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三人の精霊と俺の契約事情  作者: 望月 まーゆ
三人の精霊と悪魔教団の書・魔法武道会編
80/217

アーサー登場


予選は波乱もなく順調に円卓の魔導士たちが勝ち上がっていく展開だ。


魔法騎士団を夢見てアヴァロンまでわざわざ出向いた人たちにとっては今回のこのサプライズゲストは予想外以外の不運な展開だ。


Dグループは円卓の魔導士が唯一いないグループ。 気合の入る選手たちここでの注目選手はアーサーではなく白馬の騎士と呼ばれている魔法騎士団に一番近いと言われているトマス・モルドレッド。


トマスは金髪のイケメン騎士で女性に大人気だ。


いつもファンの女性に囲まれている。


当然ーーDグループの断トツ人気で勝ち抜け候補だ。


「ランスロットは流石だな。 無傷で余裕の予選突破で誰一人傷つけずに勝つのは圧巻だな」


観客もランスロットの圧巻の戦いの余韻に浸っている。


「お待たせしました! 再び実況はマイアです。宜しくネ」


選手以上に人気者の実況のもふもふ姉妹。


「Dグループの注目選手はトマス選手ですね。 今回から解説をお呼びしております。円卓の魔導士の一人メイザースさんにお越しくださっております。 トマス選手に対抗出来そうな選手はDグループにいるでしょうか?」


「そうですねえ、 いると言えばいるのだよ。楽しみにしていましょう」


意味深のある言い方をするメイザース。


「ーーでは、Dグループ試合開始!!」


バァァンとドラの音が会場に響きわたったーー。


★ ★ ★


アーサーは精霊たちを体内に隠している。


エンペラーアイを使っている間はルナも体内に入れてリンクテレパシーも使えるのだ。


Dグループの選手たちはトマスに夢中になりアーサーには眼中にない様子だった。


「あんなにデカデカとアーサー・ペンドラゴンと選手名が出てるのに無視とはーー」


キルケーは首を傾げる。


「無理も無いわよ、トマスのあの人気は異常だからね」


トマスコールが地響きにように会場を後押しする。

女性の悲鳴にも似た声援を受けてトマスは次々に相手を倒していく。


「どこがカッコイイのか私には分からん」


キルケーは呆れ顔で会場を見つめる。


「私も全然興味ないわ。あんな女みたいなモヤシ男ーー」


メーディアも目を細くして興味なさそうに会場を見つめている。


アーサーはステージの隅で未だボーッと立っている。


「アーサー様、全然相手戦って来ませんね」


リサがリンクテレパシーで話しかけてきた。


「ああ、完全に無視された感じだな。 まあ、これはこれでこっちも都合が良いな」


「暇なの」


「この程度の相手なら一撃で仕留められますわ」


エルザ、ルナもヤル気満々だ。


「出来れば手の内を見せずに勝ちたいと言うのがアーサー様の考えですね」


シルフィーが悟った。


「その通りだね。 徐々に少なくなってきたよ」


アーサーも少し身構えて戦況を見守っている。


「さあ、Dグループも大詰めになって来ました! トマス選手が次々に攻めてくる選手たちを倒してついに残り選手も僅かになって来ました。解説のメイザースさんここまでの戦いにいかがでしょうか? 」


