に対してもちろんオタクの人達は非難するのだが、それ以外の人にとってはさして痛手ではなかった。さらに言えば、もうそれくらいにしか少子化対策が残されていなかったことも事実である。

 


リア充党のマニュフェストは次の通りである。



現代は、戦うか働くか恋をするぐらいにしかすることがなかった昔とは異なり、平和で多くの娯楽が世界中にあふれかえっています。娯楽が生まれるということは平和であるという証拠で大変素晴らしいことであるとは思いますが、


その娯楽に熱中するあまりに人間は本当の恋をすることを忘れてしまっている。


アニメや漫画のキャラは可愛いし、カッコいいし、何より裏切らないからという理由で本当の恋愛をしない。それは悪い道である。

 

人間というものは、楽な道を歩いてはいけない。どれだけ苦しくても、どれだけつらかったとしても、その現実に真正面から向き合い、一生懸命努力するということが一番大事である。


告白して振られることはかまわない、その日だけは悲しみ、次の日からはそのことを英気に新たな恋愛に励めばいいのである。何度失敗したとしても、這い上がることこそが一番大切なことである。


だから、オタクのように現実の辛いこと悲しいことから目を背け、心を満たそうとするのは糞の極みである。ただ、このように宣言したところでオタクの数は減ることはない。


だからこそ、私達の党はここにオタク文化を完全廃止することを宣言する。オタクと呼ばれるものすべての販売を注意しし、存在するすべてのものを撤廃する。




 この奇抜ととれる政策はオタクではない国民の心を打ってしまう。

 

 総選挙では過半数少しを上回り、2100年、見事リア充党が日本の政権を担うこととなった。



 そしてすぐにオタク禁止法が施行され、漫画が全て撤収され、本屋さんにはファッション雑誌や旅行雑誌が中心に並ぶようになり、アニメ会社はすべて倒産。過去アニメのブルーレイなどもすべて回収。アイドルもすべて解散みんな普通の女の子になっていった。将棋、囲碁のプロ達はすべて解雇。歴史の詰まった棋譜も捨てられていった。


すべてのサブカルチャーと言われる分野はこの世から消えていってしまったのだ。

 

もちろん、オタク達は反対運動を起こした。しかし、楯突くものは、すべて殺されるか、逮捕されてしまった。



 文部科学省の教育過程を変更し、従来の国語や数学などの普通の授業に加え、コミュニケーションの授業、そして恋愛の授業も小学生の時から実施された。日本からオタクが消え、リア充化が進んでいった。

 

 

 オタクが消えてしまった世界の物語である。

 

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