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三人の精霊と俺の契約事情  作者: 望月 まーゆ
三人の精霊と悪魔教団の書・魔法武道会編
75/217

Aグループ予選


「まずはお前からだあああ」


試合開始と同時に全員が一斉にロビンを囲むように襲いかかる。


Aグループの注目選手はなんといっても金色の夜明け団であり円卓の魔導士の一人ロビンである。


円卓の魔導士の最初の登場に開会式から観客のほとんどの人々席を立たず熱い視線をステージに送っている。


決して一人では勝てない相手でも全員で攻撃すれば勝てるんではないかという小さな希望を抱いていた。


「円卓の魔導士とか言ってたがこの人数相手では流石に厳しいだろ」


一人の選手が言い放つと、


一斉にロビンに向かって魔法攻撃や剣や斧、弓矢など多種多様の攻撃が向かってくる。


「ふう、僕って人気者、みんなから一位指名されちゃった。 リンちゃんが指名してくれれば嬉しいのになあ」


金色の夜明け団の蒼い鎧に赤マントを羽織ったロビンが背中から二本のダガーを持って構える。


「そんなダガーで何が出来るーー喰らえ」


ロビンに向けて多種多様の攻撃が襲いかかる。


しかしーーロビンは魔法攻撃を持ち前の身体能力の高さで交わすと剣や斧を二刀流のダガーで舞うようにリズミカルな動きで防ぐ。


「ロビン選手全ての攻撃を全く寄せ付けません。素晴らしい運動能力です」


実況の声に合わせるように会場から喝采が起こる。


「クソ餓鬼が何だって?一発でも当てて見ろよ、オッさん達」


ロビンが手招きをして周りの選手を挑発する。


「この餓鬼ぃ馬鹿にしやがって」


周りにいる選手達全員を敵にまわしたロビンーーしかし、余裕の表情を見せている。


「ロビン選手以外のメンバー全員が一斉にロビン選手に攻撃を仕掛ける、危うしロビン選手ーー!!」



魔法攻撃がロビンに向かって乱れ飛ぶ。


「俺にその程度の魔法が効くかよ!舐めるなよ」


乱れ飛ぶ魔法をダガー二本で全て弾き飛ばした。


「ーーーー!!」


騒めく会場ーー人間離れした身体能力の高さと魔法を弾き飛ばしたことに衝撃を受けたのだ。


目の肥えている武道会ファンは拍手を送っている。


「降参するなら今のうちだぜ! 」


ロビンの目つきが変わり魔力のオーラが浮かび上がる。


圧倒的なチカラの差ーー半数以上がその魔力のオーラを見ただけで逃げした。


会場全体を圧倒するほどの魔力。


この後出場する選手達を威嚇するには十分だ。


これが金色の夜明け団、これが円卓の魔導士に選ばれるレベルーーこのレベルがこの後まだ十人も出てくると考えればゾッとする話だ。


生半可な覚悟ではこの大会を勝ち上がるのは不可能と思った方が良いと考え出す他の選手。


「おっと、多数降参して逃げ出す中ロビン選手にまだ立ち向かう選手がいます。ゼッケン十八番アレク選手です」


応援や励ましの歓声が会場を包む。


「逃げ出した方が良かったんじゃないの」


「こっちも生活がかかっているのでこの程度逃げ出す訳にいかないのでね」


アレクはロビンに向かって手をかざすと、アレクの周りに小さな光が現れた。


「やれ! 火炎嵐(ファイヤーストーム)


小さな光が輝き出すとアレクの手の平から炎の竜巻きが発生しロビンを襲う。


「これは流石にーー」


ロビンは炎の竜巻きにのまれた。


「アレクって選手に魔力はあまり感じなかったわよね」


会場の隅で出番を待っているメーディアが首を傾げた。


「あの小さな光は精霊だよ。全部で四人いる自然精霊(エレメンタラー)と呼ばれる精霊ね」


リサが小さな光を見つめながら答えた。


「四人も精霊と契約してるの」


アーサーは目を丸くして驚く。


「エレメンタラーはほとんど意思を持たない精霊なの。 エレメンタラーを使った精霊使いはかなり多くいるわ。魔法の威力もそこまで強くないのよ」


リサが説明しながら戦況を見つめていた。


「ロビン選手燃えさかる炎に包まれたままです。果たしてこのまま勝負は決まってしまうのでしょうか」


実況の声に騒めく観客。


「このままの訳ないよねえ。 ロビンの特異体質はーー」


キルケーが不敵な笑みを浮かべながら戦況を見つめていた。


その時ーー炎の竜巻きを消し去るように竜が現れた。


咆哮が轟く会場、騒つく人々ーー。


「何と炎の中から現れたのは竜です・・・少し小さめですが」


ロビンを守っていたのは竜にしては小さめのベビードラゴンで見た目も怖そうでもなくむしろ可愛らしい。


「かわいい竜なの」


エルザが笑顔で目を輝かしている、ペットにでもしたいようだ。


「見た目に騙されてはダメだよ。ベビードラゴンなんて優しい生物(モノ)じゃないよ。あれはーーバハムートだ!!」


キルケーのババムートという言葉に騒つく選手控え室。


「あんなチビが・・・召喚士」


「金色の夜明け団にあのチビがいたのは知ってはいたがまさか召喚士とはーー」


騒ぎ出す他の選手たち。


アレクは、ベビードラゴンを見ても同様せず他の精霊に魔法攻撃を命令する。


「召喚士だが知らないがそれがどうした! 清流の泡(アクアブレス)


「むーちゃん頼むぜ」


「ロビン、めんどくさいのだ。本当に困った時だけ呼び出してくれなのだ」


「分かってるって、頼むよ」


「仕方ないなあ。会場のステージ無くなっても知らないよ」


ベビードラゴンはため息をつくと大きく息を吸い込んで貯めるとそれを一気に解放した。





一瞬だったーーーー。




そこにいた全ての人々が言葉を失った。



ベテランの実況のマイラもマイクを手にしたまま固まっていた。



「こ・・・これがバハムートのチカラ」


「ステージの半分が消えた・・・」


唖然とするAグループの選手たち。



静まり返る会場。ーーそれを察知しすぐさま我に返り実況を始めるマイラ。


「な、何という事でしょう。ロビン選手が召喚した竜が放った一撃が会場のステージの半分を吹き飛ばした」



アレクは、固まったまま動けないでいたーー。


後、数センチ動けばこの世から消し去られていたのだ。


今立っている場所から後ろは何も無くなっていたのだからーー、


「まだやるのかい? 他の選手は全員逃げ出してしまってAグループは僕とアンタだけだよ」


ロビンと気怠げな感じにロビンの肩に止まっているベビードラゴンがアレクを見つめていた。


「ぐっ、降参する訳にはーー」


その瞬間、ベビードラゴンがアレクを睨みつけるーー背筋も凍るような視線をアレクは感じとった。


ーーまるで、


「わざと外してやったんだぞ。 次は容赦しない」と言わんばかりの視線だった。


「こ、 降参します」


「アレク選手から降参の言葉、よってAグループ代表はロビン・フット選出です」


暖かな拍手に包まれる会場、ロビンだけでなく敗れたアレクに対しても励ましの声や拍手が贈られた。



「Bグループは私の登場だね! サッと片付けてくるよ」


キルケーは高笑いしていた。



ーー 波乱のフリーバトルトーナメント ーー

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