「今のところ何もしてませんね」


「はい? 」


キョトンとする解説のマイア。


「私の注目選手はまだ何もしてないってことなのだよ」


マイアはその言葉頂きましたと言わんばかりにマイクを手に取った。


「おっと!メイザースさんから爆弾発言が飛び出したあーー何とメイザースさん注目選手が未だ残り選手の中にいるそうです」


湧き上がる会場ーー次第にざわめきが起きてくる。


残り選手の中にペンドラゴンの名。


「会場の人たちもようやく気付いたみたいね」


メーディアも少し鼻を高くした。


「何だい? 僕に太刀打ち出来る選手がいるってーー」


トマスも解説の声に反応しあたりを見渡した。


しかしーーそんな感じの魔力を持った選手がいる気配は感じなかった。


「面倒だな、炙り出してやるよ! 」


トマスの魔力が高まる。


「エルザ準備してくれ」


「任せてなの」


トマスの体が光輝くーー女性ファンから溢れんばかりの歓声が上がる。


星屑の流星ライトニングスターダスト


天空より無数の光の矢が降り注ぐーー次々と倒れる選手たち。


中には障壁を貼るがそれを突き破るトマスの光の矢。


注目選手の名は伊達ではなくほぼ勝利とみて拍手が贈られていたーー。


濛々と砂けむりが上がり倒れている選手たちーー立っている選手は一人も居ないと確信しているのかトマスは観客に向かって手を振っていた。


ーーしかし、


「おっと! トマス選手まだ勝利のガッツポーズには早いぞ。 まだ一人余裕で立っている選手がいますーーアーサー・ペンドラゴン選手だあ」


騒然とする会場ーーキルケーやメーディア、リリス、メイザースは当然といった表情で見ていた。


「ーーペンドラゴンだって? 君がかい。全く魔力を感じないんだが」


トマスはイラっとしているーー勝利を確定と勘違いして恥じをかかされたからだ。


「あいにく魔力は全くなく魔法は使えないんだよ」


アーサーは肩をすくめて笑って余裕をみせた。


それを見て更にイラつくトマス。


「マグレでたまたま生き残ったのに何だその余裕な笑みはーー次で決めてやる!」


トマスの手が輝き魔力が高まる。


「再びトマス選手が仕掛けるーー アーサー選手太刀打ち出来るのか? 」


熱い実況に応えるように盛り上がる会場ーー


「喰らえーー 光の衝撃波(シャイニングフォース)


光の輝く特大な流星がまるで隕石のようにアーサーに向かって落下した。


吹き上がる砂けむりと衝撃音に会場は騒然となったーー


「これは決まったかあ? アーサー選手に直撃だ」


「いやいや、全然でしょ。 アーサーきゅんはまだ実力の1パーセントも出してないのだよ」


メイザースは不敵な笑みを浮かべた。


「少しやり過ぎたかーー悪く思うなよ」


トマスは砂けむりの向こうに向かって呟いた。


背を向けて去ろうとすると、


「何がやり過ぎたんだ? 俺は全然無傷だぜ」


「なんだとーー!!」


振り返り砂けむりが晴れたステージを見つめると金色の瞳を輝かせたアーサーが無傷で立っている。


そしてーー具現化した精霊が四人アーサーの周りで輝きながら浮いていた。


「何とアーサー選手の周りに精霊が四人!」


騒然となる会場。


「ーーさて、こっちから仕掛けさせてもらうよ」


顔を歪めるトマス。


アーサーがパチンと指を鳴らすとシルフィーが前に出て魔力を高めた。


「大いなる大地に流れる風の民よ 我にチカラをーー アサルト グリフィン」


シルフィーから具現化した風の化身の大きな鷹が放たれる。



「ーーーー!! 」


ーーまさに一撃だった。


風の鷹に飲まれたトマスは会場の壁にめり込んで気絶した。


会場から割れんばかりの拍手とトマスへの悲鳴とブーイングなど色んなモノが飛び交った。


「Dグループ勝者はアーサー選手です」


アーサーは少し照れ臭そうに頬を掻きながら会場を後にした。


会場の中二階から戦況を見ていたマーリン。


金色の瞳(エンペラーアイ)の持ち主、シーサーの息子で間違いわね」


マーリンは納得したような何かを悟ったような表情をして消えて行った。


Dグループでの波乱は大きな話題となって会場を大いに盛り上げた。


そして、アーサーがシーサーの息子だと全員が確信したのだった。



ーー 余裕の予選突破 ーー

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